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ホラーでも、サイコサスペンスでもない。現代のおとぎ話の幕が開ける「ルール オブ ローズ」レビュー(3/4 ページ)

少女が舞い込んだ不可思議な世界。支配者として君臨する子供たち、次々と求められる貢ぎ物、落書きから抜け出してきたような敵、薄汚れた1頭の犬。いったいこれは何が起きているのか……? 

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少女は戦闘能力が低いという常識の再現

 犬の嗅覚を使ってキーアイテムを捜すというシステムを用いることで、アクション・アドベンチャーとしての遊びやすさを作り出しているルール オブ ローズ。だが、ここでちょっと考えてみると、Findさえしていれば、ゲームがクリアできてしまうのでは、あまりにシンプルすぎないか、という疑問が出てくる。さて、これを解決するにはどうするか。

 探索のハードルを下げたのなら、障害のほうのハードルを上げればいいのだ。つまり、戦闘がかなりシビアなのである。はっきり言って、敵は戦う相手ではなく、逃げるべき存在となる。

 戦闘好きの人には物足りないかもしれないが、まあ、考えてみれば、ジェニファーはただの少女。戦闘能力が低くても、仕方ないだろう。実際、腰を引き、相手のほうも見ないでナイフを振り回している彼女を見れば、これはもう戦わないほうがいいと誰もがわかるはずだ。

 なお、ブラウンも戦闘力はない。吠えることで一部の敵を怯ますことはできるが、直接ダメージを負わせる手段はないのだ。攻撃を受ければ、ブラウンの体力も減ってしまうので、やはり逃げるのが賢明だろう。

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ザコ敵の出現数は多く、攻撃力も高め。まともに戦っていると、かなりの損害を被ってしまう。相手をせずに逃げまくろう

 戦闘がシビアな分、アクションが苦手な人には少し辛いかもしれないが、ここでも救済措置はちゃんとある。いずれの章でも、一定の状況までシナリオが進まない限り、敵は出現しないのだ(まったく戦闘のない章もある)。

 そこで、新たな章が始まったら、例の手段。回復アイテムのストックを調べ、不安があれば、キーアイテムを集める前に回復アイテムをFindすればいい。そうしてからセーブを取り、改めてキーアイテム捜索に乗り出せば、ゲームオーバーの危険はある程度回避できるだろう。

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マップには、全区画の通路や部屋の位置が記されている。ただし、一時的に通行不可になっている個所や、セーブポイントは表示されない。重要な場所はしっかりと記憶しておく必要がある

 なお、いくつかの章には、ボス敵がいて、こればかりは絶対に逃げられない。覚悟を決めて戦うしかないのだ。だからこそ、ザコとの戦闘は極力避け、回復アイテムをボスに備えて残しておくことをお勧めする。

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ボスに正面から挑むのは無謀。攻撃範囲を見定め、なるべく背面に回って攻撃するようのが基本だ

 このように見ると、ルール オブ ローズが細部までよく計算されて作られていることが分かってくる。独特なタッチの世界観には好みが分かれるかもしれないが、それは前もって承知して楽しめばいいわけだし、単純に歯ごたえのあるアクション・アドベンチャーを求めている人には、高めの難易度自体が魅力となるだろう。

 一風変わってはいるが買う価値は十分にある。ただし、くどいようだが、ホラーやサイコサスペンスとは思わないこと。それだけは、絶対に忘れないように。

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