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ソーサリアンワールドが、オンラインの世界で甦る「ソーサリアンオンライン」開発者インタビュー

30代の人たちなら、特別な印象があると思われるタイトル「ソーサリアン」。その名前を冠したオンラインゲーム「ソーサリアンオンライン」が、今月末からいよいよ正式サービスを開始する。それに先立ち開発元へ話を聞くことができたので、その詳細をお届けしよう。

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 日本ファルコムといえば、古くからPCゲームをリリースしてきた老舗ソフトハウスの1つ。初期タイトルの「デーモンズリング」や「アステカ」、その後の「ドラゴンスレイヤー」シリーズに「イース」シリーズなど、数多くの名作を世に送り出している。このため、同社の名前を一度も聞いたことがない、という人はほとんどいないだろう。中でも、1987年に「ドラゴンスレイヤーV」として発売された「ソーサリアン」は、バラエティ豊かな15本のシナリオに寿命などのシステム要素を加え、さらに自由度の高さも相まって大ヒットとなった。その後、Windows用としてリメイク版が出たほかに各種ゲーム機へも移植され、パッケージとしては180万本以上の販売実績をもっている。

画像 電遊社代表取締役社長 林省吾氏

 その「ソーサリアン」が、装いも新たに「ソーサリアンオンライン」として、今月下旬より正式にサービスインすることになっている。これまでに2回のクローズドβテストが行われているが、そのどちらも多数のプレーヤーからの応募があったということで、人気ぶりもうかがえるというもの。とはいえ、「ソーサリアン」は知っていても「ソーサリアンオンライン」は初めて聞く、という人も多いはず。そこで、開発を担当している電遊社の代表取締役社長である林省吾氏に、ソーサリアンオンラインについての話を伺った。

昔、ソーサリアンにハマった人も、違和感なく楽しめるように工夫

 自身も当時、「ソーサリアン」をプレイしたという林氏。それだけに、「ソーサリアンオンライン」にかける意気込みは大きく、さまざまなことを考えているようだ。

 まずは当時と違い、今回はなぜ3Dリアルキャラにしたのか聞いてみたところ「当時そのままで出してほしいという話もありましたが、コンセプトとしては『ソーサリアン』のシナリオを、新しい形で再現したかったんです」との答えが返ってきた。「本編だけでなく、あの当時に追加ディスクとして出された戦国・ピラミッドソーサリアンがどのように繋がっているか、それも具現化したかった」のも一因とのこと。

 そこで気になるのは、当時のシナリオがどのように変わったのかという点。今回のインタビュー中に、林氏自らがルシフェルの水門シナリオをプレイして我々に披露してくれたのだが、その雰囲気は上々で、当時印象的だった滝のシーンなども、しっかりと3Dで再現されていた。もちろん、ボスキャラのクラーケンも3Dになっていて、パーティに襲いかかってくるのだ。

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 「正式サービスイン時には、『消えた王様の杖』と『ルシフェルの水門』の2シナリオが遊べるようになっていますが、残りの13本も1つずつ配信していく予定です。なお、現状でオリジナルのシナリオは2本ですけれど、簡単なクエストは200以上用意されていて、そちらをプレイしてキャラのレベルを上げ、それからシナリオへ挑むことになるでしょう。ダンジョン内に出現する敵は、プレーヤーのレベルに合わせて変化するので、一度クリアしても何度も遊べます。オリジナルも含めてシナリオは、最低でも2カ月に1度のペースで追加していきますので、ぜひ期待していてください。30代の人たちには、昔を思い起こしてもらえるとうれしいし、若い人たちは本作をプレイして、2Dのソーサリアンがあったというこを知ってもらいたいです。」と、シナリオの再現度とボリューム感に関しては、まったく問題がないことも明らかにしてくれた。

 開発陣も「シナリオ再現で苦労した点は、当時はパーティの4キャラクターとも1人が操作しましたが、今回は4人が全員プレーヤーなので“スイッチ4つを同時に押せ”とやるのもなかなか難しいんです。プレーヤーの位置も、見ている人によってまちまちなので、その誤差を納めるのに苦労しました。当時の雰囲気そっくりそのままというわけにはいきませんけれど、プレイしてみると王様の杖だな、というようにはできています。」と答えてくれた。

