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石段と百ます計算と「ドンキーコングJR.の算数遊び」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/2 ページ)

「脳を鍛える大人のドリル」「百ます計算」……。今、空前の脳ブーム。テレビゲームでも「脳を鍛える大人のDSトレーニング」が大ヒットしてますが、計算で脳を鍛えるゲームの元祖といえる作品を、百ます計算の聖地からご紹介しましょう。

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脳を鍛えようと思った

 まず、訂正とおわびから。

 前回の「桃太郎活劇」の記事で、「桃太郎活劇に貧乏神は出てこない」と書きましたが……、すみません、隠しステージに出てきてました。

 読者の方からご指摘いただきました。失礼いたしました。

 ……実は、前回の原稿を書いている途中、「桃太郎活劇」をプレーしたときに、この隠しステージもプレーしており、しっかり貧乏神を見ていたのだが。

 指摘されるまですっかり忘れていた。ボケてるなあ。

 もっと頭を鍛えなければ。来週はCEDECにも出なきゃならないし。

 そこで、頭を鍛えるために、

 尾道へやってきた。

 なぜ、頭を鍛えるために尾道か?

 実はここ尾道は、あの「百ます計算」で有名な陰山英男氏が校長を務めている、土堂(つちどう)小学校があるのだ。

 縦横10マスずつのマス目を作り、各マスの上と左に数字を書いて、それぞれの合計(または差や積)をマスに書いていく。

 この「百ます計算」を初めて紹介したのは、岸本裕史氏という人らしい。だがそれがここまで普及したのは、「本当の学力をつける本」で百ます計算を紹介し、実際に小学校の現場で実践してきた、陰山氏によるところが大きい。

 陰山校長は土堂小学校で、百ます計算などのスピードを毎回計測することで、子供たちの「タイムを縮めよう」という“やる気”を引き出している。

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対岸の向島に立ち並ぶクレーンは、ゲームボーイ版「ドンキーコング」をほうふつとさせる

 ん? 「ドンキーコング」と「百ます計算」?

 「ドンキーコング」と「計算」……。

 というわけで今回取り上げるゲームは、「ドンキーコングJR.の算数遊び」だ。

ファミコン第1作のキャラクターを使った学習ソフト

 そもそも「ドンキーコング」は、1981年にアーケードに登場した、任天堂の大ヒット作であり、マリオのデビュー作としてもよく知られている。

 マリオ(当時はまだ名前がなかった)を操作して、ドンキーコングにさらわれたレディーを救うアクションゲームである。

 続編となる「ドンキーコングJR.」では、ドンキーコングの息子が主人公となり、今度はマリオに捕らわれたドンキーコングを救う。

 1983年7月15日に「ファミリーコンピュータ」(ファミコン)が発売された際、「ドンキーコング」と「ドンキーコングJR.」は、「ポパイ」とともに、ファミコン第1弾ソフトとなった。

 「ドンキーコングJR.の算数遊び」はそれから約5ヶ月後の12月12日に発売された。

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3ケタと2ケタの掛け算や、6ケタの足し算・引き算などは、大人でも頭を使わなくてはならず、なかなか楽しめる

 「ドンキーコングJR.の算数遊び」は、2人対戦の「CALCULATE」モードと、計算練習の「EXERCISE」モードから成る。

 「EXERCISEモード」はドンキーコングJR.を動かして、計算問題を解いていくモード。

 単に答えを出すだけではなくて、筆算をするのと同じ手順で、1つずつ数字を埋めていく。

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割り算もちゃんと筆算の形式にのっとって行なわれる。あまりが出る場合も

 「ドンキーコングJR.の算数遊び」より前、11月22日には「ポパイの英語遊び」も発売されていた。

 また、結局発売されなかったが、「ドンキーコングの音楽遊び」というソフトも、発売が予定されていた。

 つまり、本体同時発売ソフト3本いずれも、そのキャラクターとシステムを利用した学習ソフトが、開発されていたことになる。

 当時はPCが一般家庭に普及し始めた頃で(MSXが発売されたのも1983年)、コンピュータを使って勉強するというのが、子供たちにとって一種の憧れであった。

 ファミコンでそれを実現させようと誕生したのが、これらのソフトだったのだ。

 今、“シリアスゲーム”が注目されている。

 ゲームを単に遊びとしてだけではなく、教育や医療、経営、社会問題の解決などに役立てていこうという試みだ。

 特に教育においては、テレビゲームを勉強に使うことで、子供たちも楽しみながら学ぶことができる。

 「ポパイの英語遊び」「ドンキーコングJR.の算数遊び」は、22年も前に、シリアスゲームに近い考え方を実践していたと言えよう。

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