「Xbox 360の購入意欲はこれからどんどん高まっていく」――ピーター・ムーア氏に日本市場での展望と意気込みを聞く(2/2 ページ)
東京ゲームショウを明日に控え、マイクロソフトは記者発表会を開きXbox 360の日本での発売日や価格を発表。その発表会の直後、Xboxのキーマンであるピーター・ムーア氏にインタビューする機会を得た。今度こそ日本で成功できるのか、その展望を聞いた。
Xbox 360はあくまでもゲーム機でありエンターテインメントデバイスだ
――(Xbox 360も含めた)次世代機はインターネットのセットトップボックスとしての利用方法も考えられる、と言っている人もいます。Xbox 360をそういった方面での位置づけで販売しようと考えていたりしますか?
ムーア 私はドリームキャストでも感じていましたが、セットトップボックスのようなものではインターネットを深く楽しむには役不足であると思います。インターネットを深く楽しむには、PCでキーボードとマウスを利用してプライベートに楽しむほうがいいでしょう。Xbox 360はあくまでもゲーム機です。ネットワーク機能は、ゲームやボイスチャットなど、他のプレーヤーとのコミュニケーション手段として活用するものです。Xbox 360は、家庭にあるハイビジョンテレビやドルビーデジタル5.1チャンネルサウンドシステムなどと接続して、ゲームも含んだマルチメディアコンテンツを楽しむエンターテインメントデバイスであると考えています。
――USBでデジカメを接続できますので、PCの周辺機器メーカー、特にプリンタメーカーがかなり興味をもっていると聞いています。例えば、プリンタなどの周辺機器を接続して利用できるようになるといったことはありますか?
ムーア プリンタは、PCに接続して利用する周辺機器です。デジカメで撮影した画像を編集しプリントするという作業は、やはりPCでやるべきことです。ディスプレイの目の前に座り、手の届く範囲内にPC、キーボード、マウス、プリンタ、デジカメなどを置いて、それらを接続して活用する。狭い範囲内での作業ですね。例えば、メールを送受信したり、情報収集したり、Officeソフトを利用して文章を作成したりプレゼン資料を作るというのも同様です。そういったものはPCのほうが向いています。
それに対してXbox 360は、やや離れた場所からくつろいで楽しむものです。ですから、PC用の周辺機器を接続して利用する機器ではありません。ソファーに座ってゲームや映像、音楽を楽しむ、そういった用途に利用するものです。
――ただ、周辺機器メーカーはUSBで様々な機器を接続して利用できるためXbox 360に注目しているようです。マイクロソフトとしては、USB接続の周辺機器はXbox 360向けに自由に開発してください、というスタンスでしょうか。または認証した周辺機器のみを提供していく予定でしょうか。
ムーア Xbox 360では、MP3プレーヤーやデジカメなどのエンターテインメントデバイスはすでに接続して利用できるようになっています。しかし、ゲーム機にプリンタを接続して利用するということの必要性があまり感じられません。
Xbox 360は、音楽、映画、写真など、エンターテインメントコンテンツを楽しむものです。インタフェースも直感的に操作できるようになっていますので、カジュアルユーザーでも簡単に楽しめます。実際にXbox 360を家族に見せたときに、ゲーム以外の機能を30分ぐらいかけて説明したぐらいです。
――Xbox 360はエンターテインメントデバイスだということですが、単純にゲーム機として考えると、やはり競合相手はソニーになると思いますが、エンターテインメント全般を考えると、映画やハイビジョンのテレビ番組なども競合相手になると思いますが?
ムーア Xbox 360の核となる部分はやはりゲームです。現在の消費者は、ゲーム機に対して幅広い体験を求めていると思います。プレイステーションでは、ゲームに加えて音楽CDが楽しめました。ドリームキャストではそれらに加えてインターネットにアクセスできるようになりました。プレイステーション 2では、ゲームと音楽に加えて映画(DVDビデオ)が楽しめるようになりました。Xboxでは、それら全てに加えて、音楽を蓄えることもできるようになりました。そしてXbox 360では、複数のデバイスと接続できますし、さまざまなコンテンツを扱えます。そういった意味では、映画などは競合相手ではありません。
今後Xbox 360の購入意欲は上がっていく
――日本のゲーマーにアンケートを取ったところ、6〜7割の人が、欲しい次世代機としてプレイステーション 3を選択しています。日本のゲーマーは、Xbox 360はどうなのかな、と疑問に思っている人が多いのでしょう。この意識を変えられなければ厳しい戦いが待っていると思います。そういった部分に対する見通しはいかがでしょうか?
ムーア 私が今まで見たそういったアンケートのデータは、どれもサンプル数が少なく、信憑性という意味ではやや疑問もあります。私たちは、今日から価格も含めた提案を始めた段階で、価格やタイトルに関する市場調査はまだ始めていません。しかし明日から東京ゲームショウが始まりますし、今後購入意向を調査していきます。そして、Xbox 360を購入したいというパーセンテージは上がっていくと思います。1995年、任天堂やセガに対して、プレイステーションの購入意向はどの程度だったか知っていますか?
――当時はほとんど見向きされていませんでしたね。失敗するという意見もたくさんあったと記憶しています。
ムーア ですよね(笑)
――でも、それを覆したのは、「ファイナルファンタジー」であり、「ドラゴンクエスト」です。
ムーア Xbox 360では、それがブルードラゴンであり、ロストオデッセイです。
――これは個人的な要望に近いかもしれませんが。7月に開催されたXbox Summit 2005で、ファイナルファンタジーXIのプロデューサーである田中さんが、Xbox 360版ファイナルファンタジーXIのβテストを「かつてない規模」で行うと発言されました。そして、日本向けのXbox 360ではHDDユニットが付属されます。そこで、Xbox 360自体にファイナルファンタジーXIのβ版をインストールした状態で発売するというのはどうでしょうか。これはかなりのインパクトを与えることになるかと思いますが。
ムーア “可能性”としては存在します。丸山さんは決定的なことを言っていませんし、ここでも何も言えません。また、最終的な決定権はスクウェア・エニックス側にあります。しかしながら、可能性としてはありえます。
――明日から東京ゲームショウにユーザーが詰めかけますが、日本のユーザーに対して何かひと言お願いします。
ムーア 丸山さんも言ったように、東京ゲームショウでは実際にプレイできるXbox 360向けのタイトルが展示されます。次世代のゲーム機、HDクオリティのゲームが今年発売されるのです。Xbox 360はグローバルローンチとなりますが、日本で今回のような記者発表会を開いたということからも、日本市場に力を入れていることがわかってもらえると思います。とにかく、日本のゲーマーの皆さんは、Xbox 360の前に立って、実際にゲームをプレイして斬新さを体験してみてください。そして、その体験をもとに、判断していただければと思います。少なくとも、東京ゲームショウ以降は、購入意向が必ず上がると思います。
――最後に、ピーターさんが「これはすごい」と思ったタイトルを上げてください。
ムーア “すごい”ということで選ぶのは難しいですね。「Perfect Dark Zero」はすごいですし、PGR3はそれこそ驚異的な出来ですし、カメオも非常に美しい映像が実現されています。また、「エブリパーティ」はみんなで楽しめます。実際に私の13歳の娘とも楽しみましたが、笑える要素満載で非常に楽しめます。とにかく、どのタイトルもこれまでにはないクオリティを実現していますし、これだけのクオリティのゲームがローンチタイトルでそろえられているということは、すごいことだと思います。
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