原点回帰で受け継がれる遺伝子――「PS2よ、これがRPGだ」:「幻想水滸伝V」レビュー(2/3 ページ)
コナミのフラッグシップRPGである幻想水滸伝シリーズも、今回で5作目。1、2作目に数多くのファンがついているだけに、新たな試みがなされた3、4作目への風当たりが気になったところだが、果たして今回は暖かな風が吹くのだろうか。幻想シリーズの1ファンとしても気になったので、早速プレイしてみた。
ほかにもユニークなシステムとして、街間で行える交易というものがある。これは、A街でアイテムを安く仕入れ、需要があるB街で高く売ることで、苦労せずに儲けられるというもの。古くはテーブルトークゲーム「トラベラー」や、PCゲーム「XANADU ScenarioII」などでも使われていたシステム。幻想水滸伝シリーズで導入されたのは2作目からだが、今作でも有効活用すれば楽して稼げる。鍛冶屋で仲間の武器をMAXまで鍛えようとしたり、全員に良い装備をさせてあげようと思うと、お金はいくらあっても足りなくなるのだ。終盤に近づくと余って困る、一般的なRPGのような現象には陥らないので、交易は非常に重要な要素と言えるだろう。今作でも、何らかのアイテムが突如として高沸したり大暴落するので、現実世界で株をやっているような気分を味わえるのだ。とはいえ、交易所で情報を有料で聞けば慌てるような事態にはならないので、大いに利用したい。
これまで以上に快適になった戦闘で、飽きることなく楽しめる
本作で大きく変わった部分といえば、戦闘システムが挙げられるだろう。前作、前々作と違い、1・2作目と似たような画面構図と6人のキャラ配置になるため、思わず昔を思い起こす人もいるかもしれない。初期2作品の戦闘シーンは展開が早く、プレイしていてストレスがたまらないと言うことで、非常に評判が良かった。本作ではその流れを完全に受け継いでおり、まったくイライラせずに戦えるようになっているのだ。もちろん、複数キャラが同時に飛びかかっていくこともあれば、1キャラが2体以上の敵にダメージを与えるシステムも取り入れられている。魔法の範囲などに悩まされた3作目や、パーティが6人ではなくなった4作目と比べて、はるかにプレイしやすくなっているのだ。昨年の東京ゲームショウ2005にてプロモーションビデオを見たとき、この戦闘シーンだけで嬉しくて身震いしたものだったが、それがそのまま出てきてくれたのは、本当に喜ばしい限り。
とはいえ、ただ昔に戻っただけではなく、陣形という新しいシステムも導入されている。見慣れた前3人後ろ3人の基本フォーメーション以外にも、1人だけ突出した形や三日月型の配置など、複数バリエーションが用意されているのだ。変更すると、陣形ごとに攻撃力や防御力がアップするなど、さまざまな追加効果が現れる仕組みを採用。また、陣形ごとにパーティの体力を回復させたり協力して敵を攻撃するなど、特殊な技も使える。とはいえ、こまめに陣形を変えることはあまり無かったので、それほど気にすることはないのかもしれない。
もちろん1作目からある協力攻撃も健在で、役立つものから思わずニヤリとしてしまうものまで幅広く用意されている。初期の段階では、メンバーが揃わないため選択肢は狭いが、仲間が増えてくるといろいろと試せるようになるのだ。2人で出すものから大勢で発動させるものまでと、全部を見るのはかなり大変。でも、それを探し出して見るのも幻想シリーズの楽しみなので、今回もタップリと堪能できることは間違いない。手軽に使える主人公とリオンのお守り攻撃を見ていると、2作目に出てきた主人公とナナミの幼なじみ攻撃を思い出す人もいるかも。
戦闘とは別に、時々イベントで発生するのが一騎討ちだ。こちらは代々同じシステムが採用されていて、対戦相手の台詞から攻撃・防御・必殺を判断し、これに対応したコマンドを選ぶようになっている。本来は攻撃<必殺<防御<攻撃……という三すくみの関係なのだが、本作では攻撃と攻撃がぶつかり合ったときのみ、連打合戦になるのだ。早く連打した方がダメージを与えられるので、相手が攻撃か防御どちらを出してくるのか分からないときでも、攻撃を選んで連打すれば何とかなるようになった。考えるのが面倒な人には、ありがたい仕様変更かもしれない。また、攻撃でフィニッシュしたいときも、これまでは相手の防御を待たなければならなかったものが、今回から攻撃または防御になったので、格好良く決められる機会が増えた。
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