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寝台列車で「ドラゴンクエスト」をクリアできるか?ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(2/3 ページ)

昔のRPGは、今のものよりプレイ時間が短かかった。確か「ドラゴンクエスト」は、十数時間でクリアできたような気がする。そこで、寝台特急はやぶさ号の車内でプレイしてみた。終点の熊本に着くまでに、果たしてクリアできるのか?

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熱海で見つけた最初の洞窟

 平塚を通過した頃からプレイ再開。レベルアップし、今度は復活の呪文を2回聞く。

 今度こそ順調、と思いきや、欲張ってちょっと遠くに行ったら、ドラキーに先制攻撃を受け、HP(ヒットポイント=体力)がなくなった。

 ウィンドウに、「あなたは しにました」の文字が。

 ただし、死んでもお金が半分になるだけで、経験値はまったく減らない。

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「しんでしまうとは なにごとだ」と、王様に説教されるけど

 1986年当時のファミコンといえば、もちろんアクションゲーム全盛。非アクションのゲームは、同じエニックスが出した「ポートピア連続殺人事件」以外には、麻雀や将棋、五目並べくらい。そもそも“RPG”という単語すら、ファミコンユーザーにとっては未知のものだった。

 だからファミコンでRPGを出そうとしたら、できる限り、取っつきやすいシステムにする必要があったし、「このゲーム、やってみたいな」とユーザーに思わせるだけの、魅力あるゲームにする必要があった。

 コンピューターRPGの元祖「ウィザードリィ」や「ウルティマ」は、確かに魅力のあるゲームだが、テーブルトークRPGを知らない、しかも小学生中心のファミコンユーザーに、受け入れられるゲームだとは思えない。

(後に「ウィザードリィ」I、II、IIIや、「ウルティマ」III、IVはファミコンでも発売されるが、それは「ドラゴンクエストII」が発売された、1987年以降のことになる)。

 「ドラゴンクエスト」では、プレーヤーが途中でゲームを投げ出すような要素は、極力取り除かれている。コマンドの数を減らし、主人公を1人だけにして、システムを単純で分かりやすいものにした。「死んだら所持金半分で復活」というシステムも、こうした親切設計の一環といえるだろう。

画像 たいまつで迷宮を照らしても、ごく狭い範囲しか見られない。下の階に進むとBGMが低くなり、より深い所に入った感じが出る。どちらの要素も「II」以降はなくなっている

 さてプレイを再開しよう。スライムを倒してレベル3になった。ホイミの呪文(HP回復)を覚えたので、これで遠出しても大丈夫だ。

 午後7時35分、はやぶさ号が熱海に入った頃、勇者はロトの洞窟に入った。たいまつをつけて迷路を照らす。この洞窟に敵は出てこない。

 石板を見つけ、ロトのメッセージを読んだはいいが、地上に出てすぐ魔法使いに遭遇。ギラ2発食らって死亡。

静岡を出てマイラの村へ

 その後、沼津でレベル4、富士を出てレベル5となる。20時8分、静岡を過ぎたところで画面が映らなくなり、ようやく電池の減りに気づく。

 電池を交換してからは、快適にプレイできるようになった。テーブルに置いてもバグらない。

 午後9時、本日最後の車内放送を聞いている間にレベル6になった。銅の剣も買えた。

 ゴーストもドラキーも一撃で倒せるようになったので、意を決して橋を渡った。メイジドラキーのギラにてこずったが、無事マイラの村に到着。リューマチに効く露天風呂がある。

 「ドラゴンクエスト」に出てくる町はそれぞれ、個性的な景色を持っている。この露天風呂以外にも、昔語りの町ガライとか、湖の中にあるリムルダールとか。

 ストーリーに関係しない、町の風景に凝ったことによって、この冒険の舞台・アレフガルド大陸が、“ゲームのための世界”という感じのしない、魅力ある世界になっているのだ。

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もっとも、マイラの村の露天風呂は、まったくストーリーに関係しないわけではないけれど

 岩山の洞窟に向かうが、途中の道で、がいこつに遭遇して大ダメージを負い、撤退。午後9時30分に浜松を出てから、これを何度か繰り返し、やっと洞窟に入ったときには豊橋にいた。午後10時。

 洞窟でメーダを倒したら、レベル7になった。ラリホー(敵を眠らせる呪文)を覚えた。がいこつにラリホーを使ったら効いた。“アンデッドに催眠魔法は通用しない”という法則は、「ドラゴンクエスト」にはない。

 この頃になると、並行して2つ〜3つの迷宮に入れるようになる。どれを先に攻略してもいい。ストーリーのつながりよりも、“未知の洞窟、未知の土地を探検する楽しさ”を重視しているようだ。

名古屋でいろいろ考えた

 午後10時45分、名古屋着。停車中にレベル8になった。装備は鉄のオノと鉄のよろい。

 ふと感じたのだが、「ドラゴンクエスト」は、

“レベルが上がると強くなり、今までてこずっていた敵を簡単に倒せて、もっと先へと行けるようになる”

という、コンピューターRPGが本来持っていた楽しさを、ダイレクトに味わえるゲームだといえないだろうか?

画像 ラダトームの城のMP(マジックパワー=魔力)回復おじさんは、「ウィザードリィ」の馬小屋を思い起こさせる

 「ウルティマ」のフィールド移動に、「ウィザードリィ」の戦闘を組み合わせる一方で、ゲームバランスや、ゲーム全体の雰囲気など、「ドラゴンクエスト」独特の要素も多い。

 グラフィックや音楽といった、従来のRPGではあまり重視されなかった要素に凝っていることも、雰囲気作りにひと役買っている(もちろん鳥山明氏と、すぎやまこういち氏によるところが大きい)。「ドラゴンクエスト」はこれらの分野でも、のちのゲームに多大な影響をもたらすことになる。

 アクションゲーム全盛のファミコン界で、「ドラゴンクエスト」は150万本も売れるヒット作となった。「ドラゴンクエスト」の成功によって、ファミコンに数々のRPGが誕生する。現在でもRPGは、家庭用ゲームでいちばん人気のあるジャンルだ。

画像 レミーラは、たいまつより広い範囲を照らせる光の呪文。ただし時間が経つにつれ、照らす範囲がだんだん狭くなる

 午後11時7分、岐阜着。魔導師のラリホーとギラ、メトロゴーストのギラに苦しみ、1回死亡。でも再挑戦してレベル9に達する。レミーラを覚えた。

 沼地の洞窟を通って、リムルダールの町へ行く。鍵を購入。日付が変わって深夜0時35分、京都駅停車中に太陽の石を発見。

 ガライの町を探検し、1時8分、大阪駅停車中にレベル10になった。マホトーン(敵の魔法を封じる呪文)を覚えた。

 しかし、リカントにラリホーをかけたところで、自分が眠くなってきた。ここでいったん寝ることにしよう。この続きはまた翌朝に。

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リカントにはラリホーが有効なのだが、「ねむっている」と表示されると、私自身にも睡魔が……

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