一足お先に次世代機気分――HDTV+5.1chで現行機を遊ぶススメ Part1:概要編(1/3 ページ)
次世代機では、どうやらHDTVと5.1chサラウンドのサポートが主流になる模様。しかし、現行機にもHDTVや5.1chサラウンドに対応したゲームがあるのをご存じだろうか。現行機でちょっとだけ次世代機の気分を先取りしてみませんか?
HDTVと5.1ch環境で、現行機の能力をフルに引き出す
次世代機の概要が少しずつ明らかになってきたが、そのうちプレイステーション 3とXbox 360については、HDTVと5.1chサラウンドに対応することがすでに分かっている。早い話が、映像は精細感が大幅にアップし、サウンドも立体的な音響効果によって臨場感が高まるというわけだ。
だが、次世代機の登場を待つまでもなく、現行機でもHDTVや5.1chサラウンドを楽しむことはできることを、読者の方はご存じだろうか。TVやオーディオ機器などの環境さえ揃えば、現行機のゲームも見違えるほどハイクオリティなものになるのだ。この連載では、HDTVと5.1chサラウンド環境でゲームをプレイすることの魅力や、そのために必要となる機器、対応ソフトの紹介などをお届けしたい。
HDTVの走査線数は現行TVの2倍以上
まずは、「そもそもHDTVって何?」というところから説明しておこう。HDTVとは「High Definition Television」の略で、従来のTV(SDTV:Standard Definition Television)よりも走査線の数を増やすことで、高精細映像を実現した次世代のTV、もしくは放送のことを指す。日本の場合、地上デジタルやBSデジタルで放送されている「ハイビジョン」が、このHDTVに該当するものだ。
では、SDTVとHDTVでどれくらいの違いがあるかというと、SDTVの有効走査線が最大480本であるのに対し、HDTVでは最大1080本と、実に2倍以上になる。これを解像度に置き換えると、SDTVが最大720×480画素であるのに対し、HDTVは最大1920×1080画素での高精細表示が可能。さらに、画面のアスペクト比(横:縦の長さの比率)も4:3から16:9になり、横長のワイド画面で臨場感あふれる映像が楽しめる。
このHDTVに対応したTVで表示できる映像信号には、以下のような種別がある。このうち、数値は有効走査線数を、後ろに付く英字は走査方式の違いを表しており、「i」は「インターレース方式」、「p」は「プログレッシブ方式」を意味する。インターレース方式では、映像の1コマを表示するのに走査線の奇数段目と偶数段目を交互に走査するのに対し、プログレッシブ方式はすべての走査線を使って表示するところが異なる。走査線数が同じと仮定すれば、インターレース方式よりもプログレッシブ方式の方が画質は向上し、クッキリとしてちらつきの少ない映像が得られる。
映像信号 | 480i | 480p | 1080i | 720p | 1080p |
総走査線数(うち有効走査線数) | 525本(480本) | 525本(480本) | 1125本(1080本) | 750本(720本) | 1125本(1080本) |
最大解像度 | 720×480画素 | 720×480画素 | 1920×1080画素 | 1280×720画素 | 1920×1080画素 |
D端子の規格 | D1 | D2 | D3 | D4 | D5 |
主な用途 | 現行のテレビ放送(アナログ放送) | DVD | 地上/BSデジタル放送のハイビジョン放送 | 一部のゲーム機(Xbox) | 現在のところなし(PS3が対応予定) |
また、映像端子には以下の5種類があるが、HDMIに関しては現行ゲーム機の中で対応している機種がない(次世代機ではプレイステーション 3が対応予定)。そこで、現行機の映像を480p、1080i、720pの高画質で出力するためには、D端子(D4)かコンポーネント端子でTVと接続する必要がある。
表2■映像端子の種類 |
名称 | 特徴 |
コンポジット端子 | ビデオ端子とも呼ばれ、もっともオーソドックスな映像端子。映像の輝度信号と色信号を複合した状態で伝送するため、信号の劣化が激しく、色にじみやぼけが強く出やすい。 |
S端子 | 輝度信号と色信号を分離して伝送する方式の端子。コンポジット端子と比べてメリハリ感のある映像になり、画質が向上する。ただし、表示できる映像信号は480iまでで、480p以上には対応していない。 |
コンポーネント端子 | 色信号をさらに2つの色差信号(青、赤)に分離し、3つの端子を使って伝送する方式。画質はS端子よりも大幅に向上し、480p以上の信号にも対応できる。 |
D端子 | 輝度信号と2つの色差信号に分離するという点ではコンポーネント端子と同じだが、1本のケーブルで伝送するというところが異なる。対応する映像信号によってD1〜D5の種別があり、1080iや720pで映像を出力するには、D4端子を搭載したテレビが必要。 |
HDMI端子 | この5種類の映像端子の中では、唯一のデジタル方式。映像と音声の両方を1本のケーブルでデジタル伝送できることが利点。ただし、現行ゲーム機でHDMIに対応したものはなく、対応テレビも一部の高級モデルのみに限られる。 |
ゲームにはブラウン管? それとも液晶?
では、現行ゲーム機の映像を高画質で楽しむために、どのようなTVを買ったらよいだろう。これからTVを買い換えるなら、やはり人気の液晶TVを――と言いたいところだが、ここはあえてブラウン管を推したい。その最たる理由は、比較的少ない予算でフルHD画質を実現できるからだ。
まず、一般的な液晶TVの解像度は1366×768画素程度なので、1920×1080画素の1080i映像を本来の高画質で再現できないことになる。1920×1080画素のフルHDパネルを搭載した液晶TVとなると、最低でも45V型、価格は安いものでも60万円以上になってしまう(※1)。その点、ブラウン管なら28型からフルHD表示に対応した製品(ハイビジョンブラウン管TV)があり、これなら10万円前半で手に入るのだ。
また、液晶TVでは明暗が大きく変わるようなシーンで残像感を生じることがある。いわゆる「応答速度」の問題だ。そのタイムラグはせいぜい十数ミリ/秒というごくわずかなものだが、ゲームのように動きの激しい映像では多少なりとも違和感を覚える人もいるだろう。他にも、色階調、輝度、コントラストなどをとっても、まだまだブラウン管の方が有利なので、設置場所の問題さえクリアできるならブラウン管を軸に検討してみてはいかがだろう。
パナソニックの「TH-28D65」は、今年の6月に発売されたばかりの新製品。地上/BS/110度CSデジタルチューナーを内蔵し、28型ワイドで実売価格は13万5千円程度。D4入力端子を2つ装備しているので、2台のゲーム機を接続しておくことも可能。他に32型(実売約17万円)と36型(実売約26万円)もある
東芝の「32ZP58」。約2年前に発売された製品で、地上/BS/110度CSデジタルチューナーは搭載されていないが、32型ワイドで実売10万円以下という安さが魅力(ただし在庫限りなのが難点)。D4入力端子も2つ装備している
ビクターの「HD-32DZ4」。1500本もの総走査線数を持ち、あらゆる映像ソースをアップコンバート表示できる。32型ワイドで、実売価格は16万円前後。また、D4入力端子が2つのほかに、コンポーネント端子も1つ備える
5.1chサラウンドの導入効果はHDTV以上
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