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 もう一つ、当時を知るものとして気になるのが、システムを奥深いものにしてくれた星魔法と、今も名曲として耳に残るBGM。これに関しては「オリジナル版と同じく星魔法がありますけれど、当時と違う新しい法則を採用しています。なので、昔と同じ攻略方法は使えませんが、そのぶん新たな発見の楽しみがあると思います。また、同じ名前の星魔法も、レベルが上がると出てくると思いますよ。サウンドに関しては、ファルコムさんから提供してもらっているので、当時の雰囲気はバッチリ再現できていると思っています。オープニングも、あの懐かしいBGMが鳴りますから」(林氏)ということなので、こちらも期待できるだろう。

奥深いシステムで飽きずに遊べるだけでなく、ユーザーからの意見も積極的に取り入れる姿勢も

 そんなソーサリアンオンラインのシステムだが、街などはMMOタイプで、ダンジョンはMOで進行していき、敵との戦闘に入るとコマンドで命令を出すシステムを採用している。「パーティプレイに力を入れていて、アクション要素を高めるのではなく連携要素を重要視するようにしています。例えば、敵が攻撃してくる瞬間にタイミングを合わせて仲間が攻撃すると、敵の行動をキャンセル出来るといった感じです。また、戦闘中に一部のキャラが何もないところを攻撃しているようなことが起きないよう、参加しているパーティ全員と同期を取っています。」(林氏)というように、敵との戦闘ではタイミングが重要になってくる。慌ただしい操作は要求されないので、アクションが苦手な人でも楽しめ、誰もが手軽に遊べるだろう。

 さらに、各キャラクターはクラスを2つまで(ファイターでヒーラーや、ヒーラーでプリーストなど)習得することができる。目的や自分の好みに合わせてスタイルを自由にカスタマイズできるので、別キャラクターを作る手間が省けるだけでなく、1つのキャラを愛情をもって育てられる仕組みになっているのだ。

 そうなると、気になるのがオリジナルの「ソーサリアン」にあった“寿命”の要素だが、これについては「ユーザーさんからの反響次第なので、意見のある人はドンドン送ってほしいです」とのこと。ひょっとすると、意見次第では不老不死付きで採用されるかもしれない!?

 なお、アイテム課金で運営していくため、ゲーム自体は無料で遊ぶことができる。課金対象のアイテムは、おもに冒険を支援するためのものやレアアイテムなどで、それらがなくてもシナリオは問題なくクリアできるとのこと。さらに、初回限定でパッケージ販売も予定されているが、そこにはアイテムチケットが同梱されていて、それでしか入手できないアイテムも用意されている。

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 クローズドβテストをプレイしていた人には気になる、正式リリース版での変更点だが、「変わったのは操作性の大幅な向上で、ゲームパッドに対応しました。また、チュートリアルを追加して、プレイ方法をわかりやすく解説するようにしています。もう一点、パブリックホストを追加しています。ダンジョンに行くときなどは、ホストとなる誰かのところに入る、という形を取っているんですが、クローズドβテストの時に、なかなか入りづらいという意見がありました。そこで、パブリックホストと呼ばれるものを設置し、誰でも自由に入れるよう改善しています。」というように、ユーザーからの意見を取り入れて、確実にバージョンアップしている。

 最後に林氏は「本作には『ソーサリアン』からのファンが数多くいますので、クローズドβテストでもたくさんの意見をいただきました。中には非常に厳しいものもありますけれど、これは『ソーサリアンオンライン』というゲームを預かるものとしての宿命だと思っています。なので、意見は遠慮せずに送ってもらえるとありがたいです。もちろん、すべてに目を通していますし、何より自分自身も『ソーサリアン』が大好きですから」としめくくってくれた。さまざまな要素を備えている本作だが、“ユーザーからの意見がゲームを育てていく”ことこそが、『ソーサリアンオンライン』最大の魅力なのかもしれない。

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