PS3の機能を使い切る「リッジレーサー7」の凄さ:「リッジレーサー7」発売直前インタビュー(1/3 ページ)
いよいよ発売されるプレイステーション3。そのスタートになくてはならないタイトルが「リッジレーサー」シリーズだ。今回は、最新作「リッジレーサー7」のディレクターである小林賢也氏と、アソシエイトプロデューサーの寺本秀雄氏の両名にその魅力を聞いてみた。
――「リッジレーサー7」の基本コンセプトについてお聞かせ下さい。
小林賢也氏(以下、敬称略) 僕はこれまで、PSP版の「リッジレーサーズ」、Xbox 360版の「リッジレーサー6」、そしてプレイステーション 3版の「リッジレーサー7」のディレクションを担当してきたのですが、3本とも各ハードのローンチタイトルだったんですね。もちろんプレイステーション版の初代「リッジレーサー」、プレイステーション 2版「リッジレーサー5」もそうだったのですが、各ハードのベンチマークとなるようなタイトルにしたいということは、「リッジレーサー」シリーズで共通したコンセプトだと思います。これは言い換えると、各ハードが持っているコンセプトをどうやって「リッジレーサー」を通して表現できるのかな、という事にもなります。もちろん、誰がプレイしてもドリフトの爽快感を得られるようなレースゲームであるということも、これまでのシリーズを通じて一貫したコンセプトなのかなと思います。
寺本秀雄氏(以下、敬称略) 「リッジレーサー」というタイトルのゲームを出すとき、プレーヤーの皆さんから期待していただけることがいっぱいあります。なので「リッジレーサー7」でも、その最高の形を見せたいという思いがありましたね。
――ローンチタイトルは開発期間があまりないこともあり、ハードを使いこなすための試行錯誤は大変だと思うのですが。
小林 その辺はスタッフが頑張るしかないという所ですね(笑)。そういう経験が結構あるスタッフがそろっていますので、大丈夫です。
――まず、これまでの「リッジレーサー」シリーズの歩みについて触れたいと思います。初代「リッジレーサー」からPS2版「リッジレーサー5」までが第一世代の「リッジレーサー」とするならば、ニトロの要素が追加されたPSP版「リッジレーサーズ」以降が第二世代の「リッジレーサー」かなという印象があります。ニトロが追加されたことによってドリフトの面白さが格段に上がりましたね。
寺本 それがまさに、小林が担当を始めた世代の「リッジレーサー」になりますね。そのときに、何かゲーム的に進化させたいということで、小林の方で考えたシステムがニトロなんです。
ニトロについては、ドリフトの価値と言うのをとにかく壊してはいけないというのがありました。ドリフトとニトロの面白さが別々のものになるというのはいけないという話はしてましたね。
――ドリフトの面白さとニトロの楽しさが重なるような方向を目指したわけですね。
小林 これまでうまかった人が「リッジレーサーズ」でもうまいという風にしたかったんですよ。走り方が変わってしまうとか、ドリフトしない方が速いとか、そういうゲームにはしたくなかったので、新しい要素を入れるにしてもまずドリフトがきちんとあって、そこから発生すると、そういうところは絶対にぶれないようにしようという話はしていましたね。
寺本 ドリフトが上手いからこそニトロがチャージされて、より気持ちの良い加速が得られるということを軸にしたわけですね。
――「リッジレーサー5」ではもっとドリフトしたいと感じることがあったのですが、その思いがニトロが追加された「リッジレーサーズ」で叶えられたという気がしますね。
小林 実際のレースであればドリフトしない方が当然速いわけですが、「リッジレーサー」の世界ではドリフトが正解であるということですよね。
寺本 「リッジレーサー5」を発売してから4年半が経ち、PSPが発売されるという機会があったときにどうしようかなと思ったときに、僕らがもう一度基本に立ち返ったというか、1から考え直してみて、そこにたどり着いたという感じですね。「リッジレーサー5」の頃とはスタッフも大きく変わっているということもあるのですが、時代も変わっていますから。ニトロというシステムは、今の時代に「リッジレーサー」を出すときに、どのような形がいいのかという試行錯誤から出てきたものですね。
シミュレータ的なレースゲームがジャンルとして完全に確立してきた流れの中で、アーケードスタイルの価値ってなんだろうね、ということに立ち返ることができたのが2004年の「リッジレーサーズ」だったと思います。
――ここからは、いよいよ発売されるPS3版「リッジレーサー7」の具体的な内容についてお話を聞きたいと思います。まず、オフラインで遊ぶことができる「リッジステイトグランプリモード」について教えて頂けますでしょうか。
