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「化学反応起こしたい」――スク・エニがタイトー買収

スク・エニがタイトーの買収を発表した。マルチプラットフォーム戦略を志向するスク・エニの欠けたピース――アミューズメント施設のアーケード機――をタイトーが埋める。

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 「単なる規模拡大ではなく、未来に向けた“化学反応”を目指す」――タイトーの買収を発表したスクウェア・エニックスの和田洋一社長は狙いをこう語る。タイトーが強みとするアーケード機や携帯ゲームを手に入れ、マルチプラットフォーム戦略の死角をなくす考えだ。タイトーの西垣保男社長は「待ち人来たり。最初で最期のご縁」などとコメントし、買収を歓迎する姿勢を強調した。

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タイトーの西垣保男社長(左)とスクウェア・エニックスの和田洋一社長。2人とも「両社は企業文化が似ている」と話す

 ゲーム・アミューズメント業界で合従連衡が加速している。9月末にはナムコとバンダイが、来年3月にはタカラとトミーが合併する予定。スクウェアとエニックスの合併で業界再編の先駆けとなったスク・エニは、タイトー買収を再編の最終段階にしたい考えだ。「当社もそろそろ“仕上げ”にかかりたい」(和田社長)

 少子化や次世代ゲーム機の登場、携帯機器の普及、ゲームのネットワーク化など、ゲームを取り巻く環境が激変している。家庭用ゲーム機、PC、アーケード機、携帯ゲーム機、携帯電話――多様化したプラットフォームをどう組み合わせるかが2006年以降のビジネスを決めると和田社長は話し、コンテンツの出口を数多く確保することが生き残りに不可欠との考えだ。

 アミューズメント施設のアーケード機に強いタイトーを買収することで、スク・エニのプラットフォームにアーケード機が加わる。和田社長は「パッケージゲームは売ったらそれで終わりだが、アーケードゲームは従量課金」と指摘。アーケード機ビジネスのノウハウを、従量課金のネットゲームや携帯ゲームのビジネスに生かしたい考えだ。これと決めたら徹底的にお金をつぎ込む現代のゲーマーの“財布のひものゆるめ方”をタイトーから学ぶ。スク・エニの2倍の売り上げ規模があるという携帯向けゲームも買収の魅力だったという。

 ファイナルファンタジーやドラゴンクエストのキャラクターがコインゲームに登場するというような、既存事業の単純な組み合わせは考えていないという。「ゲームは、プラットフォームによってユーザー層が分かれている。コンテンツの相互利用はかなり慎重にやっていく必要がある」(和田社長)

 和田社長は「足りないピースはまだいくつかある」とし、必要とあればM&Aも続けると話した。

“友好的”TOBを強調

 買収手法に株式公開買い付け(TOB)を選び、100%子会社化を目指すのは、素早い買収と密接な経営協力を行うため。タイトーの社名やブランド名はそのまま残す方針だ。将来は、持株会社の下にスク・エニとタイトーが並ぶという構造を想定する。

 タイトーの筆頭株主・京セラからは、TOBへの賛同を取り付けた。国内で敵対的TOBが続き、TOBのイメージが悪化している今、株主や相手方の経営陣から十分な同意を得られるよう慎重を期したという。

 100%子会社化が成功した場合の買収総額は約670億円。うち営業権(のれん代)は約130億円。

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