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Wiiのために24時間――事態は、リアルタイムで展開していく(2/4 ページ)

ついに来た12月2日。仕事を早く切り上げてでも、どうしても欲しいWii。「なんだ、それなら仕事にすればいいんじゃないか」。という思いつきから始まったWiiを獲得するまでの24時間を、それぞれの編集部員の視点でリポートする。

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18:00−19:00

 18時05分。Wiiでは「ウィーチャンネル」と呼ばれる、テレビのチャンネルのような、ゲームだけでなくニュースや天気予報、またはバーチャルコンソールによってダウンロードした過去のゲームコンテンツを遊ぶ機能がある。その中にある似顔絵チャンネルでは、自分の分身ともいえるMiiを作成することができる。自分そっくりのMiiは、Wiiリモコンにコピーして持ち運びもできる。ライターJのパソコンに、Miiのように自分の分身たるメールを送っていた記者I。Jがパソコンを起動させると、それは現れる。彼はすでにはめられていたのだ。はめた張本人である記者Iはその頃、徹夜を考え、腹ごなしをしようと会社地下のハンバーガー屋へ行き、食料を調達していた。

 18時15分。ライターJは麻婆茄子丼を食していた。「記者のお2人は並ぶんだろうか……。がんばって。がんばってください……。私は友人と酒を呑みますが、どうかがんばってください」と、思うだけ思ってみる。思うのは自由だ。それにしても今夜は冷え込みそうだ。本当に行列を作る人たちが心配になってきた。ま、関係ないんだけど。

 18時45分。記者Eも取材が終わり、会社へと帰還。ここからだ勝負だ。昼飯(すでに夕食の時間……)を食べていないことも忘れ、一心不乱に執筆を行う。

 18時53分。記者Kがひそかに協力者と密会。ひたすら楽をすることを考える。

19:00−20:00

 19時02分。ライターJが何となく仕事と向き合う。このあとのおいしい酒のことを思いながら、デスクワークだ。パソコンを開くとメールが。記者Iのイタズラ心あふれるその文には、早朝取材のお誘いが……。これがあったから逃がされたと知ったJは、本気で逃亡は無理なのだと悟った。編集部に電話。出頭を約束する。「ただし、大統領の……」。はいはい。

 19時28分。先ほど買い込んだ夕食にありつく記者K。今日もコンビニ弁当だ。若干身体にいいとされるバランス食品を選ぶも、デザートに目がないKは、シュークリームをかかさない。

 19時32分。本部に新キャラ登場。記者Iとともに一緒に並ぶ予定のライターHが到着したのだ。ここで記者Iはいそいそと出発する。有楽町駅のコンビニで食料と飲み物を調達。これで何とか朝まででしのげるだろう。

 19時45分。とにもかくにも原稿執筆を続ける記者E。時折Wiiが頭をかすめるものの、現在のミッションを遂行せずして、次のミッションなどない。

20:00−21:00

 20時01分。「次のミッションなどない」と格好つけたが、やはり気になるものは気になってしまう記者E。焦れば焦るほど、作業ペースは遅くなっていく。その頃、夕食も終わった記者Kは、さっさと通常業務を高速で終わらせ、早々と撤退準備に取りかかっていた。というのも30分前出撃していく記者Iに、「明日の作戦を急遽変更する。お前が有楽町のビックカメラに並んでおくれ」と間際に言い捨てられたのだ。何をかいわんや。これで先ほどライターJからの電話のつじつまがあった。当初はビックカメラの取材は記者Iの仕事だった。しかし、イタズラ心満載の記者Iによって、ちゃぶ台返しとばかりにトレードが行われたのだ。IはKが出し抜こうとしていることなど、とうに気がついていたわけだ。有楽町に並んだ体験記を書けということですねボス。

 20時40分。マルチメディアAkibaに到着した記者IとライターHは壮絶な光景を目の当たりにしていた。地下駐車場4階に着くと、すごい人の列ができている。すでに800人程度は並んでいるようだ。とりあえず最後尾に付き、レジャーシートも敷く。ライターHは準備がよかった。それにここは屋内。エアコンも効いているし、喫煙所まで用意されていたので快適だった。

 20時50分。任務に一区切りつかぬまま、無理矢理一区切りついたことにして、移動を始めるライターJ。Wiiとはまったく関係ないプライベートなイベントの始まりだ。要は飲み会に出かけるのだった。こんなゆるい進行でいいのか?

 20時55分。記者K、悪寒を感じる。まさか風邪か……?

