大都会という迷宮を駆け抜ける、ポップでホットな爆走野郎たちの大冒険:「クリティカル ベロシティ」レビュー(4/4 ページ)
80キロ以下じゃ、タル過ぎて走れない。アクセルをちょっと踏めば、あっという間に150キロの世界。街中をハイスピードでかっ飛ばすことに特化した、まさに「暴走を楽しむ」ゲーム。ただし、主人公は正義の味方。暴走は、あくまで善良なる市民を守るためなのだ。
指先だけではなく、頭脳も駆使するのがクリアの早道
クリティカル ベロシティは、リアルさではなく娯楽性を追求したゲームだと思う。だが、ここで気をつけて欲しいのは、だからといって“イロモノ”ではないということだ。
ドライビングゲームとして見た場合、このゲームは、正確な無比な操作をできる人のみが先へ進めるゲームではなく、腕前はそこそこでいいが、その代わり、よく観察し、よく考えた人が勝てる、という内容になっている。このスタンスが、コミック的な設定と相まって、クリティカル ベロシティを、間口の広い、より多くのプレーヤーが楽しめる作品にするのに一役買ってくれているのである。
その中でも注目したいのが、舞台となるプリヨシティの道路マップだ(以下の写真は特に頻繁にミッションの舞台となる都市中心部のマップ)。
例えば、制限時間以内にA地点からB地点に行け、というミッションに挑むとしよう。この場合、マップを見て最短経路を探ることになるのだが、これが非常に上手く作られていて、絶対的にこのルートが近い、という明確な解答はほとんど得られない。だいたいにおいて、複数の候補が挙がるようになっているのだ。
ここで重要になるのが、それまでのプレーヤーの観察力と記憶力だ。走行距離に大差がない場合、道幅が広かったか、交差点が曲がりやすかったか、勾配がきつくなかったか、など微妙な道路事情がタイムに影響してくる。あまりカスタマイズしていない車でミッションに挑むときなどは、わずか数秒の差で涙を見ることもしばしばだけに、慎重なコース決定が欠かせないのである。
その一方で、やはり一定のテクニックも必要になる。いくらルートの算定がカンペキでも、腕がボロボロではクリアまでの道は遠いだろう。ただ、クリティカル ベロシティはそのあたりのバランスが良く、シナリオモードをクリアしていけば、自然と技量も上がり、先へ進む素地ができるようになっている。同じミッションで何度も失敗することがあったら、それまでのテクニックでは乗り越えられない、何か新しい要素があるのだと考え、落ち着いて別のアプローチを考えるタイミングなのかもしれない。
暴走=過度のスピードオーバーだから、万一、警察に見つかれば、タダでは済まない。どこまでもしつこく追いかけてくるうえに、逃走中にもどんどん新たなパトカーが加勢してくる。もし捕まれば、高額の罰金を払わねばならない
ストレートでポピュラーなキャラクター、コミック的な設定を十分に採り入れたカスタマイズ、ドラビングテクニックだけでは効率の良いクリアが難しい、考えさせられるミッション攻略。クリティカル ベロシティは、車を運転する楽しさとゲームならではの面白さを、バランス良く併せ持ったタイトルだ。手軽にドライビングゲームを遊びたい人や、車のゲームをやってみたいけど難しそう、と躊躇している人などには、真っ先にプレイすることをお奨めしたい。
クリティカル ベロシティ | |
対応機種 | プレイステーション 2 |
メーカー | ナムコ |
ジャンル | ドライビングアクション |
発売日 | 発売中 |
価格 | 7140円(税込) |
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