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インタビュー

「成長と変化」が目に見えてきた――コーエー松原氏が望む「オンラインゲーム」の行方

2月9日〜10日の両日、日本教育会館にてブロードバンド推進協議会主催による「アジア オンラインゲーム カンファレンス 2006 東京」が開催される。その中で特別講演として招聘されたコーエー松原健二氏に、講演でどのような内容を語るのか事前に聞いてみた。

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 コーエー執行役員の松原健二氏は、昨年行われた「アジア オンラインゲーム カンファレンス 2005」の特別講演に登壇し、これからコーエーは「信長の野望Online」や「大航海時代Online」を韓国、中国、台湾へと展開し、アジアに、そして世界のオンラインゲーム市場へとグローバル化していくと今後の予定を含めて、期待感を述べた。

 あれから1年。“結果”を出したコーエーが、これから向かうべく次なる展開はなんなのか……。2月9日〜10日、日本教育会館にて行われる「アジア オンラインゲーム カンファレンス 2006 東京」で、今年も特別講演を予定している松原氏は、その“結果”の報告と、現在のアジアと日米欧におけるオンラインゲーム市場の温度差と、今後直面するであろう課題について持論を展開する。その名も――「変化と成長を続けるオンラインゲーム市場で勝ち抜く戦略(予定)」。


「こうして2回目を迎えることができるのも、この1年でオンラインゲーム自身の成長を感じることができていい機会だと思う」と、コーエー執行役員の松原健二氏は2年目を迎える「アジア オンラインゲーム カンファレンス」の重要性と、オンラインゲームの将来に期待をこめる

 今年の「アジア オンラインゲーム カンファレンス 2006」は、昨年よりも各国のタイトルが充実してきており、さらにゲーム内の通貨の話やリアルマネートレイドの話など、多ジャンルの興味深いセッションが予定されており、昨今のオンラインゲームの隆盛を顕著に表していると松原氏は全体を見渡した印象を語る。また、個人的にもコーエー的にも、「アジア オンラインゲーム カンファレンス」というタイトルに沿うような、アジアにおける展開に非常に忙しい1年だった振り返る。

 昨年、「これから展開していきます」と話していたものが、いよいよ実現し今年を迎えられたと充実していたようだ。しかし、それでも100%納得できるものではなかったと厳しい。詳しい報告は特別講演で述べるとして、今年の講演ではそのへんを軸に話を進めるという。

 コーエーは昨年7月に台湾で「信長の野望Online」のβテストを行い、同じく8月に正式サービスを開始。中国でも現在、βテストが行われている段階だ。また、「大航海時代Online」は、韓国では昨年7月にβテストを行い、11月に正式サービスを開始。台湾でもつい先日の1月17日にサービスが開始されるなど、着実にプロジェクトは進行している。

 昨年は「契約しました」「計画しています」といった話が中心だったが、1年経ち、βテストを行い、正式サービスを行い、ある程度のユーザーの反応を得られた段階になっており、日本発として初めてアジアにこれだけ広く展開したオンラインゲームがアジアでどう捉えられているのかを知る貴重な講演となりそうだ。

 さらにコーエーの今後の動向についても注目したい。インタビュー中、「信長の野望Online」のβテストが行われているとはいえ、中国での展開の難しさに触れ、当面の目標に据えていると明かす。松原氏が“100%満足していない”と言わしめた一因となっているようで、行政からの許認可など、中国でのさまざまな問題をクリアしていくことでまた新たな段階に踏み出せるのではないかという。これはコーエーだけの問題ではないため興味深い。

 成長を続けるアジアでのオンラインゲーム市場では、また新しい展開を迎えていると松原氏は語る。従来どおり韓国産オンラインゲームの勢いは変わらずあるものの、地域ごとに見てみると、韓国以外のタイトルが育って来ている印象があるとのこと。特に中国国内で開発されたタイトルの成長がめざましいし、台湾でも増加している傾向にあるという。

 また松原氏は、統計が取れていないと前置きしつつも、ゲーム性ではMMOからだいぶカジュアルゲームに勢いがシフトしてきているのではないかと考察する。ただそれは、単純にMMOプレーヤーが減ったわけではなく、全体的にオンラインゲーム人口が増えたことで、カジュアルゲームを求めるライトユーザーが流入してきた結果ではないかとのこと。MMOに比べて安価に気軽に遊べる点も大きく貢献していると松原氏は推測する。

 日本でもここ1年、それほど大きな会社でなくともオンラインゲーム市場へ参入している傾向にある。市場の成長と開発企業の広がりは、ともに携えて進んでいくべきと持論を掲げる松原氏は、今後さらに主流のMMO以外のゲームデザインとビジネスモデルが出てくるだろうと予測する。やはり既存のタイトルに対抗しうるには、その既存にないものでなくてはならない。オンラインゲームは、あとからパッチをあてるなど、プレーヤーの反応によって即座に変えることができる特性を持つ。だからこそチャレンジングなタイトルが登場しやすい土壌があるのだろう。MMOでひとつの成功例を形成しただけで、まだまだオンラインゲームは成熟しているとは言えず、独創的なモデルの登場を心待ちにしているようだ。

 アジアでのオンラインゲーム市場はあくまでも日本、韓国、中国、台湾などのインフラが整っている地域を中心になることに変わりはないだろう。ただし、将来的にはさらにフローバル化は進み、今後日本からの海外進出オンラインゲームが増えていくことが予想される。コーエーはすでに中国、シンガポール、カナダなどに開発拠点を持っている。今後はオンラインゲームに限らず、地域別のオリジナルタイトルによって、その地域での市場を広げ、地域に根ざした指向を持ったものを世に送り出していこうとしている。

 コーエーは韓国や中国、台湾などの各地域のお国柄に則したアレンジをタイトルに施し、アジアにおけるコーエーブランドの浸透を狙う。最後に松原氏は、オンラインがひとつのプラットホームになっていくだろうと予測と希望を語る。「ニッチな娯楽だったオンラインゲームは、昨今一気に大衆化していく傾向にある。あとは、どこまで広がるか、どれくらいの時間がかかるのかというだけ。そのきっかけになるのが、我々コンテンツを作るメーカーの使命と思っている」と、コーエーの将来像についても講演では語られることだろう。

 なお、「アジア オンラインゲーム カンファレンス 2006 東京」での松原氏の特別講演は2月9日の14時から開始される。

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