「葛藤がテーマ」――公式記者会見で野村哲也氏「FFVII AC」を語る:ヴェネチア国際映画祭
8月31日夜の「ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン」公式上映を前に、国内外の記者団に向けた公式記者会見が開かれ、本作についての質問が交わされた。
「今回の作品では子供達の救済と主人公の葛藤を描いています。主人公(クラウド)の過去の過ちは、間接的に今の世界の悪い状況を作っていたりする。そして、その影響を受けてしまった子供達もいる。ところが、いろいろな事件が起きる中で、それらはどんどん風化されていってしまっているんです。けれども当事者である主人公はそれを忘れられないでいるんですね」とディレクターの野村哲也氏は語った。
本格的な映画化は? の問いに橋本真司プロデューサーが「もともとこのプロジェクトがスタートしたときは20分の短編にする予定だったので、最初から劇場版の予定はありませんでした。ですから結果として、セルDVDでの展開がメインになりました。今後、アメリカ、ヨーロッパに向けて制作を進めていきますが、詳細は現在検討中です」と続ける。
現地8月31日夜の「ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン」公式上映を前に、国内外の記者団に向けた公式記者会見が開かれ、さまざまな質問が飛んだ。
この会見の場には、主人公クラウド役の声優櫻井孝宏さんと、ヒロインの1人ティファを演じた伊藤歩さんも同席していた。櫻井さんは「クラウドは、ヒーローっぽいのに、ナイーブだったり、物思いにふけったり、すごく不器用な性格だったりと、ものすごくさまざまなものが混在しているキャラクターでした。その微妙なバランスを演じるのは難しく、声のトーンもそうでしたが、すべての演技にすごく微妙なニュアンスを要求されましたね。でも、そのぶんとてもやりがいがあって、とても素晴らしい体験をさせてもらえました」とクラウドを演じた印象を語った。
また、ティファ役の伊藤歩さんは「今回初めて声優に挑戦させていただいたんですが、とにかく“気持ちを声に込める”というのは、とても難しかったです。でも、約2年近くみなさんと一緒にやらせていただいて、大事なことがたくさんわかってきました。これ以降の映画などに出演しても、この作品での経験は私自身、すごく影響していると思います」と語り、俳優と声優の違いから得たものについて話してくれた。
これ以降も映像作品を作っていくのかという問いには、野村哲也氏が「もともと僕は、ゲームを作っている人間ですから、今も数年分ゲームの予定がとにかく立て込んでいるんですね。そのスケジュールの中には、映像作品の予定は今はないです。今回の作品(『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』)は、とにかくタイミングが良かったんですよ。いろいろなタイミングがうまく重ねって実現した作品だったんです。ですから、映像作品は、またタイミングが合えばやってみたいとは思います」としめくくった。
とはいえ、まさに歴史に名を残した「ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン」は、ファンならずともぜひとも見てほしい作品だ。その圧倒的な完成度と娯楽性に、誰もが酔いしれることだろう。
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