ゲームだけで明かされるMr.インクレディブルのその後:「Mr.インクレディブル〜強敵アンダーマイナー登場〜」レビュー(2/2 ページ)
ディズニー/ピクサーの大ヒットCGアニメ映画「Mr.インクレディブル」には、まだ続きがあった。映画のラストで現れた“アンダーマイナー”との戦いは、どうなったのか。それは、このゲームの中だけで明かされるという。
“体力ゼロ=死亡”と位置づけていないところに配慮を感じる
キャラクター2人の協力プレイで戦略性が広がったことに加えて、前作と比べて難易度のバランスがよくなり、遊びやすくなったことは好感が持てる。前作では、序盤でも極端に難易度が高いミッションがあったり、何が原因でゲームオーバーになったのかわかりにくい場面も一部に見られ、Mr.インクレディブルという映画のターゲット層を考えると「難しすぎるのでは」と感じられたが、それに比べると今作の難易度設定はかなり易しい。
あわせて、ヘルスメーターの取り扱いも変わった。前作では、ステージのところどころに置かれたヘルスアイコンを取ることで体力を回復できたが、今回は敵を倒すたびに体力が少しずつ回復するようになった。また、一方のキャラクターの体力がゼロになると、その場で膝をついて一定時間動けなくなるが、しばらくすると体力が少しだけ回復してプレイを続行できるので、即座にゲームオーバーとはならない。体力がゼロになることをキャラクターの死や敗北に直接結びつけていないというところに、スーパーヒーローのキャラクターイメージや、子供がプレイする際への配慮が感じられる。2人とも体力がゼロになってしまうと、そのステージの最初からやり直しになるが、その場合もキャラクターが力尽きて倒れるようなシーンは挿入されない(前作にはあった)。
グラフィックやキャラクターのモーションについては、映画版の完成度が恐ろしく高いだけに、それと比べると前作・今作ともにやや見劣りするのは否めないが、それでも映画のイメージを崩さないレベルできちんと描かれている。欲をいえば、キャラクターをもっと大きく見せてほしいのと、アクションにももう少し躍動感があるとなおよかった。
また、サウンド面ではドルビープロロジックIIのサラウンド出力にも対応していて、同方式に対応の5.1chシステムで聴くと想像以上に臨場感のある音が楽しめることも特徴。特に、音の方向感が思いのほか明瞭で、はっきりと聞き分けられることには感心した。
親子で一緒に遊んでほしいアクションゲームの佳作
前作と違って、今回はベースとなる映像作品がないため、やはりムービーシーンが物足りなく感じられるものの、難易度がそれほどシビアではなくなった分、かなり遊びやすくなった印象。逆に、アクションゲームが得意な方には歯応えのないゲームと受け取られかねないが、Mr.インクレディブルのメインターゲットは子供やその親だろうと思われるので、このぐらいがむしろちょうどよい。
また、前作はミッションごとに操作するキャラクターが変わり、インクレディブル夫人のほか、ヴァイオレット、ダッシュといった子供たちも操作できたが、今作では最初から最後までMr.インクレディブルとフロゾンの2人だけになったことが少し残念……。映画の続きとはいえ、映画本編ほど練り上げられたシナリオではなく、やや盛り上がりに欠く。ただ、2人のキャラクターによる連携プレイには、前作とはまた違った楽しさがあり、明らかにプレイヤー2人で遊ぶことを主眼に置いた作りだ。親子で協力し合いながら一緒にプレイするのに適した一作と思う。
あえて注文を付けるなら、ゲームならではの隠し要素をもっとふんだんに盛り込んでもらいたかった。ゲームのフィールド上に隠されたアイテムを見つけることで、「ギャラリー」でアートワークが見られるという仕掛けはあるが、繰り返しプレイさせるための動機付けとしては弱いように思う。たとえば、映画の中ではダイナガイやゲイザービームといった他のスーパーヒーローも数多く描かれていたので、彼らが隠しキャラとしてゲームに総登場し、Mr.インクレディブルと一緒に戦えたらおもしろかったのでは……と考えてしまうのは、やはりアメコミかぶれの発想なのか……。
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