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イケメン義経様の神威アクションふたたび――PS3で描かれる、源氏と平氏の攻防「GENJI -神威奏乱-」レビュー(2/2 ページ)

ソニー・コンピュータエンタテインメントが放つプレイステーション 3のローンチタイトル「GENJI -神威奏乱-」は、プレイステーション 2で発売された「GENJI」の続編。義経、弁慶らを操って戦乱の世を駆け抜ける、壮大なアクションゲームだ。

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多彩で派手なアクションと、固有操作を駆使したアドベンチャー

 そんな「GENJI-神威奏乱-」独特の物語と美麗なグラフィックを堪能するためには、アクションで敵をなぎ倒していくことが不可欠だ。本作でのアクションは前作を踏襲しつつさらに進化したものになっている。

各キャラが使用できる何種類かの武器をL2ボタンで切り替える操作は、瞬時に行われるのでノンストレス。戦略で切り替えるもよし、気分で切り替えるもよしだ

 前述したように、プレーヤーは義経、武蔵坊弁慶、静御前、武尊の4人を自在に使い分けてプレイすることになる。左スティックで移動、右スティックで回避、×ボタンでジャンプ、□ボタンで弱攻撃、△ボタンで強攻撃、R1ボタンで防御、R2ボタンで注視(ロックオン)、L2ボタンで武器切り替え、というのが基本的なアクション操作だ。これらは4人のプレーヤーキャラ共通の操作となる。もちろん△ボタンや□ボタンでの攻撃はキャラごとにモーションもビジュアルも違うので、4人分を合計すればかなり多彩なアクションが可能だ。攻撃の途中で別のキャラに切り替えてつなげるコンボも存在する。これがうまく決まるようになると楽しみが増すだろう。個人的には義経や武尊による俊敏なアクションが好みで、この2人を多用していた。

神威発動中は画面をよく見て正確にボタンを押していこう

 通常の攻撃でも魅せるアクションが可能だが、L1ボタンで発動する「神威」が、本作の攻撃における“魅せる”という要素の最たるところだろう。神威ゲージをためて“神威”を発動させると、背景のビジュアルがガラリと変わり、敵の動きがスローモーションな状態になる。画面上に表示されるボタンを素早く押すことで敵への強力な攻撃が可能で、一方的に有利な展開を一時的に作ることができる。簡単操作で派手な攻撃ができる「GENJI」シリーズならではの要素だ。ただ残念なのは、背景も含めて見た目が派手ではあるのだが、アクションとしての爽快感があるというわけではなく、スローモーションゆえのまったりとした感があること。加えて何度も発動するとどうしてもボタンを押す操作が作業的になり、単調になりがちなところも否めなかった。

 また、○ボタンを押すことで各キャラごとの独自のアクションを繰り出すことができる。例えば義経なら旋風と呼ばれる壁走りが可能。道が切れていても壁伝いに向こう岸に渡れる能力だ。その他のキャラにもそれぞれ固有操作があり、それらを適材適所で駆使していかなくては進めない場所があるのだ。先に進めなくて詰まってしまったときにはキャラを変えつつ、いろんな操作を試してみるといいだろう。

武蔵坊弁慶でなければ壊せない障害物が存在する。その他に、静御前による漣(フックショット)でなくては進めない箇所も存在するので、よく見極めて進むべし

 かくいう筆者は「キャラごとに異なる能力がある」というのは十分理解していたつもりなのに、ある面でどうしても先に進めなくなり「どうしたものかなあ」と10分以上逡巡したあげく、「武蔵坊弁慶の能力で木を壊せばいい」という何とも単純な回答にたどりつき、ホッとしたこともあった。ヒントが少なく突き放した感のある謎解きで詰まることもあるが、試行錯誤していれば必ず答えが見つかるし、全体的な難易度はそんなに高くない。謎解き要素については、上級者には物足りないかもしれないし、もっとひねりのある謎解きもほしいとは思ったが、まずまずのバランスという印象だ。


この画面では手前にある建造物は見ることができない。グリグリと見渡すことができればなぁ、と残念に思った

 全体を通して残念に感じたのが、カメラ視点。3D空間を縦横無尽に移動し、自らの操作で視点を切り替えられるアクションゲームが主流と言っていい現状で、本作のカメラ視点は「バイオハザード」や「鬼武者」などのような固定視点寄りを採用している。画面上の動きたい方向にスティックを倒せばそちらに移動するし、カメラの位置もよく考えられて動いているので、「バイオハザード」のようなラジコン操作よりは明らかに感覚的な操作が可能ではある。だからこそ、固定視点のカメラに対してはがゆく思う局面が多く、視界の外から一気に大勢の敵にやられたり、固定で見えない部分のディテールを純粋に「見たい」と思っても見れず、「ぐりぐりと3D空間を自由に楽しめたらいいのに」と気になってしまった。

PS3のポテンシャルに期待しつつ……ローンチでアクションなら、これでしょ!

 本作では各所に隠されている雛石や倒した敵から手に入れた魔瘴鋼を使って、キャラ自身や武器を強化することができる。HPや攻撃力の強化は激しい戦闘を切り抜けて先に進めるためには必要不可欠だ。

スタートボタンで出るメニュー画面でキャラや武器の強化を行うことができる

 インストールによってロードが早くなるのは大いに評価したい。実際にインストールしてプレイしてみたのだが、確かにロード時間は早くなり、“待ち”のストレスを明らかに軽減する効果があった。ハードディスクが標準装備されていることの恩恵を感じることができる要素である。

 後半に向けて難易度は高くなっていくが、アクションゲーム好きならガシガシとプレイできるであろう本作。次世代ハードの力を感じることができる描画能力は堪能できるが、ゲームとして惜しい部分があるのも事実だ。ただ、プレイステーションやプレイステーション 2において、ローンチタイトルがハードの性能を100%引き出せていたわけではなく、ハードの歴史の後期により進化し充実したタイトルが出てきたことを考えると、さらなる進化を遂げたシリーズ次回作に期待する余地は十分にある。前作「GENJI」のファンならぜひプレイしてほしい一作だ。また、いちはやく次世代の息吹を感じたい新しモノ好きなアクションゲームファンは、まずは本作を体感して今後のプレイステーション 3の描く世界に思いを馳せるのもいいのではないだろうか。

「GENJI -神威奏乱-」
対応機種プレイステーション 3
メーカー制作:ゲームリパブリック/発売元:ソニー・コンピュータエンタテインメント
ジャンルアクション
発売日2006年11月11日
価格5980円(税込)
(C)Sony Computer Entertainment Inc.


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