飛び交う機体と弾幕の彼方に、戦士たちの熱きドラマが見える:「プロジェクト シルフィード」レビュー(2/2 ページ)
スクウェア・エニックスから発売された「プロジェクト シルフィード」は、27世紀の宇宙空間を舞台に繰り広げられるシネマティック・シューティング。戦闘機「デルタセイバー」に乗り込み、敵味方入り乱れる銀河を駆け巡る、緻密にして爽快なSF大作だ。
多様で緻密な操作方法は、チュートリアルでマスター
肝心のゲームパートでの操作方法について触れていこう。左スティックで機体操作、右スティックで視点操作、左トリガーで減速、右トリガーで加速、LBボタンでメインウェポン使用、RBボタンでノーズウェポン使用、というあたりが基本操作となる。
さらに、Aボタンでターゲット切り替え、Bボタンと左スティックを組み合わせることで“マニューバ”と呼ばれる一連の特殊移動、Xボタンでメインウェポン切り替え、Yボタンを長押しから放すことで必殺技(バーサークショット、シールドアタック、オーバードライブ)発動、BACKボタンで補給を開始する。そのほかに方向パッドで味方小隊への無線命令やマップ表示ができる。
操作タイプは「ADVANCED」と「NORMAL」、そして「PROFESSIONAL」の3つがあり、自由に選択できる。最初は「ADVANCED」に設定されているので、ひとまずそのままやってみて、慣れて来たりしっくり来なかったりしたら、ほかのタイプを試してみるというのがいいだろう。
以上に挙げた以外にも左トリガーを2回引いてパワーカット(右トリガーを2回引いてアフターバーナー)、マッチングスピードモード、パッドロックモードなどの特殊操作もあるし、画面上に数々の情報が表示されているので、その意味を理解する必要もある。
それらの複雑で多岐に渡る要素を把握するためにも、本編を始める前にぜひともやっておきたいのがチュートリアルだ。本作の操作は前述したようにコントローラのすべてのボタンをフルに使い切る、非常に手数の多いものなので、マニュアルを読んだだけでは把握しきれない部分も出てくるに違いない。逆に言えば、マニュアルを読まずとも、ひとまずこのチュートリアルをこなせば、一通りの操作を理解することができる。シューティング初心者でも分かるように段階的にていねいなガイドが組まれているので、プレイの一助になるはずだ。
画面を覆いつくす弾幕に、アドレナリンが出まくります
チュートリアルで操作を覚えたら、いざ宇宙の大海原へ! エキサイティングかつスリリングな世界が待っている。
難易度は「EASY」「NORMAL」「HARD」の3つが用意されている。各ミッションは最初に「○○を護衛しろ」などの目標が表示される。何をすべきか確認したら、ゲームスタートだ。
チュートリアルで操作を一通り覚えたという前提でも最初の戦闘はやはり緊張するというもの。プレイ中の通信画面で仲間からの通信がセリフの音声付で表示される。そこでもやはり「これは訓練じゃない。実戦なんだぞ!」という叱咤の声が飛び交う。宇宙空間のリアルさに圧倒され仲間からの通信のリアルさにも興奮を覚えつつ、敵を撃墜していく。
「EASY」を選択した筆者ではあったが、それでもミッションによっては結構苦戦した。特に中盤手前あたりのミサイル撃墜系のミッションが苦手で再三ミッション失敗をしてしまったが、3回同じミッションでミスをすると「リトライ」などの項目欄に「スキップ」が追加される。その時点ではクリアできる気がしなかったので筆者は思わずスキップしてしまった。どうしても進めないけど物語の先が気になる! という初心者の人はスキップを活用してみるといいだろう。ただしスキップするとポイントが入らない。このポイントがないと後述するカスタマイズができないので、安易に「スキップ」をしないよう、慎重に見極めよう。
プレイ感覚に関して言えば、ただただ「す、すごい……」の一言である。敵を追い自由に宇宙空間を飛び回る操作は慣れれば慣れるほど手になじんで面白くなってくるし、敵や味方が放つ弾道や弾幕が画面いっぱいに広がるさまはとにかく圧巻。脳内から何かがじゅわーっと出る音が聞こえるほどに、すさまじい光景が繰り広げられる。コントローラの振動もけっこう絶妙で、攻撃を受けたときや自機が眼前の敵艦隊にぶつかったときの臨場感をうまく表現している。
また、グラフィックは天と地ほどの差があるが、ファミコンの「スターラスター」と似たような面白さがあった。なぜかPS2の花火パズルゲーム「ファンタビジョン」も思い出しながらプレイした。LBボタンで出すメインウェポンで複数の敵をロックオンして一気に弾を放つ感覚が似ているのだと思う。またこの複数のロックオンがかなり気持ちよくてクセになる。思わず「敵はいねーがー。わりぃ子はいねーがー」と生はげ気分でロックオンできる敵を探し求めている自分がいたりした。
開発と武装で、機体をパワーアップ
プレイ中の飲まれそうなほどに迫力のあるグラフィックも本作の魅力だが、忘れてはならないのがカスタマイズの楽しさだ。
各ミッションをクリアするとクリア戦績に応じてポイントが手に入る。物語がある程度進むと、このポイントと引き換えに「装備開発」が可能になるのだ。最初からすべての装備が開発できるわけではなく、ミッションを進めることで開発可能な装備が少しずつ増えていく。ポイントも少しずつ溜まっていくので、今開発できる装備の中でベストなものは何かというのを探りつつ効率よく開発していきたい。
開発した装備は「武装選択」という項目で装備することができる。ノーズウェポン1種類とメインウェポン3種類を、それぞれ今ある装備の中から自由に選択して装着することができる。また、武装選択中にYボタンを押すことでギャラリーモードに移行し、現在の装備でのグラフィックを確認することができる。メカ好きなら、自分が手に入れた装備で自機がどんどんパワーアップしていくさまを楽しむことができるわけだ。
宇宙が好きなら、やらなきゃ損!
欲を言えば、2人対戦モードやXbox Liveにつなげてのオンラインモードもあれば、なおよかったのに、と思ってしまう。“シネマティック・シューティング”というジャンルをうたっているだけあって、映画のように主人公を取り巻くドラマを堪能できる、という点では1人用という選択は正しいとは思うのだが、このすさまじいグラフィックの宇宙空間で友人たちとドッグファイトができたら楽しかろうに、というのは率直な願望だ。次回作もあるなら、ぜひ検討していただきたいところだ。
細かいところだが大いに評価したいのはセーブ、ロードの短さ。プレイ中、プレイ前後においても、ロードで待ちぼうけをくらうというストレスとはあまり縁がなく、快適にプレイできた。
操作も難しいうえに、ミッションによっては難易度が高かったりするので、わりと敷居は高いゲームだと言える。だが、この美麗なグラフィックで描かれた宇宙空間を移動するだけでも気持ちがいいし、プレイに慣れることでハマり度や爽快感もグッと増してくる。カタナ、エレン、マーグラスを中心にすえた熱く激しいドラマも見所満載で、やり応えは十分。ガンダムやマクロスなどのSFアニメファンやシューティングファン、往年の「シルフィード」ファンなどには文句なくオススメだし、初心者用の計らいも随所にあるので、「シューティングは苦手だけど世界観や雰囲気はけっこう好きかも……」という人にも、ぜひ手にとってほしい一作だ。
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