荒んだ心を詩で癒す――大作RPGを押しのけてでも遊ぶ価値あり:「アルトネリコ 世界の終わりで詩い続ける少女」レビュー(1/5 ページ)
バンプレストとガストのコラボレーションとして発売される本作。積極的に展開されるプロモーション映像などを見て、気になっている人も多いようだ。そこで、一足先にゲームをプレイしてみたので、そのレビューをここに掲載しよう。
今の流行はコラボレーション!?
このところ、各メーカー間で協力し合う作品が数多く発売されている。カプコンとSNKのキャラが登場する格闘ゲームや、ナムコ&カプコンキャラが出てくるシミュレーションRPGなど、今ではコラボレーションも珍しくはなくなった。そんな中でも、積極的に動いているのがバンプレストではないだろうか。フロム・ソフトウェアと共同で制作している「Another Century's Episode 2」などのほかに、ホットな話題を振りまいているのが、ガストとのコラボレーション作「アルトネリコ 世界の終わりで詩い続ける少女」だ。
ガストと言えば、アトリエシリーズに代表される、やりこみ要素満載のRPGを作るメーカー。そことのコラボということで、どのようなタイトルが登場するのか、気になっていた人も大勢いるだろう。結論から言えば、ボリューム満載で飽きのこない正統派RPGに仕上がっている、という表現がピッタリの、まさに両者の力がガッチリと組み合った作品となっていた。早速、その中身を見ていこう。
珍しい世界観と、それにマッチした美しいBGMに加え、アーティストが歌う曲にも大注目
従来のRPGでは、当たり前のように大地があり、そこを舞台としてさまざまな物語が展開されてきた。しかし、本作ではそれがなく、世界の中心に立っているのは1本の塔のみ。その周りに広がる島の上で、大部分の人々が暮らしているという、他にはない珍しい設定になっている。
この世界“ソル・シエール”は、過去2度にわたる“厄災”に見舞われ、一度目で世界から大地と空が消え、2度目で高度文明を失っている。天は“ブラストライン”というプラズマの雲で覆われ、足下は“死の雲海”で埋め尽くされた世界で人々は、中心にそびえ立つ古代文明の遺産と言われる塔“アルトネリコ”の恩恵によって文明を築いていた。そんな塔の片側に広がる浮遊大陸“ホルスの翼”で暮らす人々の中には、レーヴァテイルと呼ばれる希少種が存在する。彼女たちは詩の力を用い、強大な魔法を奏でることができるため、その保護と利用を目的とした複合企業“天覇”と宗教団体“エル・エレミア協会”が存在していた。平穏に流れていく日々。しかし、塔内に発生した未知のウイルスにより、世界のシステムそのものが崩れる危機が訪れる。塔の上層部にあるプラティナという街で、その管理者シュレリアを守護するエレミアの騎士として活躍していたライナーは、シュレリアよりヒュムネクリスタルをホルスの翼から持ち帰ることを託され、下層世界へと旅立つ。プレーヤーはエレミアの騎士であるライナーとして、プラティナへヒュムネクリスタルを持ち帰るのが当面の目的となる。
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