ボリューム感、爽快感、達成感のどれもが大きく、ハマリ度の高いPSP版「Gジェネ」:「SDガンダム Gジェネレーション・ポータブル」レビュー(2/2 ページ)
1998年にプレイステーションで1作目が登場して以来、ガンダムファンを虜にしてきた「SDガンダム Gジェネレーション」シリーズ。その最新作はPSPでの発売となったが、タイトルは“ポータブル”でもボリュームたっぷり! やり込み要素も多くて、これはハマる。
新要素“マスターユニット”による支援攻撃が爽快でやみつきに
このゲームでは、プレーヤーが自ら編成したオリジナル軍を投入し、各ステージに初期配備されている原作に基づいたユニットとあわせて操作していくことになる。原作キャラクターとオリジナル軍キャラクターとの間に会話などは特にないので、見ているとどうも原作にオリジナル軍が介入して勝手に引っかき回しているだけのようにも感じてしまうが、それもまたGジェネ流。ただ、今回は原作ユニットとオリジナル軍のユニットによる連係プレイで、新しい要素が加わった。“マスターユニット”と、それを活用した支援攻撃だ。
マスターユニットは、いわば主役級のモビルスーツ(キャラ)という扱いで、グループやチームの枠を超えて最大6機の味方ユニットから支援を受けられることが最大のメリット。支援攻撃とは、射程範囲が重なり合う味方ユニットと同時に攻撃を行うというもの。例えば、Gジェネ・ポータブルで初めから所持している戦艦「キャリー・ベース」には、4ユニットを1チームとして合計2チーム(8ユニット)を編成できるが、攻撃時に支援を受けられるのは同じチームに所属する味方ユニットに限られ、その数も最大でも2機までとなる。マスターユニットだけは、どのチームにも属さない単独ユニットとして位置づけられていて、射程範囲さえ合致していればどのチームのユニットからでも支援を受けられ、自機の攻撃と合わせて最大7機での超強力な同時攻撃が可能になる。
また、支援に回った側は行動終了とならないことと、支援の有無にかかわらず敵を撃破したユニットは「チャンスステップ」となって、再度行動できることも重要なポイント。これとマスターユニットによる支援攻撃をうまく掛け合わせると、HPの大きい敵戦艦も一撃で倒せたり、1ターンで多数の敵を立て続けに撃破できるのが爽快なのだ。この感覚は、ちょうどパズルゲームで多段連鎖を起こしたときにも似ている。この要領がつかめてくると、Gジェネ・ポータブルは俄然おもしろくなってくる。さらに支援攻撃は、もうひとつの新要素である「ハロスコア」とも密接なかかわりを持つ。
ハロスコアとは、敵を撃墜するごとに加算されるポイントで、マップ画面の左上に表示されているゲージがそれだ。ハロスコアはさまざまな役割を担っていて、まずステージをクリアしたとき、ハロスコアの累計がそのまま「CAPITAL」(新たなユニットを生産する際などに消費するコスト)として獲得できる。また、獲得したハロスコアによってランクアップがあり、ブラック→ノーマル→ブロンズ→シルバー→ゴールド→プラチナの6段階で変化していくが、このうちブロンズ以上でステージをクリアするとオプションパーツも手に入る。そして、ランクが高いほど貴重なパーツがもらえるのだ。このハロスコアは、単独攻撃で敵を倒した場合よりも、多数の支援を受けて倒したときの方がより多く加算されるようになっている(クリティカルヒットによるボーナスもある)ため、プラチナランクを狙うなら支援攻撃をできるだけ多く繰り出す必要がある。
難易度は高めだが、収集欲をそそられる作りで長く遊べる
そのほかでは、やはり自軍の編成に采配をふるうのが楽しい。このゲームでは、キャラクターとユニットがそれぞれ経験値を得て成長していくが、個々の能力や特性をふまえて、誰をどのモビルスーツに搭乗させるか、艦長や操舵手には誰を充てるかなど、人選やその配置をあれこれと考えるところにおもしろさを覚える。この自軍編成のメニュー画面がちょっとややこしい作りで、慣れるまでに時間を要した面もあったが、キャラクターのレベルや各種能力値でソートする機能があるのは便利だ。
初めは、Gジェネシリーズのオリジナルキャラしかいないが、各シナリオをクリアすることで、その原作キャラも自軍に組み込めるようになる。例えば「第08MS小隊」の全2ステージをクリアすれば、その作品に登場していたシロー・アマダやアイナ・サハリンが使用可能になるのと同時に、新しいユニットも生産リストに加わる。また、手持ちのユニットが一定のレベルに達すると、それを新しいユニットに変化させる「ユニット開発」もおもしろいのだが、これが自軍編成よりも悩ましいところ。ユニット開発をどんどん進めた方がコレクションの収集率も上がっていくわけだが、一方で、使い慣れて愛着が出てきた機体をこのまま成長させたいという気持ちも交錯する。
ゲーム本編のできの良さもさることながら、こうした収集欲をかき立てる仕掛けも上手で、つい延々とプレイしてしまうような強い“引き”がある。ただ、今回はいつになく難易度が高いように感じられ、特に序盤は「機動戦士ガンダム」の1ステージ目をクリアするのにもひと苦労してしまうほどだった。2ステージ目になると、敵のユニット数が一気に増え、しかも空と陸の両方で同時進行の戦闘を強いられるので、手持ちのユニットが少ない状態では相当きつい……。ただ、最初にも述べたとおり、シナリオを順番にこなしていく必要はないため、各シナリオの1ステージ目で比較的クリアしやすいものからプレイし、自軍をコツコツと強化していけば、それ以降のステージもクリアできるようになるはずだ。
難点をあげるとしたら、セーブスロットが1つしかないことだろうか。例えば、ユニット開発で機体を変えてはみたものの、使ってみたら元の機体の方がよかったと思っても、セーブしてしまった後では取り返しがつかなくなる(これで何度か泣かされた……)。メモリースティックDuoを複数用意してセーブデータを仕分けるという方法もあるが、それはそれで面倒。また、過去のシリーズ作品や、ほかのPSPソフトと比べてもロードが比較的早く、快適にプレイできるのは確かだが、マップ画面上での操作中にも読み込みにもたつく場面が見られたのが少し残念。
まぎれもなく、Gジェネ・ポータブルは熱烈なガンダムファン向けのアイテムなのだろうと思うが、タクティカルシミュレーションゲームとしての完成度が高く、どちらかといったらガンダム関連には疎いわたしがすっかりハマってしまうほどに楽しめる内容でもあった。初めは難しいと思えた難易度も、自軍を地道に強化し、編成や配置などの戦略を練れば着実にクリアできるレベルであって、ステージをひとつクリアするごとに得られる達成感は大きい。また、こういうタイプのゲームがPSPと意外に相性がよいという感想も抱いた。据置型ゲーム機でプレイする場合よりも電源を入れるのに心やすい面があって、ちょっとした空き時間に少しだけ進めておいて、レジュームでその状態をキープ、といったことができるのはPSPならでは。実際は「少しだけ」のつもりが夜明かしになってしまうことも多々あったが……。
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