ムームー星人の悲哀「ジャンピングフラッシュ!」:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/3 ページ)
初期のプレイステーションには、次世代ゲーム機競争を勝ち抜いたあととは違った、独特の雰囲気が漂っていたように思います。今回はそんな時代のヒット作「ジャンピングフラッシュ!」を取り上げてみました。
プレイステーションがこんなに売れるとは思っていなかった
豊田−八王子間で線路内に人が入った影響で20分遅れとなった、特急スーパーあずさ11号に乗る。
乗っている間に、この原稿を書くことにしよう。今回取り上げるゲームは、1995年に発売された、「ジャンピングフラッシュ! アロハ男爵ファンキー大作戦の巻」(ソニー・コンピュータエンタテインメント)だ。
プレイステーションが発表されたときは、確かに衝撃的だった。
雑誌では、ポリゴンで立体表示されたフォーミュラーカーの写真が公開されていた。それを見て、家庭用ゲーム機でアーケードの大型機(「ドライバーズアイ」や「バーチャレーシング」)以上のポリゴンが動かせるのかと驚いたものだ。
ただし私は、任天堂の優位は揺るがないだろうと思っていた。当時「マイコンBASICマガジン」で書いたことがあるが、
「マリオがプレイできるのは任天堂機だけだし、ソニックができるのはセガ機だけ」
プレイステーションで、「スーパーマリオ」シリーズや「ソニック」シリーズのようなキラータイトルは、そう出ないだろうと思っていた。
実際、先行して発売された“次世代ゲーム機”の、3DOやレーザーアクティブ、またプレイステーションとほぼ同時期に発売されたPC-FXは、ソフトの不足から苦戦を強いられた。
1994年、プレイステーションが発売され、ナムコの「リッジレーサー」がアーケードから移植された。立ち上げ時からのナムコの参入は確かに大きい。「リッジレーサー」は、ハードの性能をまざまざと見せつけた。
しかしナムコは過去、PCエンジンにも早い段階から参入していたし、メガドライブでもソフトを出していた。それでも任天堂の優位は動かなかったし、いずれ任天堂の新機種が発売されたら、ナムコも参入するだろうと思った。
どんなにきれいな映像だって、やがて見飽きる時が来る。ポリゴンが動かせるからといって、それがゲームのおもしろさに直結するわけではない。私はそう考えていた。
「ジャンピングフラッシュ!」が出るまでは。
プレイステーションの機能を生かしたゲームシステム
「ジャンプして敵を踏みつぶして倒す」というアクションは、はっきり言ってスーパーマリオと同じである。だが、フィールドが立体となったことで、まるっきり違うゲームになっている。
“ポリゴンを使った立体CGの表示に秀でている”という、プレイステーションの特性を生かし、「プレイステーションならではのアクション」を追求したことで、「ジャンピングフラッシュ!」は、このゲーム機の看板タイトルとなり得たのだ。
フィールドが三次元の空間で構成されており、主人公のロビット(うさぎ型ロボット)は、足場があってジャンプで届く距離なら、どこへでも進める。
フィールド内にちらばっている4つのニンジン型ジェットポッドを取って、出口にたどりつけばステージクリアーだ。
ロビットは、前方に弾を撃つこともできるが、威力が弱い。そこで、より強力な攻撃方法として、また移動手段として登場するのが、ジャンプである。
ロビットは“3段ジャンプ”ができる。ジャンプ中にタイミング良くジャンプボタンを押すと、さらに高い所へ飛べる。さらにもう一度ジャンプボタンを押すと、一層高く飛び上がれるのだ。
ユニークなのは、2段め以降のジャンプでは視点が変わること。最初のジャンプまでは、ロビットは水平方向(前)を向いているのだが、2段ジャンプをすると、ロビットは真下を向き、足元の様子が表示されるのだ。狭い足場に飛び乗るときに、たいへん便利なので、ジャンプは基本的に2段か3段で使うことになるだろう。
フィールドは、6ワールド×3ステージの全18ステージ。
各ワールドの1、2ステージでは、敵を倒して得点を稼いだり、アイテムを入手したりするのも大事だが、それよりむしろ、フィールドのどこにポッドがあるのか探すほうがメインとなる。
ステージごとに特徴があって、遊園地をモチーフにした楽しい感じのステージや、走ると止まりきれずに滑る氷のステージ、ジャンプがしづらい洞窟のステージなどがある。
そして各ワールドのステージ3(ワールド6はステージ2も)は、ボスキャラとの一騎討ちだ。どのボスキャラもかなり手ごわい。
フィールド画面だけでなく、脇に表示されるレーダーも見て、敵や敵弾がどこから来るのか、チェックする必要があるだろう。
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