380(種類以上)×1000(回遊べるRPG)の面白さ。もぐって集めて遊び尽くせ:「ポケモン不思議のダンジョン 青の救助隊・赤の救助隊」レビュー:(1/5 ページ)
もはや説明の必要もないほどの人気タイトル「ポケットモンスター」シリーズと、根強い人気で常に続編が待たれる「不思議のダンジョン」シリーズが夢のコラボレーションを実現した。その名も「ポケモン不思議のダンジョン」。青と赤の同時発売でニンテンドーDSとゲームボーイアドバンスで遊べる本作について熱くお伝えしよう。
面白さの融合! ポケモン×不思議のダンジョン
「よくできてるなー」
これが筆者が「ポケモン不思議のダンジョン 青の救助隊」(以下「青」)と「ポケモン不思議のダンジョン 赤の救助隊」(以下「赤」 ※2作の総称は「本作」と表記する)をプレイしてみた結論だ。これはもちろん肯定的な意味だし、大きな賛辞である。
人はあまりにもすごいものを見るとボキャブラリーが減るらしい。自分の10倍もの大きさを誇る巨像を見れば「うわー」とか「でかー」という言葉しか出なかったりするだろうし、目もくらむほどに美しい光景を見たらため息しか出なかったり、「いやぁ」とか「すごいなぁ」とか口から出てくる言葉もシンプルになるだろう。
筆者の「よくできている」もそれに近いものがある。プレイしている間「うわーよくできてんなー」「よくできてるわー」と何度頭のなかで連呼したことか。とにかくよくできたゲームなのだ。しかし「よくできている」という単語だけでは他者に本作のよさを伝えることはできない。うむ。あれやこれやと言葉を駆使してみよう。
「よくできている」という言葉は時として「無難にできている」「手堅く仕上がっている」というニュアンスから「保守的で冒険心の低い大人しい作り」というやや否定的な意味として扱われることがある。しかし本作に対する筆者の「よくできている」はむしろその逆だ。作りこまれたキャラクターと、作りこまれたシステムがただ融合するだけではなく、1+1が5にも10にもなっている。そんな面白さの相乗効果を感じることができたのである。
そもそも筆者は「ポケットモンスター」シリーズにもひと通りハマり、「不思議のダンジョン」シリーズもほぼ全作プレイしてきた、両者のファンだった。だからこの2シリーズがコラボレートするというニュースを聞いたときには非常にうれしかったものだ。ただファンゆえに「変にいいとこどりして中途半端なものになったりしないか」という一抹の不安もあった。しかしそんな不安が杞憂であることは数時間のプレイで分かった。ポケモンと不思議のダンジョン。両者の魅力がそれぞれに出ており、しかもお互いを損なうことなく最大級に面白さを引き出している。素直にそう思えるタイトルである。
さて。それではどこがどう「よくできている」のか。本作の魅力をお伝えできればと思う。
揃いも揃った主人公たち。組み合わせは無限大?
青と赤はそれぞれニンテンドーDS(以下、NDS)とゲームボーイアドバンス(以下、GBA)という異なるプラットフォームで発売されたが、今までのポケットモンスターシリーズがそうであったように、青と赤という異なるバージョン同士が相互にかかわり合う遊び方が提供されている。その点については後述するとして、まずは両者共通の部分に触れよう。
ゲームを初めてプレイする場合、プレーヤーは9つの質問に答えることになる。質問は簡単な心理テストのようなもの。変にひねくれずに感じるままに答えていくほうが、あとあと納得できるだろう。最後に「おとこ」か「おんな」かを選ぶと自分が何というポケモンになるのかが示される。
主人公ポケモンの種類は全部でなんと16種類。つまり別の回答をすれば、なれたかもしれないポケモンが15種類もいるということだ。さらにプレーヤーは自分のパートナーとなるポケモンを10種類から選ぶことができる。この2匹の組み合わせは相当なバリエーションが産まれるだろう。10人がプレイして10通りの主人公チームができると言っても過言ではない。
こういった最初の選択肢の広さにはポケモンの血脈を確かに感じることができる。ポケットモンスターシリーズでは、最初に連れて行くポケモンを3匹から選ぶことができた。逆に言えば残りの2匹は選べない仕様だ。通信で交換ができるという前提でそういったシステムが採用されていたのだが、本作も同様、残りのポケモンが今手に入らないもどかしさと、後で仲間にできる楽しみが備わっている。
ちなみに筆者の場合、青のほうがゼニガメとピカチュウ、赤のほうはヒトカゲとミズゴロウだった。このようにパートナーポケモンは主人公とタイプの違うものにすることをお勧めする。なぜならストーリーをたどる間、パートナーは常に主人公と一緒にいるからだ。バランスのよさそうなパートナーを選んでゲームスタートだ。
Illus. Ken Sugimori
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