これまでのシリーズをいいとこ取り――珍しくも中身はしっかりしたドット絵RPG:「イリスのアトリエ グランファンタズム」レビュー(3/3 ページ)
ガストの看板タイトルといえば、1998年に誕生した「アトリエ」シリーズだろう。その最新作「グランファンタズム」が、いよいよ発売となった。従来の調合中心路線から一転して、本格派RPGへと転向した作品の3作目は、どのようなタイトルに仕上がっているのだろうか?
懐かしのクエスト制が復活し、永遠に遊び続けることも
5作目までは、街の人が主人公に頼み事をし、それに応じる形でアイテムを調合するというクエストが発生していた。イリスのアトリエシリーズになってからはなくなっていたが、今回それが復活している。ギルドへ出かけると数多くのクエストが張り出されていて、中には“何々というアイテムをX個持ってきて欲しい”というような、シリーズを昔からプレイしている人にとっては懐かしいものも用意されているのだ。
これを引き受け、アイテムを調合して当人に渡せば、見返りとして報酬をもらうことができる。この時、報酬ではなくクエストポイントを入手する場合もあり、一定以上になるとミストルースとしてのランクがアップし、より高い報酬のクエストを請け負うことができるようになる。ミストルースとしてランクアップしていくと、ミッションと呼ばれる必須イベントが発生。エルスクーラリオに関する話が展開され、物語の核心に少しずつ迫っていくことになる。これをクリアすると、次の章が始まる仕組みだ。
しかし、ストーリーを進めなくても本作は十分に楽しく、つい時間を忘れてプレイしてしまう。筆者など、その時点で覚えられる全スキルをマスターしてから次へ進もうと考えながら遊んでいてたため、やたらとレベルが上がりすぎてしまった……。それでも飽きずにプレイできるのは、ひとえにゲーム自体が面白いからだと言えるだろう。
これまでの良いところをすべて取り込み、新たな路線を見いだした1本
オープニングを歌うのは、イリスのアトリエシリーズですっかりおなじみになった霜月はるかさん。今回は、Revoとのコラボレーションとなっているが、心に染み渡る歌声は健在だ。
BGMも耳に心地よく響いてくる。どの曲も場面にマッチしたものなので、必然的に物語が盛り上がるのだ。BGMを聴かずにプレイするという人もいるようだが、それではどんなゲームも魅力は半減してしまう。筆者としては、ゲームの3分の1を損しているとしか思えないのだが……。
全体的なバランスは、これまでの作品と比べてやや簡単になっているように感じた。今回も親切なヘルプが付いているので、マニュアルを見なくてもプレイできるのはうれしい配慮だろう。クエストといった昔懐かしい要素も入っているので、1〜5作目が好きだったという人も違和感なく遊べる。もちろん、イリスのアトリエシリーズのファンならば、間違いなく買いと言えるデキだ。
このところ、ビッグメーカーの大作ばかりがピックアップされる傾向にあるが、そうではないところのタイトルにも、良作はたくさんある。本作も、そのうちの1本と言えるだろう。今では珍しいドット絵の画面に抵抗を感じる人もいるかもしれないが、肝心なのはその中身だ。オーソドックスにまとまっていながらも、随所にらしさを埋め込んである本作は、非常に良くできたタイトルだと感じた。食わず嫌いせずにプレイしてみれば、その面白さが間違いなく分かるだろう。
イリスのアトリエ グランファンタズム | |
対応機種 | プレイステーション 2 |
メーカー | ガスト |
ジャンル | 錬金術RPG |
発売日 | 発売中 |
価格 | 7140円(税込) |
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