小林 リッジステイトグランプリモードには、リッジステイトというドリフトレーシングがさかんな国があります。そこにプレーヤーがルーキーレーサーとして国に入って、マシンを獲得して、レースに出場して、ステップアップを目指していくモードです。その中で、マシンをチューンナップしてパフォーマンスを上げ、最終的にはリッジステイトでいちばん権威があるリッジステイトグランプリで優勝する、というのが大まかな流れになります。レースには、リッジステイトグランプリのほかに、UFRAシングルイベント、メーカーズトライアル、そしていわゆる裏レースとなるエクストリームバトルというものがあります。これらを全部合わせるとレースの数は160種類にもなります。複数のコースをレースを転戦していくグランプリや、タイムアタック形式のレース、使えるパーツが限定されるレース、2台で走行するデュエルと言ったさまざまなルールのレースが用意されていますし、ボリューム的にも十分な量だと思いますのできっと楽しんで頂けると思います。
――レースの主催団体(UFRA)があるという設定であったり、マシンメーカーやパーツメーカーとのやりとりがあるのも新しい要素ですね。
小林 メーカーとのコネクション(「リッジレーサー7」ではメーカー主催のレースに勝ってコネクションを作るとそのメーカーのマシンやパーツを買えるようになる)という仕組みを作ろうと思ったのは、今回カスタマイズ要素を入れるにあたって、リッジステイト内にメーカーが存在するという設定を強調したかったのと、メーカーとの結びつきが増えていくことで、プレイヤーがレーサーとしてステップアップしていく、という感覚を醸成したかったという2つの理由からですね。
――リッジステイトという国が生まれたきっかけは何なのでしょうか。
小林 リッジステイトという架空の国のアイデアを出したのは寺本なのですが、「リッジレーサー6」でオンラインバトルをしているときに、それぞれの部屋に世界中のプレーヤーが集まってレースをするわけですよね。それというのは本当に架空の空間なんですが、そこに世界中の人の意志だけは集まっているというところから発想したんですね。
――オンラインで世界中のレーサーが集う場所、そこがリッジステイトという架空の国の原点なのですね。
小林 そうですね。それが今回のリッジステイトのコンセプトの原点なのですが、リッジを愛するリッジレーサー達が集う国というところが始まりですね。
寺本 「リッジレーサー」に出てくるマシンやメーカーなどはもちろん架空の物ではあるのですが、それらがちゃんと存在しているという感じを出したいなということがありました。そこに架空の国やメーカーがあり、そこにプレーヤーが集まってきてみんなでレースをするイメージですね。
――名声ポイントやお金という要素も追加されていますね。
小林 リッジステイトで頂点に立つということは、単純にお金持ちになれるということではなくて、富と名声を得られるような仕組みにしたいという事がありました。名声のポイントについては、オフラインのモードだけではなくて、オンラインでも稼ぐことができます。
例えば、オンラインバトルで対戦用のルームを作ると名声を5ポイントもらえたり、グローバルタイムアタックでゴーストデータを登録すると名声が1ポイントもらえるといった形ですね。これは、できるだけゴーストデータを登録してもらったほうが他の人の参考になるということや、対戦ルームを積極的に作ってもらってオンラインを活況のあるものにしたいという思いがあります。
寺本 オンラインで得られる名声ポイントについては、リッジレーサーが集まっている世界で良いことをしているんだから、何か見返りをあげたいね、ということです。名声ポイントはオンラインとオフラインの区別がないので、オンラインで名声を得てからオフラインのリッジステイトグランプリモードに帰ってくると、出場できるグランプリが増えていたり、パーツメーカーと契約するためのレースなどに参加できるようになっていたりしますね。つまり、必ずしもリッジステイトグランプリモードを最初にプレイする必要はなくて、オンラインバトルやタイムアタックから初めても大丈夫という作りになっています。
小林 オンラインバトルやタイムアタックでは、最初から完成されているアーケードマシンが使えるのですが、自分でパーツを購入してカスタマイズするためには、オフラインのリッジステイトグランプリモードもプレイする必要がありますね。
寺本 ある特定のレースでちゃんと結果を出していないと、声をかけてくれないメーカーがあったり、そういうような仕組みも入っているので、なかなかドラマティックな展開になっていますよ。
――オフラインとオンラインの連動というのは面白い要素ですね。
小林 リッジステイトという構想が出てきた時点である程度固まっていたのですが、ここまでがオフラインで、ここからがオンラインというような切り分けを明確にはしたくなかったということがあります。オフラインもオンラインもリッジステイトという国で行われていて、そこに来たプレーヤーはあくまでもいちレーサーであるというような統一された雰囲気を出したかったんです。
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