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剣の道は気力がすべて――剣豪たちの生きるか死ぬかの真剣勝負、ここに開幕「剣豪ZERO」レビュー(2/2 ページ)

時代的もののアクションゲームは数え切れないほどあるが、「剣豪」シリーズほど剣の立ち会いに主軸を置いたゲームは、ほかに類を見ない。プラットフォームをXbox 360に変え、戦闘システムやモードなどが一新した本作は、どのような進化を遂げたのだろうか。

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周りにあるものを利用するのも一流の剣豪の条件

 相手のスキを狙って攻撃する戦いも良いが、日本刀を用いた戦いは一太刀が命取りになるもの。本作では、その一撃必殺の攻撃力を、「特殺」というシステムで再現している。これは、気力ゲージが0になった相手に、大八車や灯篭といった特定の場所で崩しをキメることで発動する特殊技。崩しは組太刀から行うことが可能で、例えば相手の剣が壁に突き刺さるなど、相手を非常に無防備な状態にすることができるアクションだ。

 崩し状態になった敵に攻撃を与えると、お待ちかねの特殺が発動する。カットインが挿入され、相手の体力がどれほど残っていようが、問答無用で敵にトドメを刺す。このシーンのカメラアングルは、まるでテレビの時代劇かのよう。あまりの格好良さに、つい某有名アニメのキャラクターのように“つまらぬものを斬ってしまった”と言いたくなることうけ合いだ。

 特殺ができる場所は、各ステージにいくつも用意されている。例えば大八車の場合は、相手を大八車の上に突き飛ばし、その上に飛び乗って仕留める。灯籠で発動させると、突き飛ばした相手を灯篭ごとぶった斬ってしまうなど、場所によってトドメの刺し方が異なる。特殺は格好良いうえにバリエーションが豊富なので、全部に見ずにはいられなくなるだろう。ステージ攻略するうえで、行く必要のない場所に特殺できるポイントがあったりするので、筆者は見たことのない特殺を求めて、敵を引き連れながらステージのあちこちを走り回ってしまったほどだ。

photo 灯籠ごとまとめて一太刀で斬ってしまうダイナミックな特殺
photo 手ごわい剣豪も、特殺を使えば体力満タンの状態からでも1撃で仕留められる。劣勢になっても、最後まで逆転のチャンスはあるので死ぬまで諦めずに戦いたい

強さを選ぶか、格好良さを選ぶか? それが問題だ

 本作は、アクション要素以外にも魅力的なポイントがある。それは、これまでのシリーズ同様、剣豪を育成して強化できることだ。ただし、その方法はかなり変化している。各ステージをクリアすると、ステージ内の活躍に応じて、「魂珠」という球と経験値を入手できる。魂珠は入手した数だけ攻撃力や守備力などのパラメータを強化できるというもので、経験値は攻でくり出す技を修得するために必要となる。

 パラメータ、技ともに、どのように成長させるのかはプレーヤー次第。性能だけを考えて技を選んでも良いし、その剣豪ならではの格好良い刀さばきができるコンボを追求するよう、育ててみるのも面白いだろう。

photo 魂珠の数だけ、体力、気力、攻撃力、防御力のいずれかを強化することができる。ボスを特殺で倒すと魂珠が多く手に入るので、強力な剣豪を作りたければ、ボス戦は積極的に特殺を狙っていきたい
photo 経験値は特殺や一撃必殺で倒した相手の数によって、ボーナスが加算される。どこまで稼げるのか、上限を目指すプレイも面白い

photo 所持経験値の分だけ技を修得できる。なお、経験値と魂珠は次のステージに持ち越せないので、各ステージごとに使い切る必要がある
photo 技は形編集画面で修得する。2撃目に修得した技によって、3撃目の技の種類が変わる。ひとつの形のなかで特殊技が出てこない場合、2撃目の技を変更すると3撃目で選べるようになったりする

 このほか、ステージ中に取った行動により、剣豪に「AI思考」というパラメータが加わることがある。これは、その剣豪の行動の傾向を表すもの。例えば組太刀後、すぐに斬りかかってばかりいると、「組 即斬り」が付与される。中にはマイナス効果のAI思考もあり、攻撃を空振りばかりしていると「空剣」という、不名誉なパラメータを修得してしまうこともある。

 また、技の使用傾向はAI思考の確認画面に表示されないが、例えば踏み込み斬りを頻繁に使っていると、踏み込み斬りを多用するようにAIに記憶される。なおこのAIは、本編プレイ中、つまりプレーヤーが直接剣豪を操作するモードには適用されない。ではどこで使われるのかというと、次に紹介する「Xbox Live 全国御前試合」モードなど、コンピュータが剣豪を操るモードで使用されるのである。

全国の強敵が集まるネットワーク対戦は熱中度高し

 Xbox Live 全国御前試合は、本編で育てた剣豪を使い、全国の剣豪たちと対戦するモード。ただし、プレーヤーは一切の操作を行わず、前述のAI思考によって行動するコンピュータ同士を戦わせることになる。そんなわけで、筆者も最初に育てた宮本武蔵を登録し、全国の猛者に挑んでみた。筆者の武蔵のAIは、懸からいなしで相手の気力を削り、一撃必殺を狙うというプレイスタイルだ。なかなか強力な剣士に仕上がったと自負していたのだが……実際に全国御前試合に出場させてみると、戦積はよろしくなかった。

 その理由としては、本編で懸を強引に狙っていたせいで、状況を考えずに懸を仕掛けてしまうように育ってしまったから。懸に強い攻を中心に攻められ、一方的に負ける試合も多く、また、決まった技しか使わないので、技の多彩さを生かすことができなかったのもマイナスポイントだ。結果、50試合して勝率は3割程度だった。

 なお、一度本編をクリアしてしまうと、その剣豪のAIを変えることはできない。より強い剣豪を育てるには、新たに本編をやり直すしかないのだ。つまり、反省点を踏まえつつ、理想のAIができるように育てていくことになるわけだが、このように試行錯誤を繰り返す過程が面白い。努力のかいあって、以前のキャラクターでは負けていた相手に勝てた時は、本編をクリアした時以上にうれしくなる。

photo AI思考はプラスの効果だけでなく、「打たれ弱い」や空振りが多くなる空剣などのマイナスのものある。マイナスのものがついてしまっても、最終ステージでなければプレイ次第で消すことができるので、なるべくマイナスのAIがつかない状態でクリアしたい
photo 勝ち星を挙げていけば、全国順位のほかに段位も上がる。全国の頂点を目指そう

 正直に言うと、本編をクリアした段階では、本作に物足りなさを感じていた。前作にはあった刀のコレクション要素がなくなったり、ストーリー性が希薄だったからだ。だが、全国御前試合でAI対戦を始めてその評価は一気に覆った。

 全国御前試合に出場するためには、本編をプレイして剣豪を育てなければならず、本編は剣豪を作るモードと考えれば、これくらいが適度な内容だと言えるからだ。気軽にやり込めるので、剣豪気分を味わいたいという時代劇ファンはもちろんのこと、アクションゲームや育成ゲーム好きには、ぜひともオススメしたい。

剣豪ZERO
対応機種Xbox 360
メーカー元気
ジャンル本格剣術アクション
発売日発売中
価格7140円(税込)
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