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インタビュー

「BLOOD+」×「One Night Kiss」――藤咲淳一×須田剛一(2/6 ページ)

バンダイナムコゲームスから8月31日に発売される「BLOOD+ One Night Kiss」。この制作を担当したグラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏と、TVアニメ「BLOOD+」の監督であるProduction I.Gの藤咲淳一氏の対談をお届けしよう。

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――須田さんは「BLOOD+」についてどのような感想を持ちましたか?

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須田 最初は映画版の小夜をイメージしていたので、TV版を見たときにはちょっとびっくりしました。でもショートヘアーがかわいいし、どんどん色っぽくなるじゃないですか。それがいいですね。

藤咲 確かにこのような形になったのは、みんな意外だったんでしょうね。ロングヘアーにするとタイトルにハマりすぎるので、逆にボーイッシュなショートにしようかと。で、途中で昔の姿のロングヘアーが出ると効果的です。そのあたりは計算していました。地味な子が主役なので、逆にその辺にいるような感じで、親近感がわくのかな、と。

――ゲーム版として須田さんが広げた「BLOOD+」の世界はどう感じましたか?

藤咲 私のものとは全然違う作品になっていると思いますよ。「+」が付いてるのはわたしの作品ですが、逆にゲーム版はネガティブな「BLOOD」かなと。「BLOOD−」でしょうか(笑)。良い悪いの“マイナス”ではなく、内面をえぐり出すような、そういう性格を持っている気がします。

須田 そうですね。わたしは、精神を病んでいる人たちと小夜が出会ったら、彼女はどんな変化をするのだろうと思ったんです。

藤咲 そこが“大人な世界”ですよね。やろうと思ってもなかなかできることじゃない。人間の内面に踏み込んだ話は、マンガや小説ではできるんですが、アニメではやりづらい。色が付いた絵の段階で、キャラクターの変質は見えてこないし、かといって実写のドラマでも難しい。文字媒体かマンガしかできないな、と。でもゲーム版を見て、ああゲームでもできるんだなと思いました。

 今回おもしろかったのは声優さんですね。なるべく声優じゃない感じの人を使っていますよね。キャスティングのリストは見せていただいたんですが、「狙ってるな」と(笑)。

須田 劇団の人たちを使ってみたいと思っていたんです。青山役の橋本じゅんさん(劇団☆新感線)とか、自分が好きな人たちですね。ほとんど無理だと思っていたんですが、キャスティングが通ったのでよかったです。

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藤咲 ゲームって、舞台的な感覚で作りますよね。パーツを用意して演技させて、という。演劇的要素が強くなりますね。

須田 舞台装置を作っているような感じはありますね。

藤咲 ですので、舞台の人たちは合うのかも知れませんね。ゲームの場合は“芝居過剰”でちょうどいいと思いますので、引け目にすると逆に癖がすごく出るという。“ねらい”が出やすいですね。アニメの場合は逆に、狙ってしまうとくさい芝居になるので。なのでちょうどいいのかな、と。

須田 実は結構不安だったんですが、うまくハマったのでよかったなと思います。

――ゲーム版の脚本は須田さんが担当されたんですか?

須田 全部わたしが書きました。

藤咲 相変わらずベタだなと思いました。「エロナミン」ってなんだよ、と(笑)。

須田 青山はベタなキャラクターなんで(笑)。

藤咲 桃山さんのポリゴンモデルはよくできていますよね。

須田 あれはリテイクが何回かありまして。“エビちゃん”に似せようと思ったんですが(笑)。まつげが足りないとか、もう少しエビちゃんの化粧をまねしてもよかったかもしれませんね(笑)。

藤咲 いままで見たポリゴンモデルの中で一番よくできていますよね(笑)。情報量少ない中で。作り込んでいくと、どうしても顔立ちがバタ臭くて、人形っぽくなるんですよ。ポリゴンモデルって。ですので、ポリゴンを減らしてここまでできあがってるのはいいですね。業界長いとそういう見方をしてしまいますね。

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