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触って、はたいて事件に迫る――2800円で体験できる「鑑識官」の仕事「THE 鑑識官〜緊急出動!事件現場にタッチせよ!〜」レビュー(1/2 ページ)

お手ごろ価格のうえに遊び心もいっぱいのSIMPLEシリーズに新しいスターが誕生した。元気で明るい女性鑑識官が現場に残された証拠から事件を解く推理アドベンチャー第2弾。ユニークな脇役陣がドラマを盛り上げる。

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人気に応えてNDS版が登場

photo 制作は「THE 推理」なども手がけるトムキャットシステム。D3パブリッシャーのアドベンチャーを担当することが多い

 もともと「THE」でおなじみのSIMPLEシリーズは、麻雀やビリヤードなど、シンプルなゲームを低価格で提供するブランドとして出発した。しかし、ここ数年はオリジナリティのある作品を次々と世に送り出しているのはゲームファンならご存じの通り。たとえば巨大な昆虫の群を多様な武器でけ散らしていく爽快(そうかい)シューティング「THE 地球防衛軍」は驚くほどのバリュー感でヒット作になったし、「THE お姉チャン」シリーズに代表されるB級路線は、廉価版だからこそできる遊び心に満ちていて、ファンに愛されている。

 これまでSIMPLEシリーズはプレイステーション 2を中心に展開されてきたが、昨年の6月からニンテンドーDSでもリリースが開始された。第8弾となるのがこの「SIMPLE DSシリーズVol.8 THE 鑑識官 緊急出動!事件現場をタッチせよ!」(以下、DS鑑識官)。「THE 麻雀」、「THE ブロックくずし」、「THE トランプ」といったラインアップの中ではオリジナリティが光る一作だ。

 タイトルからはちょっと分かりにくいが、実は本作は、いわゆる「2」にあたる。前作はプレイステーション 2で2005年2月に発売された「THE 鑑識官」。これが目ざとい推理アドベンチャーファンの間で評判となり、今回の続編へとつながった。

 “鑑識官”というと、地味でお堅いイメージもあるが、内容は明るく強気な新米鑑識官の江波識子が体当たりで事件に挑む、コミカルなノリだ。事件現場で証拠を集めて科学捜査を行う真面目な部分と、個性的なキャラクターたちの生き生きとしたかけあいが組み合わさり、「逆転裁判」のような親しみやすさが長所と言える。

お助け役は幽霊とネコマタ!?

photo 憧れの一人暮らしのはずが幽霊とネコマタと同居することになった識子。いつも冷静な査之介は、いざというとき頼りになる

 数々の難事件に挑むのは、2人と1匹のにぎやかなトリオ。主人公の江波識子は江戸時代から続く警察一族の生まれで、1年前に鑑識官になったばかりの強気で無鉄砲なヒロインだ。警察学校での成績は優秀だったが、射撃が絶望的にヘタで、射撃大会の際に来賓席に銃弾を撃ち込むという偉業をやってのけた。

 そんな識子を支えるよきワトソン役が、古い十手に取りついたご先祖様の霊、江波査之介だ。長髪にメガネの外見通り、穏やかでしっかりとした性格。彼の姿は同調した識子にしか見えないないが、江戸時代、八丁堀で同心をしていた経験を生かして、“識子どの。ちょっと待つでござる。今は一番肝心なとき。行くべきところはただひとつ”といった具合に何かと助けてくれる。ただし、時代が時代だけに最新の道具には疎く、バイクを「鉄の馬」、携帯電話を「懐中電話」と呼ぶなど、ちょっとトンチンカンなところもある。


photo 2本のしっぽ以外、見た目は普通のネコの鑑太。食い意地が張っていて、新鮮な魚に目がない。その食欲に助けられることも

 一方、識子に輪をかけて、江戸っ子カタギで気っぷのいいのがネコマタの鑑太。江戸時代から生きているだけあって、妖怪や神様とも知り合いで、いろいろな妖力を持つ。
 鑑太「めんどくせえニャー。命令はきれぇだぜ!」
 識子「アジ2匹とビール1缶では?」
 鑑太「それならいいぜ。ガッテンだぜ! ネコマタダーッシュ!」
 と、食べ物につられ、案外お安く手伝いを買って出てくれる。

 “幽霊だのネコマタだのがいたら、事件も現実離れしてしまって荒唐無稽(むけい)なのでは?”と心配する人もいるかもしれないが、その点は大丈夫だ。事件部分には霊的な要素はなく、専門家による科学分析から真実を見抜く、リアリティのある推理が楽しめる。

 識子の職場は、警察からは独立した鑑識捜査機関「南東京科学研究所」、略して「科研」となる。警察の捜査ミスを減らすために設立された半官半民の組織で、専門的な知識を持った民間人もスタッフとして採用し、より詳細に証拠の鑑定を行う。警察組織とはまた違う異能の集まりという設定が面白い。

photo 現場で気になる部分をチェックして物証を採取する。カメラや試薬を使って、多くの証拠を集めていこう

 システムはオーソドックスな推理アドベンチャーだ。基本的に、まずは現場を観察することから始まる。怪しい部分を虫眼鏡式カーソルでチェックして、物証を収集する。写真を撮影したり、指紋を採取したり、とやるべきことは多い。

 証拠を一通り集めたら、今度は本拠地の科研に帰ってきて、専門スタッフに鑑定を依頼する。これはチームワーク作業となり、指紋は指紋課のシモーヌ、薬物は化学課の芦茂と、その道のプロに渡すと、さまざまな情報を教えてくれる。すべての証拠を分析したら、次は推理に移ろう。ここはプレーヤーの頭脳の見せどころだ。

photo 集めてきた物証は、それぞれ適当な専門家に渡す。道に落ちていた液体は何か? 分析結果が楽しみだ

 “アリバイの偽りを示す証拠はどれ?”といった質問に、論拠となる証拠を示していく。事件の概要と証拠の持つ意味をしっかり理解していないと、正解するのは難しい。また、この推理部分以外にも途中で設問が挟まることがある。

 例えば1話では、“専用キットがない中で、何を使って指紋を取るか”といった問題が出される。「ホウキ」、「チリトリ」、「ココアパウダー」、「タオル」、「ペットボトル」、「ガムテープ」、「セロテープ」、「ビニール袋」。アナタはどれで指紋を取る? 各話の流れはこの繰り返し。あまり間違えすぎるとゲームオーバーになってしまうので要注意だ。各話の最後には成績も評価される。

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