失敗したらゲームデザインをやめる――ピーター・モリニュー氏が相応の覚悟を持って臨む「Fable2」:X06
「X06」2日目には、体験試遊会のほか、いくつかのタイトルに関するプレゼンテーションが行われた。ここでは「Fable2」のゲームデザイナー、ピーター・モリニュー氏によるプレゼンテーションの模様をお伝えする。
スペイン・バルセロナにて開催中のXbox 360イベント「X06」。その2日目には、先に紹介している体験試遊会のほか、いくつかのタイトルに関するプレゼンテーションが行われた。その中のひとつとして、現在、Xbox 360向けに開発が進められている「Fable2」のゲームデザイナーであるピーター・モリニュー氏に話をうかがう機会を得たので、その模様をお伝えしていこう。
ほとんど情報が公開されていない「Fable2」だけに、モリニュー氏が語ってくれたのは、どのようなビジョンを持って「Fable2」を開発しているかということ。「(『Fable2』には)3つの重要な要素がある」として、3つの要素――「世界観」、「キャラクター」、「戦闘」という3つのトピックを交えながら、ゲームの紹介を行ってくれた。
前作「Fable」は、操作するキャラクターを、プレーヤーの裁量ひとつで善人にも悪人にもすることができたが、これは本作でもそのまま踏襲している。異なる点としては、メインキャラクターに男女どちらも選べるようになったことと、「結婚できるようになった」(モリニュー氏)ことが挙げられた。
前作でも異性と付き合うことはできたため、正直に言えばそれほどの驚きはなかった。だが、続けて発せられたモリニュー氏の言葉に、記者は愕然としてしまう。「結婚すれば、子どもを作ることができる。ここでは避妊をするかどうかを選ぶことも可能だ。ヒーローであったとしても、女性キャラクターであれば妊娠することができるからだ」
結婚ができるのならば、子どもができたとしても確かにおかしくはない。だがそれを実践してくるとは……これはまさに“人生シミュレーター”とも言える「Fable」シリーズならではだろう。ちなみに、生まれた子どもは当然のことながら、プレーヤーキャラクターの人格を受け継ぐという。例えばプレーヤーキャラクターが悪人ならば、入れ墨を入れたり、学校での素行も悪くなるとのこと。
また、家族は自発的に行動をしないため、食べものなどはプレーヤーが提供することになるだが、これは決して義務ではない。例えばプレーヤーが食べものを持っており、子どもがお腹を空かせていた場合、残忍な自分になりたければ、子どもの前でアップルパイを食べてしまうことも可能だという。モリニュー氏は「非常に残酷でひどいことだが、どんな自分にでもなれる。それがロールプレイというもの。これが革新的な部分のひとつとなる」と語った。
前作同様、プレーヤーキャラクターの一生を追うことがメインとなるであろう「Fable2」。本作ではその人生を楽しむうえで、「ダイナミックリージョン」が大きな特徴となるとモリニュー氏は語る。「例えば、ある森林の中にキャンプがあったとして、そこで起こした行動によりどのような効果が生まれるのか? ということ。キャンプの人たちを助け、親切にすれば10年後には村に、さらに10年後には街に発展するかもしれません。一方で、キャンプの人たちを皆殺しにするという選択肢もある。この場合、10年後にそこに行ったとしても、ただ林が広がっているだけ。自分が起こした小さな変化が、10年後、20年後、30年後には大きな変化となっていることを見届けることができる」
続いて紹介されたのは、城や牢屋など、目に見えるものは何でも所有することができるというシステム。城ならば城主、教会であれば司教といった感じで、富を築いていくことができるほか、施設によってはお金を取ることも可能だという。「本当にいろいろなものを所有できる。また、自分が司教で教会で戦いが起こった場合、当然これを制圧しなければならない。所有することで、それに応じたコンテンツが楽しめるようになっている。普通にゲームを進めることもできるが、すべてを所有しようと思ったら数百時間はかかるだろう」(モリニュー氏)。
最後にモリニュー氏は、「ライオンヘッドスタジオを設立したのは、今までにないことをしたかった、皆さんを驚かせたかったから。『Fable』は成功と呼べるものではなかったが、本作は成功すると確信している。もし失敗したらゲームデザインをやめるべきとさえ思っている」と、「Fable2」への絶対の自信を示すとともに、相応の覚悟を持って臨んでいることを語ってくれた。
ちなみに、これ以外にもまだ非常にユニークな新しい要素を用意しているそうだが、それはまだ話せる段階には到達していないとのこと。2007年3月ごろ(GDC?)には明らかにするそうなので、ファンは楽しみに待っていてもらえればと思う。
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