いいものはやはりいい――続編が出る今こそ真のエンディングを:「ヴァルキリープロファイル -レナス-」レビュー(3/3 ページ)
7年前、プレイステーションで発売された「ヴァルキリープロファイル」というソフトがある。当時、さまざまな話題を振りまいたヒット作が、PSPのワイド画面に完全対応し、今再び表舞台に登場した。果たしてどのような進化を遂げたのか? その姿をここで垣間見よう。
プレイステーション版との差違は大きい? 小さい?
プレイステーション版と比べての大きな違いは、やはり新規に挿入されたムービーだろう。例えば、オープニングでレナスがヴァルキリーに変身するシーンがあるが、プレイステーション版では光るエフェクトとともに姿が変わるだけだった。これがPSP版では、新たに描きおろされたムービーが流れるようになっている。そのムービーも非常にクオリティが高く、見ていて惚れ惚れしてしまうほど。それにしても、プレイステーション版はCD-ROM2枚組だったものがUMD1枚で供給されているのだから、ムービーを入れるほどの空き容量がどこにあったのだろうか? などと、余計な心配をしてしまった。
そしてもう1つ、PSPのワイド画面に対応して、ゲーム画面がシネスコサイズで表示されるようになっている。通常移動時にはあまり影響がないものの、戦闘時には画面が横長になったことで敵が把握しやすいだけでなく、大幅に左右スクロールしないので敵を追いやすい。視点をキョロキョロ動かさなくてもいいのは、思った以上に快適だった。ただし、慣れないうちは横長に感じるものの、時間がたてばこちらの方がしっくりくるはず。
他にもいろいろ気になってみたので、プレイステーション版を引っ張り出してきてプレイステーション 2で動かしてみながら、同時にPSPでもプレイしてみることにしてみた。すると当然ながら、全体的にはPSP版の方がきれいになっている、という印象を受けた。細かいところを見るとわかるのだが、戦闘画面での×や□といった部分が、PSP版では縁取りされて見やすくなっているのだ。さらに、PSP版はPS時代で言うところのRGB出力クオリティで表示されているため、キャラの細かな動きも把握できる。逆に、オープニングから同時に動かして検証してみたところ、ディスクアクセスや文字表示の速度などは、プレイステーション版とまったく変わっていなかった。戦闘での攻撃タイミングなどもほぼ同じだったので、はた目にはプレイステーション版をコンバートしただけのようにも思えるのだが? これはあくまでも個人的な推測なので、本当かどうかはわからない。ただ、同時に動かしてみた限りでは、進行速度がほとんど変わらなかったことだけは確かだ。
7年たっても、面白いものは面白い! を実感
以上のように、プレイステーション版での不満点だった部分はそのまま受け継がれてしまっているが、ワイド画面に対応したりムービーが増えるなど、+αの部分も目立つ作りになっている。これをどのように評価するかは難しいところだが、システムや世界観などは、今プレイしても全く遜色のないレベルだと断言できることだけは確かだ。7年という時代を超えてなお、そのまま移植されても面白い作品に仕上がっていると言うことは、いかにベースの部分がしっかり作られていたのかがよくわかるだろう。それだけに、イベントや決め技のスキップができないというのは、本当に惜しまれる。とはいえ、それが本作の魅力を削ぐほどではないことも、また事実だ。
さらには、6月に発売予定となっている「ヴァルキリープロファイル2 -シルメリア-」のストーリーとリンクする新規ムービーが入っているので、ファンにはたまらない仕上がりになっているとも言えるだろう。あの世界観に共感を覚えた人や、当時ハマったというプレーヤーであれば、PSP版もマストアイテムになるに違いない。そうではない人も、この斬新なシステムに触れれば、新たなRPGの世界が開けるだろう。なお、プレイステーション版ではフリーズに悩まされたという人もいるだろうが、PSP版では当然ながら対処されているので、今回は安心してプレイできることを、最後に付け加えておきたい。
ヴァルキリープロファイル -レナス- | |
対応機種 | PSP |
ジャンル | RPG |
発売日 | 2006年3月2日(木) |
価格(税込) | 5040円 |
/Developed by tri-Ace Inc./Character design: PRODUCTION I.G
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