Xbox 360で“HD時代”のマーケットリーダーに――ロビー・バックは語る(2/2 ページ)
ついにベールを脱いだ「Xbox 360」。Xbox 360の目指すもの、そしてマーケティング戦略について、チーフXboxオフィサーであるロビー・バック氏に語ってもらった。
日本での成功が世界の成功につながる
我々が今度は成功する、と確信している第2の理由は、デベロッパーとの非常に良好なパートナーシップを持っていることにある。リテールやパブリッシャー、新しいTVの波を起こしたいと考えているコンシューマーエレクトロニクス業界、家庭にブロードバンド環境を提供するプロバイダーなど、全ての業界と強力な関係を築けているからだ。
さて、日本のことについて特に述べるが、日本でどのように我々は進んでいくのか、ということについて話したい。
次世代機では、坂口氏、水口氏、岡本氏といったパートナーと組んで、我々のタイトルとして、独自のゲームソフトをリリースすることにしたわけだが、成功するためには日本のパブリッシャーとも、もっと深い関わりを持って行くつもりだ。日本で成功することが、北米やヨーロッパでの成功にもつながるし、それぞれの市場を発展させることになると思っている。
最後にはマーケットに対する考え方だが、これからの時代はソフトウェアとサービスに焦点が当たると考えている。これまで30年間、マイクロソフトはゲーム以外にもプラットフォームを提供してきた会社であり、デベロッパーに対してもどのようにサービスを提供したらよいか分かっている。
マイクロソフトを、ソニーや任天堂と比較すると興味深いだろう。ソニーは偉大なコンシューマーエレクトロニクスの会社だ。しかしこれからの時代が、ハードウェア重視からソフトウェアやサービスに向かう時代にあって、マイクロソフトよりも劣るのではないだろうか。
任天堂も私は尊敬している。これまで偉大な仕事をしてきた会社だ。しかしデジタルメディアやオンラインゲームには焦点が当たっておらず、若年層向けのよいゲームを作り上げることに集中している。この市場は、我々がターゲットとしている市場よりもそれほど大きくはない。
ニーズがあるから、いま次世代機をリリースする
なぜ今年に次世代機をリリースするのか? 時期としては早すぎると言うことはない。消費者が望むこと、ゲームパブリッシャーがやりたいこと、そしてテクノロジーも合わせて考えて、今この時期が来た、というだけだ。消費者はHDTVに興味を持っているし、パブリッシャーは次世代機用のゲームを開発する用意が調っている。ゲーム体験をドラマティックに変化させることができるテクノロジーもある。だから今年リリースする。
戦略的な面から考えても、競合他社に後れを取らないということが大事だ。Xboxではソニーの2年後にリリースしてしまった。この失敗は二度と繰り返さない。今度はソニーが我々の1年後に発売すると決定したようだが(笑)。
先ほども述べたように、Xboxは全世界で2000万台を販売した。Xbox 360の販売台数だが、市場がどのように大きくなるのかによるだろう。日本以外では25〜30%のシェア。これを40〜50%まで引き上げたいと思っている。
日本でのシェア? Xboxの実績が悪かったこともあるが、それから学ぶことは多かった。日本の場合では具体的な数字は決めていない。Xbox 360を新しいチャレンジとしてこれから販売していくが、もちろん日本で40〜50%といったシェアが取れれば、それはすごいことだ。もしそうなったら2、3カ月休みをもらうことにするよ(笑)。
マイクロソフトはこの4年間、日本からたくさんのことを学んだ。我々は“学びながら成長する企業”だ。ミスからたくさんのことを学んだ代わりに、二度と同じことは繰り返さないのがマイクロソフトだ。これからも日本の特殊性を理解することで、マーケットを広げたいと考えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 私が夢に見たマシンがついに登場する――J・アラードが情熱を注ぐ「Xbox 360」とは
MicrosoftのチーフXNAアーキテクトであり、Xbox 360のハードウェアを統括するJ・アラード氏。彼がXbox 360についてひとたび語り出すと、その熱を帯びた言葉に、こちらの感情が吸い込まれていくかのような錯覚を覚える。“Xboxのエバンジェリスト”にXbox 360について聞いた。 - 日本市場をターゲットに見据えたタイトルでトップを取る――ピーター・ムーア
Xboxのマーケティングとコンテンツの総責任者であり、Microsoftのバイスプレジデントであるピーター・ムーア氏。かれはこの2年間、これまで犯した失敗からどのように復活できるのか学び、考えてきたという。Xbox 360ではどのようなタイトルで日本市場を攻めるのだろうか。 - 「Xbox 360」はハード・ソフト・サービスが有機的に連携できるプラットフォーム
マイクロソフトのXbox事業本部長である丸山嘉浩氏は、「次世代Xboxプレビュー」の席上、新ハードウェアである「Xbox 360」を紹介。ハード、ソフト、サービスを有機的に連携させ、高品質なゲーム体験を提供すると述べた。 - 鳥山キャラに惹かれ、重松シナリオに泣く――「ブルードラゴン」と「ロストオデッセイ」で挑む坂口氏
ミストウォーカーの坂口博信氏がXbox 360向けに用意していたのはRPG2本。「ブルードラゴン」は鳥山明氏のキャラクターが自由に動き回り、「ロストオデッセイ」は直木賞作家・重松清氏の“泣けるシナリオ”に、井上雄彦氏のキャラクターが加わる大作RPGとなった。 - 「大軍勢感」と「マルチアングル・シナリオ」で迫る「Ninety‐nine Nights」
キューエンタテインメントの水口哲也氏がXbox 360向けに製作している「Ninety‐nine Nights」。韓国のPhantagramとのコラボレーションとなるファンタジーアクションゲームは、「大軍勢感」がコンセプトだ。 - 坂口博信氏、水口哲也氏、両者の開発タイトルの正式名称が明らかに――次世代Xboxプレビュー
ついに明らかにされた次世代Xboxの正式名称。発売は2005年内を予定しており、これに伴い、すでに参加を表明していた日本人クリエイターによるタイトルにも動きが……。