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たった3メートル卓上の戦場へ――バイオレンスゲームの雄が放つ話題の新作は卓球ゲーム「Rockstar Games presents Table Tennis」レビュー(2/2 ページ)

「グランド・セフト・オート」シリーズや「Manhunt」など、過激さと自由度の高さがウリの海外ゲームメーカーRockstar Gamesから、卓球ゲーム「Rockstar Games presents Table Tennis」が発売された。広大な街から約3メートルの小さな卓に舞台を変え、いきなりの転進を行ったRockstar Gamesが贈る話題の卓球ゲーム。その魅力に迫ってみた。

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もう相手しか見えない、まわりの雑音もすべて排除したストイックなモードに

 ラリーが続く、対JESPER戦。すると、周りの音の音量が低くなり、ボールの打球音にエコーがかかるようになった。画面も突如暗くなり、卓を中心とした選手2人にだけライトがあてられた状態になる。なにごとかと驚いていたら、選手2人の打球速度やスピンのかかり具合までもが上がってる気がする。選手たちの集中力が極限まで達すると、このような“卓球台以外は何も視界に入らない”という演出がなされ、さらには選手たちの能力までもが上昇するのだ。

 この現象は、“フォーカス ショット”と密接な関係がある。まず、ショットにスピンをかけると、スピンの強弱によって“フォーカス メーター”が徐々にたまっていく。試合中は、RBボタンを押しながらショットをすると、通常よりも強力なショットである“フォーカス ショット”を打てるのだ。ただし、ゲージはちょっとだけ減少してしまう。

 ゲージが最大値までたまると、“フル フォーカス モード”が発動する。このモードが発動しているときは、ゲージが徐々に減少するが、選手の能力がアップする仕組み。また、“フル フォーカス モード”を発動するたび、“フォーカス メーター”のレベルが1つずつ上昇するのだ。“フォーカス メーター”のレベルは3まであり、レベルに応じてメーターの色が赤→黄色→緑と変わっていく。

全選手の中でも随一のパワーを誇るスウェーデン代表のJESPER。筆者にとって天敵となった

 自分と対戦相手の“フォーカス メーター”のレベルが3で、かつ両者とも“フル フォーカス モード”のとき、この「卓球台にスポットライトが当たる超集中状態モード」が発動するのだ。

 しかし、テンションアップしたからといって勝てるものでもない。速いJESPERの打球はさらに加速し、筆者のテンションも同じように盛り上がりつつも、結果はまたしても敗退。レベルの違いをコンピュータに見せつけられた筆者は、ちょっと気分転換のつもりで、新たな戦場へ赴いてみた。

いざ対人戦へ!!

能力バランス型よりも、なにか一芸に秀でている選手のほうが、本作では強いのかもしれない

 次にプレイしてみたのは、Xbox Liveでのネットワーク対戦。コンピュータを相手とした試合とは、また違った面白さが味わえるのが魅力だ。Xbox Liveでは、通常の試合のほか、“タイムトーナメント”というモードがある。時限式の爆弾卓球が本当にあるのかと思ったが、そうではなく、時間制限つきの総当たり戦が楽しめるといったモードだ。こちらもプレイしたかったが、時間帯が悪かったのか、あいにく対戦相手が見つからなかったため、断念した。


映画「マトリックス」のように、全体がスローモーションで動く。見惚れてしまう演出だが、こちらとしては反撃のチャンス!

 というわけで、いよいよXbox Liveでのオンライン対戦デビュー。だが、悪夢再び! なぜかネットの対戦相手は「JESPER使い」が多く、筆者愛用の中国人選手は大苦戦。だが、「重要な局面ではアップになり、さらに試合の流れがスローモーションになる」という本作のシステムのおかげで、相手がスマッシュを打つタイミングや、コートへボールがぎりぎり入る重要な局面は、しのぐことができた。スローモーションさまさま、である。

 しかし、本当の悪夢はこれからだった。JESPERの大砲ともいえるべき強烈なスマッシュも強かったが、ドイツ代表のJUERGENが持つ、強烈なカーブには、それ以上に苦戦させられた。カーブの曲がり方が大きいため、こちらは左右に大きく振られていまい、ボールにラケットが届かないといった状況になるのだ。なお筆者の経験では、中級者ほどJESPERのようなパワー一辺倒な選手を使い、上級者ほどJUERGENのようなカーブで相手を翻弄するような選手を使う人が多いように感じた。

Xbox Liveではランキングも確認できるので、自分が現在どれくらいの強さなのかが分かる

 対戦相手が見えなくても、好んで使う選手や、その戦い方から、対戦相手の人となりを体感できるのが、対戦プレイの醍醐味であろう。もちろん試合も、コンピューターと戦うより、白熱したバトルが楽しめるのだ。

正直期待していなかったけど……?

 本作は、今までのRockstar Gamesが送り出してきたバイオレンス作品の流れをスパッと切った冒険作。だが、その内容はしっかりと作り込まれており、シンプルだけど飽きのこない作品に仕上がっているという点は、さすがRockstar Gamesだと思う。ただ、不満点が無いわけでもない。

 まず演出面では、要所要所でスローになったり、照明が中心だけライトアップされるなど多彩だが、いかんせん卓球という題材のせいなのか、地味な感じがしてならない。また、遊び要素が面白くないことも気になった。例えばプレイを重ねるとユニフォームが増えるのだが、そのユニフォームがどれも普通で面白くない。変な衣装を着られるなど、ちょっとした遊び心が欲しかった。

 重要な局面でスローになる演出も、少し不満が残る。格好良さという点では不満はないのだが、ラリー時など集中しているときにこの演出が発生すると、リズムが崩れてしまうことが多々あった。特に対人戦の場合では、こちらのスマッシュが飛ぶ方向を予測する材料になってしまうこともあるのだ。

 ボタンを押すタイミングさえ気をつければ、ボールと選手の位置が離れていても、大体の球が返球できてしまうことも気になった。ゲームに慣れていない序盤は、このシステムに大変助けられたが、慣れてくると欲が出てくるもので、もっとストイックに調整してもよかったのでは、と感じた。

 ただ、これらの不満点は、ものすごく気になるといったものではなく、いわば重箱のスミをつつくレベルだ。そして、これらの不満点がかすむくらい、本作は対人戦が面白い。ラリーの面白さにハマったら、しばらく抜け出せないくらいクセになることうけあいだ。

 筆者としては、Rockstar Gamesが作るバイオレンスな卓球ゲームもプレイしてみたかった……と、最初は思っていた。しかし、誰もが予想しえなかった完成度を誇る本作。良心的な値段なので、だまされたと思ってぜひ買ってプレイしてみてほしい。

「Rockstar Games presents Table Tennis」
対応機種Xbox 360
メーカーマイクロソフト
ジャンルスポーツ
発売日2006年10月12日
価格5040円(税込)
(C) 2006 Rockstar Games, Inc. All rights reserved.
(C)2006 Microsoft Corporation. All rights reserved.


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