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先細りしていく中古ゲーム機市場を改めてPSE法が照らし出す(2/2 ページ)

中古家電業界を大混乱に陥れてた法律に、「電気用品安全法」−俗に言うPSE法−がある。連日、どこかのニュースで取り上げられるほど大騒ぎになったのだが、これはゲームユーザの観点から見た場合、どのような影響があるのだろうか。独自に調査した結果をまとめたので、ここで簡単に報告しておこう。

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中古ゲーム機にPSEマークを付与する方法とは?

 これらのことから、ゲーム機も含めた中古品全般に関して、PSEマークがなければレンタルという形での流通が可能ということが判明した。とはいえ、PSEマークの付いていない商品の取り扱いをやめてしまったショップもあるため、できればPSEマークを付けたいところ。では、中古ゲーム機に限って考えた場合、どんな方法があるのだろうか?

 中古ゲーム機にPSEマークをつけるための方法は2つあるが、一番確実なのは、各ゲームメーカーがゲーム機の電源部分またはACアダプタを、PSE法に対応したものに変更してくれることだろう。そうすれば、中古市場にて(レンタルではなく販売という形で)堂々と中古ゲーム機を流通させることができるはず。とはいえ、すでに発売中止となってしまっているハードに関しては、メーカー側のサポートは当然ながら期待できない。現実的な方法としては、ファミコン、スーファミ、メガドライブ、PCエンジンならば、PSE法に対応したアダプタがホリ電気から発売されているので、これを購入して本体とセットにすれば、これらハードは中古市場で流通させられるし、うまくいけばACアダプタ付きでの購入も可能なはず。それ以外の機種に関しては、残念ながら諦めるしかない。

 ただし、PSの機能はPS2が(完璧ではないものの)内蔵しているし、任天堂もファミコンなどの自社プラットフォームタイトルだけでなく、メガドライブのセガタイトルとPCエンジンのハドソンタイトルを、レボリューション(仮)が搭載する予定のバーチャルコンソールでサポートすることを発表したので、実機にこだわる人以外には大きな影響はないだろう。ドリームキャストとセガサターンに関しては、今後ともレンタルという形をとり続けるしか方法がないのが悲しいところではあるが……。

 中古ショップ業者が中古ゲーム機へPSEマークを付けてくれることが、もう1つの方法ではあるのだが、そのためには製造業者として届け出をしなければならない。その手順は今回の騒動により非常に簡素化されたものの、同時に製造業者としての重い責任も負ってしまうことになる。こちらも経産省に問い合わせたところ「商品に改造を加え、その不具合により事故が起きない限り、PL法に問われることはない」との回答が返ってきた。しかし、これは現時点において司法判断が出ていないからであり、将来に渡ってそうなるかどうかは残念ながら分からないのだ。

いずれにせよ先細りしていく中古ゲーム機。根本的な対策方法は?

 このような不安な要素があるものの、中古ショップ業者がPSEマークを付けられるようになれば、堂々と流通できる中古ゲーム機が登場するようになるわけで、ひょっとするとその業者に中古ゲーム機が集まるかもしれない。良い方向へ理解するならば、最終的には中古ショップ業者が電源内蔵ゲーム機とACアダプタすべてに、PSEマークをつけてくれるかもしれないのだ。そうなれば非常に美しい結末なのだが、反対に実現せず終わってしまうと、いつまでたってもレンタルという域からは脱出できなくなってしまう。将来的に考えると、中古ゲーム機流通の要は、中古ショップ業者が握っているのかもしれない。

 少なくとも、レンタルという制度を活用すれば、まだまだ流通させることが可能な中古ゲーム機。だが、再生産されないことは間違いないし、法律があってもなくても消えゆくことに変わりはない。同時に、中古ゲームも小さな市場とは言え、受け継いでいくべき大事な文化であろう。確かに昨今では、古き良きゲームだけは再販されたり、ダウンロードして楽しめるようになった。だが、そこで見捨てられてしまったタイトルの中にも、星の数ほどの名作が存在するのだ。また“懐かしいゲームは実機でプレイしてこそ”そう思う好事家がいることも忘れないでほしい。

 楽器同様に、ビンテージという文化が少しずつ花開き始めているゲームの世界。経産省もお役所仕事を画一的にこなすばかりではなく、日本が誇るゲーム文化にもう少し目を向けるべきではないだろうか。そして、今回の騒動を反省材料として、事態を良い方向へ収拾してほしいと願うばかりだ。

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