こすって、揺らして、ブッた切る――ニンテンドーDSだからできた新アクションここにあり:「ビューティフル ジョー スクラッチ!」レビュー(2/2 ページ)
早くも3作目となる「ビューティフル ジョー」シリーズ。毎回、工夫を凝らしたシステムやステージで、プレイヤーを飽きさせない良作となっているが、その点は本作でも健在。タッチパネルを使った操作がなんとも楽しい1本となっている。
さわって発動! 美しきVFXパワー!!
ではここで、そんな魅力的なVFXパワーについて、具体的に紹介してみようと思う。まずは、Lボタンを押すことで発動する「スロー」だが、これはシリーズ通してジョーが使っている、最も基本的なパワーのひとつだ。その名の通り、“画面内のすべての動きをスローモーションにしてしまう”という、アクションゲームではかなり反則気味な能力で、ただスローにするだけでなく、発動中にはいろいろな付加効果もある。
例えば、スロー中のジョーの攻撃は威力が上がるし、ちょっとした爆発でも迫力のある大爆発になったりする(巻き込まれないように注意!)。さらには、敵の放った飛び道具がジョーに迫っている時に使えば、マ○リッ○スばりの華麗な動きで、それを自動的に避けることもできるのだ。
主に戦闘で使うことの多いパワーだが、飛び移るタイミングが難しい場面など、ちょっとしたところで便利に使うこともできる。もちろん、無意味に使ってジョーの美しい動きをじっくりと観察する、なんてのもアリだ。
もうひとつの基本的なパワーが「スクラッチ」。これはタイトルにもついているように、本作用に導入されたニンテンドーDSならではのアクションとなる。使い方は、Rボタンを押して発動させた後、“タッチスクリーンを激しくこする”というもので、画面をグラグラと揺らすことができる。
避けで攻撃をかわし、敵が目を回している時に使えば、相手の頭上から岩やら鉄アレイやら金だらいやらを降らせ、ダメージを与えられることができ、脆そうな壁があれば崩すことも可能だ。それに、何と言っても自分の指で画面を揺らせるという行為が妙に楽しい。画面内に複数の敵が出てきたときには、迷わずスクラッチで一網打尽にすることをお勧めする。
3つ目のアクションは「スプリット」だ。これは、タッチスクリーン(下画面)の上のほうに触れて左右に動かすことで、“画面の上半分を左右にずらすことができる”というもので、使い方のバリエーションも豊富に用意されている。
例えば、敵と戦っている場面では、上から落ちてくる攻撃をずらしてかわしたり、水道管を切断して水を流し、水に弱い敵の動きを止めたりすることができる。また、特にスプリットを使った謎解きが必要のない場合でも、取りにくかったアイテムをずらして取りやすくするなど、思わぬ手助けになってくれることがある。画面が左右にずれる、という見た目のユニークさも手伝って、つい無意味(かどうかは使ってみないと分からないが)に使ってしまいたくなるアクションとなっているのだ。
最後に4つ目のVFXパワーとして、タッチスクリーンに触れて、下に動かすことで発動し、“上の画面と下のタッチスクリーンの表示を入れ替えてしまう”という、前代未聞のパワー「スライド」がある。
普段はタッチスクリーンを見て操作を行い、上の画面にはジョーのアップ映像が映されている(結構細かいところまでちゃんと作ってあるので、余裕のあるときに鑑賞してほしい)のだが、スライドを使うことで、ジョーのアップ映像をタッチスクリーンに表示することができるのだ。
スライド発動中は、敵がびっくりして(?)動けなくなる上、ジョーの攻撃力もアップする。ボスキャラなど、特殊な動きでなかなか捕まえにくい敵や、一度に大ダメージを与えにくい相手に対して、非常に有効なパワーとなっているのである。
ただし、戦闘中にほかの操作をしながらタイミングよくスライドを行うのは少し慣れが必要かもしれない。なぜなら、空中を飛び回る敵の動きをスライドで止めようとした場合、敵がジョーに近づいてきたところを狙ってスライドを発動させると、その時にはすでに空中に戻っていたり、スライドを解除した瞬間に別の敵が近くまで来ていて攻撃されたり、といったことがあるからだ。とは言え、使いこなせるようになれば、それまで苦戦していた敵とも、かなり楽に渡り合えるようになるのも確かなので、何度も挑戦して、発動のタイミングを身につけてもらえればと思う。
さらに、スライド中に使用できるアクションとして、アップになった画面内にある特定の物をさわることで、それを壊したり動かしたりできる「タッチ」というものがある。スロットマシンをタッチでひとつずつ止めて、指定された数字の並びを作る、なんていう仕掛けまであるので、手先の器用さも要求されるアクションだ。
ちなみにタッチは戦闘でも使うことがある。というのも、敵の中にはジョーの攻撃ではダメージを与えられず、プレーヤー自身がタッチして倒さなければならないものがいるから。ただしこの時、タッチすることに集中しすぎてジョーの操作を怠ると、ジョーが攻撃を受けてしまうことがあるので注意が必要だ。
なお、これらのVFXパワーは好きなだけ使えるわけではない。パワーを発動している間は、「VFXゲージ」と呼ばれるゲージの量が少しずつ減っていき、これがなくなればその効果が強制的に終了するとともに、ジョーの変身も解けてしまう。VFXゲージは時間が経てばすぐに回復するので、使い切ることをそれほど恐れなくてもいいが、ボスキャラなど強敵と戦っている時は、注意して使っていかないとピンチを招くことになる。美しく活躍し続けるには、慎重さも重要なのである。
考えるな、指先で感じるんだ!
さて、ここまで本作のシステムや、その最大の魅力であるVFXパワーについて書いてきたわけだが、本作の場合、多くのVFXパワーに採用されているように“画面をさわって操作できる”というニンテンドーDSの特徴が、本当にうまく取り入れられている点がすばらしいと思う。
ニンテンドーDSのタイトルにとって、タッチスクリーンをどう活用するか? というのは何よりの命題であるが、本作はその辺の使い方、というかバランス感覚が非常に良いのだ。普段は通常の操作を行いつつ、ここぞというタイミングで画面に触る。これが適度なアクセントとなって、ゲームを盛り上げてくれる。
本来、画面の向こうにあって手の届かないはずのものを、直接自分の指で動かせるという面白さ。それがニンテンドーDSというハードに合わせたVFXパワーを導入することで、巧みに表現されているのである。正直、こういう感覚を文章で伝えるのはなかなか難しい。これはぜひとも、実際にプレイして、自分自身の指先で感じ取ってもらいたい面白さなのだ。
ビューティフル ジョー スクラッチ! | |
対応機種 | ニンテンドーDS |
メーカー | カプコン |
ジャンル | VFXアクション |
発売日 | 発売中 |
価格 | 5040円(税込) |
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