21:00−22:00

 21時10分。どんどんと人が増えていくマルチメディアAkiba地下駐車場。ほぼ地下4階の駐車場が満杯になったと思われる午後10時10分過ぎ、ついに「Wiiは完売しました」とのアナウンスが。思わず並んでいる人の中から拍手が起きる。もちろん記者Iも拍手。

今回はちゃんと並ばせる方針に変更していたビックカメラ。知りませんでした……

 21時20分。そろそろ帰ろうかと記者Kが帰り支度をする。有楽町ビックカメラは早朝5時まで並ばせない。プレイステーション 3の時がそうだった。だから、一度帰り明日始発前にでも来れば余裕だろうと、タカをくくっての所行だ。第一、防寒対策を怠っている。マルチメディアAkibaは地下駐車場で暖房完備だから快適だろうが、こちらは寒空の元の我慢大会である。準備は万全にこしたことはない。丸の内にある会社ビルを出て、どうせならと有楽町ビックカメラと様子を見てから帰ろうとすると……あれ? 並んでいる? しかも前夜から並んでいる3人組を先頭に、すでに100人以上? このまま並んでしまおうとかも思ったが、ふつふつと別の考えが及ぶ。どうせならば楽して手に入らないものか? どこまでもウサギとカメでいうところのウサギを目指そうと心に誓う。

 21時48分。友人たちと合流したライターjは、都内某所の居酒屋でまったりと呑み始める。うーん。予約で安心感を得た状態での酒は格別にうまい。しかし、明日は4時台から新宿と有楽町の2カ所で発売リポートとなってしまった。朝っぱらから山手線半周である。ここでもし、ぐでんぐでんになってちゃんと起きれなかったらどうしよう……。2人の記者にメチャクチャ怒られるのは間違いない。遅刻や寝坊は許されないのだ。そう思うと、酒の進みも若干鈍くなっていくのだった。

 21時55分。その頃記者Kは、抽選販売で運試しでもいいなぁ〜とか思い始めていた。というのも、早朝から並んで確保するといういわば達成感は得られなくとも、量販店の中には抽選販売のところも多いからだ。「運を天に任せてもいいのではないか」と、ニンテンドーDS Liteの悪夢の経験をまったく踏まえぬ楽観さを発揮する。それほど運はない。ただ悪運は強い編集Kはなぜか自信まんまんに山手線の秋葉原駅を通過し、自宅に帰るのだった。

 21時57分ようやく取材原稿の執筆を完了した記者E。が、本日すべき仕事はまだ残っている。終電までは約2時間しかない。すでに“なるべく早く帰る”は“終電で帰る”へと変わっていた。編集Kは、自宅到着。それと同時に秋葉原の様子を知る。一気にやる気を失いつつも、原稿をまとめにかかる。自宅でも仕事である。

22:00−23:00

ゲットした整理券

 22時10分。アキバの現場では、完売したので整理券を配布する旨のアナウンスが流れる。そのあとすぐに配布開始。整理券をもらった人は、このあと帰ってもOKということになった。記者Kがウサギならこちらはカメ。地道に並んだ人間が得をするという、いい例である。

 その頃、ウサギな記者Kの元にマルチメディアAkibaが陥落した情報と前後して、新宿西口ヨドバシカメラも規定の人数に達した旨が入電。並んでいる友人からの狂喜乱舞の声が電話口から聞こえてくる。「まずい。このままでは有楽町も早々に完売する……」。危機感漂うも、なぜか睡魔が襲う。身体が逃避行動を起こしているのかと思いきや、先ほど飲んだ風邪クスリが効いているようだった。なぜかノドが痛い。

 22時12分。酒の進みを遠慮してるとか言いながら、結局いつもと同じペースで呑み、愉快な気分になっているライターJのところに、記者Iから電話。もちろん着信音は、あのピッピッ、パーピョ〜だ。「うぉお。ボスからの突然の電話。俺の行いに対して免職の手続きをとるつもりか。俺は俺の信念のもとに行動したつもりだ」と構えてみたが、実際は「こっちは整理券もらって解散しちゃったから、今から各地を回ってみるね〜」というものだった。何か事件でも起きたのかと思ったが、どうやら今回のWii行列は平和なムードが漂っているな。

 22時30分。記者Eはひたすら残りの仕事を片付ける。記者Iから「なんか整理券配布して終わっちゃうみたいだよ」との連絡が。自分がゲットできたからって電話かけまくってんじゃないよ!(怒)。もう心はこんなところにはない。

 22時44分。記者Kが記者Iからの助言の元、有楽町への早期襲撃計画を立案するも却下。有楽町は早朝ギリギリを狙うに限るというのだ。はて? なぜだ? いぶかしがる記者K。すでにWiiを入手した慢心か?(実はこのとき有楽町に行列ができていることを記者Iは知らなかった。情報収集能力が低い)。とりあえず自宅待機でメッセンジャーで友人を捕まえる。彼を上野ビックカメラへ派遣する算段をつける。友人は元ゲーム誌編集者である。彼はそれほどWiiを買う気がなかったようだが、ノリでこの祭に参加することにしたらしい。場合によっては上野を戦場にするのもいいだろう。要は最終的に手に入っていれば問題ないわけだ。

 22時58分。記者IとライターHは、整理券をもらったのでここに残っていてもしょうがないと、各地をめぐることに。ようやくマルチメディアAkibaを脱出する記者IとライターHは、車を確保するために一時自宅へと戻ることにした。

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