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「再現」ではなく「転生」したウルトラマンのかっこよさ「ウルトラマン Fighting Evolution Rebirth」レビュー(5/5 ページ)

長年に渡って多くのファンを魅了し続け、世界観も確立されているキャラクターのゲーム化は、簡単なようで案外難しいのかもしれない。ファンのこだわりや欲求が多岐にわたるからだ。シリーズ4作目となる「Rebirth」では、大胆な解釈による新たなウルトラマン像が打ち出されている。

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音の良さ、芸の細かさも○だが、やっぱりあのモードがほしい

 最後にいくつか気づいたことを述べさせてもらうと、まず効果音やBGMなど、音の演出もなかなか凝っている。サラウンドに対応しているわけではないのだが、ウルトラマンや怪獣の声、爆発音、特定のアクションに付帯する効果音などがほどよい残響感を伴い、ビジュアル面の強烈なインパクトにも負けていない。また、序盤はマイナー調にアレンジされたBGMが流れ、敵の体力があとわずかになると、転調しておなじみの勇ましいテーマ曲に変わるなど、気分を盛り上げる工夫もうれしい。

 さらに、至る所で芸の細かさを感じられるあたり、開発陣のウルトラマンに対する愛着や思い入れが見て取れる。ちょっとしたモーションの中にも、キャラクターの個性がしっかり反映されているのだ。

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渾身の力を振り絞ったワイドショットで怪獣を倒し、力を使い果たしたようにガクンと片膝を付くセブン。こういうところにも開発陣の美学が感じられる
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馬乗りになってパンチをたたき込むタロウ。パワフルでちょっと向こうっ気な感じのタロウらしさがよく出ている
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写真からは分かりづらいかもしれないが、ウルトラマンや怪獣が倒れたり地面に投げつけられたりすると、その衝撃で路上の車が飛び上がったりする。何とも芸が細かい

 惜しまれるのが、「リプレイモード」が搭載されなかったこと。これは、自分自身のプレイをビデオのように記録しておき、後で再生して楽しめるというモードで、前作には搭載されていた。任意の視点で鑑賞することも可能だったため、例えば「ウルトラマンと怪獣の戦いをビルの屋上から見ている自分」を疑似体験できたのだ。

 FE3では、この「リプレイモード」で自分なりの名勝負を作るのが何より楽しかった。序盤は有利に戦いを進めていたウルトラマンが、怪獣の思わぬ反撃を受けて一転劣勢に。追い込まれ、カラータイマーも赤に点滅……というところで、機転を利かせた必殺技で怪獣を倒す。そんなファンタジーを具現化できるところが好きだったのだが、今作ではなぜカットされてしまったのだろう。

 また、オリジナルのストーリーに集中特化して作られたことは理解できるものの、新マン、エース、レオ、平成ではダイナがいないのは、それぞれのファンにとってさびしいところかもしれない。個人的には、リアルタイムで一番よく観ていたエースが登場しないのが残念で、Rebirth風に演出されたらどんなふうになるのか見てみたかった。

 今回のRebirthは、強いて言えば過去のシリーズ3作品の傍系とも呼べる作品。原作にはないプロットや改造怪獣などを盛り込んでいるという点で、「もしも、○○○だったら」というエルスワールドをゲーム上で展開した意欲作でもある。「4」ではなく、あえて「Rebirth」と名付けたのも、そのあたりを考慮してのことだろう。歴代のウルトラマン勢揃いとはならなかったが、代わりにウルトラマンの新たな一面が発現した。すでに完成された世界観と思いこんでいたが、アプローチ次第ではまだまだ違った展開もできるものだ、と感服するばかりだ。

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最後にとっておきのショットを1枚。あるエピソードで特定の条件を満たしてイベントを発生させると、ウルトラマンで「ギガスペシウム光線」が放てる。ウルトラマンが文字通り「Rebirth」する瞬間だ
(C)円谷プロ (C)2001 円谷プロ・毎日放送 (C)BANPRESTO 2005


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