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ひりひりとしびれるような緊迫感がたまらない――映画的な演出が際立つサスペンスアドベンチャー「FAHRENHEIT」レビュー(2/4 ページ)

このゲームで、プレーヤーは冒頭から極めて奇怪な体験をすることになる。死体や凶器を隠し、手や衣服に付いた血を洗い流して、努めて平静を装いながらその場を立ち去らなければならない。なぜなら、主人公は“殺人犯”だから……。

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追う者と追われる者の両面から紡がれていくストーリー

 このゲームでプレーヤーが操作するのは、ルーカス・ケインだけではない。彼が現場から立ち去った後、NYPDの警部“カーラ・バレンティ”と“タイラー・マイルス”の二人が、今回の事件を捜査するためにダイナーへとやってくる。今度は彼らを操作して、犯人に結びつく手がかりを探したり、関係者から事情を聴取していくことになる。

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次のチャプターでは、今回の事件を担当する二人の警部がダイナーにやってくる。左がカーラ、右がタイラー。ここでは彼らを操作して、犯人像や事件の概要を追っていくことに

 基本的には、この3人を交互に操作してストーリーを進めていくことになる。追う者と追われる者という異なる立場のキャラクターを操ることに、初めは戸惑いを覚えた。「ルーカスを無事に逃がすためには、カーラで捜査を行う際に手を抜くべきなのか?」と考えてしまうからだ。しかし、その必要は全くなかった。むしろ、カーラやタイラーには捜査を徹底させた方が、事件の全貌や真相により深く迫ることができる。つまり、プレーヤーは彼ら3人の役回りを演じ分ける存在なのだ。

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容疑者が座っていた席を調べるカーラは、いくつか不審な点があることに気付く。でも、わたしもときどきコーラを飲んだ後にコーヒーを注文することがあるけど……これって変なの?

 プレーヤーは事件の全容をふかん的に見ているため、異なる人物を使い分けると、客観視しすぎて感情移入が妨げられるように思うかもしれない。そのあたりは、実にうまく工夫されている。同じ場所にいて同じ物を目の前にしても、彼らが気付くことや感じ方には違いがある。また、ある人物にさせた行動のすべてを、プレーヤーは映像で観ているわけではない。たとえば、最初のチャプターで、わたしはルーカスに凶器のナイフを隠させたが、それをどこに隠したのかがわからない。次のチャプターでカーラとタイラーを使い、現場を捜索してみると、タイラーがごみ箱の中から凶器を見つけ、そこで初めて隠し場所がわかる。ところが、初めから再度プレイしてみると、今度はカーラが別の場所で凶器を見つけた。こうした展開の揺らぎがあるため、プレーヤーが常に“何でもお見通し”とはならないのだ。

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キャラクターをタイラーに切り替えて捜索してみると、ルーカスが隠した凶器がごみ箱の中から見つかった。しかし、凶器は常にごみ箱から見つかると限らず、場所が変わることもあれば、カーラが発見することもある

 また、このFAHRENHEITでは、会話内容の選択やアクションに一風変わった操作方法を取り入れている。キャラクターの移動は、通常と同じく左スティック(または方向ボタン)を使うが、会話やアクションは、画面上に示されたマークに応じて、右スティックを倒して行う。そして、いわゆるコマンド総当たり方式ではないため、たとえば会話の展開もプレーヤーの選択によって変わっていき、訊きたいことが全て聞き出せるとは限らない。

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現場に居合わせて、図らずも死体の第一発見者となった警官“マーティン”から事情を聞くカーラ。このとき、たとえば右スティックを下に傾けると、「死体」についての情報を聞き出せる
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シーンによっては、画面にこのようなサークルが表示され、光った方向に左右のスティックを倒すというアクションシークエンスが発生する。入力タイミングはそれほどシビアでないが、これが延々と5分以上続くこともあって、けっこう難儀させられる。また、サークルを注視するあまり、その背後で展開されている映像をじっくり鑑賞できないという難点も

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