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アナタの1日に“癒し”と“幸せ”を提供する、ちょっと不思議な世界「福福の島」レビュー(2/2 ページ)

PSPの中にある、福を呼ぶ島。住人たちはあなたが遊びにくるのを待っている。癒し系ゲーム「福福の島」、数々の占いや心理テストで、今日も1日幸せになろう。

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シュールでかわいいキャラクターたち

 福福の島へ行くモチベーションとなるのが、個性的なキャラクターたちだ。彼らはそれぞれ、得意な占いやミニゲームでプレーヤーを楽しませてくれる。その例を挙げると……。

・マリアン:お団子を重ねたような髪型と、巨大な水晶玉が特徴的な、19歳の女の子。占い界の名門に生まれ、星占いが得意。ある日の天秤座の運勢は「ラッキーカラー:ブルー あまりパッとしない運気ですが、何かと忙しい一日となりそうです。できれば早い時間帯に今日は何をやりたい、と決めておかないと、あれもこれもと手を出して、どれも中途半端に終わってしまう恐れがありますしっかりとスケジュールを組んでおけば慌てずにすみます」と、こんな感じ。
・チヨさん:ピンクのパラソルにピンクのワンピース姿、浜辺でいい男を待ち続けるおばあさん。得意なのは血液型占い。ある日の総合運。「忙しさから、何かと手抜きになりがちな日です。デスクや自室が乱雑になってはいませんか? 手続きすべきことで放りっぱなしのものがあるのなら、思い切って時間をとりましょう。創作意欲がわく日でもあるので、何か手づくりするのはラッキーです」と、こんな感じ。
・ジル:夜だけ森に出没する幽霊少女。タロット占いが得意で、プレーヤーが強く念じたことをタロットカードで判断してくれる。ちなみに筆者が念じたのは仕事運。すると出たカードは不吉な「死神」!! 「現状との別れがやってきます」というようなことを言われて目の前が真っ暗に……。今後、仕事はどうなる?

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島の長老格、福福先生が担当しているのは中国系の占い。今はシンプルな干支占いに凝っているのだとか

 ほかに注目すべきキャラクターとしては、島をうろつくかわいいガイコツ軍団「ガイコツナンバーズ」(構成員は50人)がいる。彼らが得意とするのは、ちょっと懐かしい「動物占い」、「家電占い」のような、物に例える占い。「帽子占い」、「おにぎり占い」、「料理占い」などを連発し、プレーヤーをヘンテコな物に分類する。筆者はおにぎり占いでは「シャケ」になった。

 “誰にでも愛されるおにぎりの定番のひとつシャケ。ご飯との相性のよさは、誰とでもうちとけられるあなたのコミュニケーション能力の高さみたいなもの。あなたの能力に嫉妬している人も実はいることも忘れずに”とのことだが。良いのか悪いのか? ちなみに「食器占い」では「箸」、「船占い」では「ささぶね」に分類された。小さなものばかり……。器の小さい人間ってことか!?

 また、ビシッと決めた蝶ネクタイにタキシードを着こなすのが「チワワさん」も捨てがたい。人の言葉を話す天才的な動物のひとりで、人間心理の分析に魅せられた心理学者だ。“いやあ、うれしいなあ。また会えましたね。あの、今日も私の調査にご協力いただけますよね?”と礼儀正しく上品な言葉遣いで、心理テストに誘う。

 このテストでは、質問に答えることで、恋愛・仕事・性格・対人関係の4カテゴリー20項目にわたる診断を下してくれる。“友達がプレゼントしてくれた大きな箱。中身はどうやら人形らしい。どんな人形だと思う? 1:雪だるま 2:マトリョーシカ 3:だるま”。この質問では、どれだけ物事に対してポジティブに向き合えるかがわかるという。日々のテストの結果はまとめられ、メニュー画面の「あなたのカルテ」で総合的に見ることができる。

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「恐怖のあだ名占いで全世界を打ちのめす」ガイコツナンバーズ。構成員はバラバラに出現する。50のあだ名を集められるか?
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つぶらな瞳で人の心はお見通しのチワワさん。設問が細かいので、かなり詳しい深層心理がわかってしまいそうだ

 同様の形式では、チワワさんの親友で精神分析医の「アメショー先生」が担当する「心理検査」もある。こちらも、数十回と検査をすることで、かなり正確に自分の性格を把握できるというもの。結構本格派で、結果を見るのがちょっと怖い!?

