プラットフォームの統一で“閉ざされたゲーム文化”を打ち崩す:CEDEC 2006
「CESAデベロッパーズカンファレンス 2006」最終日となる9月1日の基調講演には、マイクロソフト Xbox事業本部長の泉水敬氏が登場。「マイクロソフトが提供するゲームプラットフォームの世界」と題したセッションが行われた。
「CESAデベロッパーズカンファレンス 2006」(以下、CEDEC 2006)最終日となる9月1日の基調講演には、マイクロソフト Xbox事業本部長の泉水敬氏が登場。「マイクロソフトが提供するゲームプラットフォームの世界」と題したセッションが行われた。
泉水氏はまず、現在のゲーム文化を“閉ざされた世界”と表現。「選択肢、自己表現の場が限られており、活発に交流がしづらい」と語る。CEDECなどの登場により、わずかながら開発者同士の交流の場が生まれてきてはいるものの、これはあくまで一部に過ぎず、また、アイディアや個人で作ったものを発表する場もあまりないと分析する。このような状況に対し、「マイクロソフトとして何か手伝えることはないのか?」(泉水氏)を顧みた結果、ひとつの解決策として生み出されたものが「XNA」だったという。
XNAは、Xbox 360を始めとする次世代ゲーム機や、既存のゲーム機、PCなども含めた総合開発プラットフォームのことで、「XNA Game Studio Professional」、「XNA Game Studio Express Windows」の2つを用意。
XNA Game Studio Professionalは、商用ゲームを開発するためのもので、価格は未定。XNA Game Studio Expressは、ゲームのアイディアなどを共有できるものの、“パフォーマンスについてはある程度の考慮がされており、完全なチューニングはできない”(泉水氏)というもので、Windows版の提供が無料で行われる(Xbox 360版は有料。価格は未定だが、北米では$99/月間サプスクリプション)。
XNA Game Studio Expressに関して、「教育機関などに、ゲームクリエーター育成のためのツールとして利用してもらいたい」とした泉水氏。続けて「最終的には閉ざされたゲーム開発の世界をオープンにしたい。ゲーム開発の世界がオープンになれば、さまざまなアイディアが生まれてくる。そして、それが(XNAで)共有されるとするならば、より深く、骨太なゲームができるのではないか」と語ってくれた。
技術的な話の多かった本セッションではあるが、Xbox 360認定周辺機器として「ワイヤレンスゲーミングレシーバ」に関する発表も行われている。ワイヤレンスゲーミングレシーバは、ワイヤレス ヘッドセットやワイヤレス コントローラといった、Xbox 360のワイヤレンス周辺機器を、PCでも利用可能にするというもの。価格は未定だが、発売日は2006年冬を予定しているとのこと。
最後には、「ゲームの楽しみ方が多様化している中で、それをつなぐことにより、それぞれのコミュニティを融合し、楽しみ方をもっと広げていきたい。開発者の負荷を軽減するためのツールの提供、コミュニティの形成、ゲーム環境の多様化に対応するための、マイクロソフトの新たな取り組みにご期待ください」とあいさつを行った泉水氏。プラットフォームの統一が、ゲーム業界にどのような変化をもたらすのか? 今後も注意深く見守っていきたいと思う。
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