既存のヌルいRPGなんてやってらんねーという方への処方箋:「XANADU NEXT」レビュー(2/3 ページ)
今から20年前に、PCゲーム史に残る記録を作った1本のタイトルがあった。その続編となる作品が、世紀をまたぎまったく新しいシステムを備えて登場する。名は「XANADU NEXT」。元となったXANADUとは? そして、20年ぶりの続編はどのようなものになっているのか?
今作の舞台は、高原の覇者と称される王国・レイランド。時代は、前作「XANADU」から千年以上が経過している。かつて、クーブラ・カーンが建国したザナドゥ(桃源郷の意味)はすでになく、今ではその遺跡が残るのみ。騎士が威信を失い急速に没落していった時代に、主君を失い騎士として己を見いだせずにいた青年が、知己の少女に誘われるがまま旅をし、たどり着いた街“ハーレック”から物語は始まる。街へと向かうためにオーウェル湖を船で渡っていたその時、霧が濃くなり突如として現れた“オーウェル湖の奇岩城”。この城が、青年の後の運命を決定づける……。
青年は、ハーレックの街にある地下ダンジョンへと足を踏み入れ、そこでザナドゥ時代の宝冠を見つける。しかし、突如現れたドヴォルザークと呼ばれる謎の騎士に戦いを挑まれ、王冠を奪われるだけでなく瀕死の重傷を負わされてしまう。彼を治療したのは、ガーディアンと呼ばれる精霊を宿すことができる神官のリーゼ。彼女により一命を取り留めた青年だが、根本的な治癒のためには聖剣ドラゴンスレイヤーが絶対に必要で、それはオーウェル湖の奇岩城にあるらしいという。おのれを見いだすため、そして生きるため……。青年の戦いが、ここから始まる。
主人公である青年の名前は、「XANADU」と同じく入力が可能。操作方法も簡単で、マウスカーソルを移動させて左クリックすると、主人公がその場所へ向かって移動する。敵が現れた場合、カーソルをターゲットに合わせて左クリックすれば、装備している武器で攻撃してくれるのだ。
なお、主人公は魔法を含めて一度に4つまでのスキル(後述)を装備することが可能で、右クリックで選択しているスキルを発動する。基本的には、出現する敵を左クリックで攻撃しつつ、難所では魔法やスキルを織り交ぜながら、敵を倒し先へ進んでいく。実際、マニュアルを見ることなくゲームを進められたことからも、誰もが直感的にわかる操作方法だと言える。敵の動きがそれほど激しいわけでもないので、相手の攻撃を移動してかわし、そのまま背後に回り込んで斬りつける、程度のことなら問題なく実行できた。フルマウスオペレーションとはいえ、バランスに関しては問題ないだろう。
とはいえ、残念なのはキーボードからキャラが操作できないこと。なぜマウスで主人公を移動させなければならないのか、今ひとつ理解に苦しむ。往年のプレーヤーであれば、キーボード操作のほうがしっくりくるはずだ。これが本作における、最大の欠点ではないかと感じた。とはいえ、古い世代の人間でなければ、マウスでの操作に違和感を感じることはないのだろうが……。
敵が大勢出現する場面では、キーボードで操作できたほうが素早い動きが(個人的には)できるので、マウスではプレイしづらいと感じた。PC-9800シリーズでブランディッシュをプレイしたときのような、あの独特の操作しづらさを思い出す。懐かしすぎ?
とはいえ、上記までで述べたゲーム性だけならば、通常の3DアクションRPGとそれほど差はないという危惧を持つ人もいるかもしれない。そんな心配を吹き飛ばすかのように、本作には随所に“XANADUらしさ”が取り込まれているのだ。
中でも特筆すべきが、20年を経ても変わらない自由度の高さだろう。例えば、レベルが上がると、主人公の各種パラメータをアップできるボーナスポイントがゲットできる。これを振り分けることでキャラクターが成長していくのだが、その配分方法はプレイヤーが自由に決定できるのだ。腕力だけを重点的に上げたり平均的に成長させるなど、育て方は遊ぶ人次第。武器や防具などには、それを装備するために最低限必要なパラメータが決められているので、どちらを優先して身につけるかによっても、成長のさせ方が変わってくるはずだ。
武器に設定されている熟練度も、“XANADUらしさ”の1つといえるだろう。武器は使い込むほどに熟練度がアップし、威力を発揮するようになっている。場合によっては、買ったばかりの2ランク上の武器よりもダメージを与える、なんてこともあるのだ。
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