 占いや心理テスト以外のミニゲームも豊富だ。個人的にハマったのは、異次元のブリッキ王国から福福の島に留学している双子の王子「パコンとペコン」のクイズ。パコンはノーマルなクイズだが、ペコンは資格試験からの出題で難問ぞろい。「不動産試験」では“地すべり等防止法によれば、ぼた山崩壊防止区域内で土石の採取を行う場合、(   )の許可が必要である”なんて問題が飛び出す。取れる資格は「建築試験」、「秘書試験」、「料理人試験」など全25種類。この切り口は面白い。

 ほかにも「有限会社モグやん建設」が主催する「クロスワードパズル」(週1更新)や、森に住む「キーノ」が島にばらまくピースを集めて組み立てる「ジグソーパズル」、お金を賭けるのが大好きなペンギン三兄弟の「ペンタゴン」の「ギャンブル」(旗の絵当てや目押しなど、曜日ごとに内容が違う)や、庭師の「ドリアードシニア」から、うんちくを教えてもらう要素も。“雁の味に似せて作った「がんもどき」の別名が「飛竜頭」というのを知ってたかね? ポルトガルの揚げ菓子ヒリウズが語源なんだと”……知らなかった。

 毎日変わる福福の島。そこに行けば、なんとなく楽しいことが待っている。決してクリアを目指して根を詰めるゲームではない。ダラダラと毎日プレイする、これは携帯機ならではの提案だ。しかも、占いのみの単純な実用的ソフトの類ではなく、世界がしっかりと作られ、個性的なキャラクターが生き生きしているのもいい。ヒヨコ頭の宇宙商人「ヒヨピー」は、胡散臭い関西弁を操り、普及を目論む「ヒヨピースタンプ」と服や家具を交換してくれる。一方、広島弁で凄むのが任侠キノコ集団「ホシダケ組」、でもキノコだから一歩も動けないとは……なんとも不思議な世界である。

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モグやん建設は、毎週月曜日に新たなクロスワードを出題する。解いていなくても更新されるのでできれば解きたいところ

PSPでは久しぶりのゆったりソフト

これまでPSPでは、ハイクオリティなハードスペックゆえに、据え置き型にも劣らない本格的なゲームが多く発売されてきた。このイメージから本作はやや外れる。PSPを日常生活のお供として使ってほしいという作り手のメッセージを感じるのだ。“今日の金銭運は?”、“ラッキーカラーは?”、気になったらふらっと島に行く。そんな気楽なスタンスでいいと思う。

 ひとつ残念な点を挙げるとすれば、ロード時間が長いこと。ハードの特性で仕方がないのかもしれないが、あちこちに移動するゲームとしては辛いものがある。ロードによるストレスが全体に対する評価を下げてしまいかねない。(それを緩和するため、ロード中、キャラクターのプロフィールが表示される。このテキストが面白く、読んでいるうちにロード時間が過ぎるのだが……)。

 占いはあくまで気休めと思っても、何となく気になってしまうもの。福福の島で出た結果をいいように活用して、今日も幸せな一日を過ごそう。ゲーム世界の占いが、現実世界にも影響する。ちょっと不思議な感覚が味わえるはずだ。

福福の島
対応機種PSP
メーカーソニー・コンピュータエンタテインメント
ジャンル日替わり福まねきゲーム
発売日発売中
価格5040円(税込)
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