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「XNA Studio」の概要を発表、まずは開発の効率化にフォーカスCEDEC 2005リポート

既報どおりVisual Studio 2005 Team Systemがベース。β配布は来年3月の「GDC 2006」で行われる予定

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 8月31日の「CEDEC 2005」では、「XNAと開発者の未来 〜XNAから始まる未来〜」と題した講演が行われた。この会場で、XNAを採用した初の開発ツールである「XNA Studio」の概要が発表された。

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マイクロソフト・XNA ユニットマネージャのボイド・マルター氏。スライドの自己紹介にはなぜかゲーマータグも

 ここでまず「PGR 3」のゲームデモを紹介、「このようなハイデフゲームを作るためにはどのくらいの人数が必要か」というところから講義がスタートした。PGR 3ではプログラマーが15名、コンテンツクリエイター(企画・アート合わせて、と思われる)が開発37名、社外32名とかなりの人数だ。

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PGR 3の製作スタッフの総数。テスターを除いた実制作チームでも100人近い大所帯に

 XNAはこのようなゲームをより速く、安く、マイクロソフトのゲームプラットフォーム(Xbox 360/Windows/Windows Mobile)に向けて開発できるように開発された、という。

 GDC 2004におけるマイクロソフト・チーフXNAアーキテクト J・アラード氏のキーノートスピーチでは、DirectXとXDK(Xboxの開発キット)が共通化されることが発表されており、WindowsゲームとXboxゲームの開発における親和性が強まったと言える。

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GDC 2004ではUSBコントローラの共通化も発表されており、実際にXbox 360のワイヤードコントローラはPCでも使用できるようになった

 しかし、現在のゲーム開発での問題点として「コンテンツ制作のツールに予算がかけられない」、「コンテンツ制作側のワークフローが紙ベース・電話ベースなどで行われており効率が悪い」、「ツールがプログラマー向けに作られていてコンテンツ制作側には習熟に時間がかかる」などの問題が発生していた。

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これらの問題を解決することが急務と考えたXNAチームはXNA Studiosを開発することに

 さらにこれに加えて、コンテンツクリエイターは自分たちの作ったデータを自ら開発したデータファイルに変更する手順が必要となり、プログラマーの作業が増えていることも指摘。データの構造をXNAで定義してこれらの作業を軽減することでプログラマーにゲームエンジン開発に専念してもらう、というのもXNA Studioの目的だ。

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今までの製作過程のフロー。送られてくるデータの種類が増えればコンバータの開発負担も増える
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さらに機種が増えればそれだけ負担も増えることに
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XNAのビルドシステム。マルチプルプラットフォームサポートやコード・アセットの再利用を念頭に置かれている
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ビルドシステムの構成。「.net Framework」がビルドシステムの中核になり、コードは「Visual Studio」で、コンテンツは「XBS」で制作

 XNA Studioは現在β版が配布されているVisual Studio 2005 Team Systemをベースに作られている。プログラマ・テスター用のコンポーネントに加えて、XNA Studioのために開発されたプロデューサー・コンテンツクリエイターのためのコンポーネントを開発、これを使用して、アセットデータ管理を含めたゲームコンテンツ開発を一元化する。進行状況はVisual Studio Team Foundation Serverに随時アップロードされ、チーム内で随時確認できるようになるという。

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Visual Studio 2005 Team Systemの概要から説明。詳しい話はITmediaエンタープライズの「チーム開発に最大限に貢献する、進化したVisual Studio 2005」など読んでほしい
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XNA Studioはこれの上に構築される。Visual Studio 2005にはない、アセットデータ管理などが追加される

 ただし、今回は開発作業の向上にフォーカスを置かれているために、ミドルウェアの機能統合などは見送られている。また、当然ながら他社機種の開発に関しては「使える機能もあるがフォローはしない」というスタンスとなっている。

 リリースは2006年夏の予定で、2006年春に行われる「GDC 2006」でβ版が配布される予定だ。

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