Wiiのために24時間――事態は、リアルタイムで展開していく(4/4 ページ)
ついに来た12月2日。仕事を早く切り上げてでも、どうしても欲しいWii。「なんだ、それなら仕事にすればいいんじゃないか」。という思いつきから始まったWiiを獲得するまでの24時間を、それぞれの編集部員の視点でリポートする。
5:00−6:00
5時23分。ひたすら我慢大会をする記者K。そんな時、一緒に並んでいた友人が本日12月2日に誕生日だと知らされる。なんとWiiと同じではないかと路上でさっそく誕生日会を開催。コンビニでケーキを買ってくる。長い人生で、こうして路上で座りながら祝われる誕生日会はなかったとのこと。ちなみに友人は、最初にmixiで誕生日を祝われ、次にニンテンドーDSに祝ってもらい、ようやく人間に祝ってもらえたと喜んでいた。
5時50分。山手線をぐるり半周。6時前になんとかビックカメラ有楽町店本館にライターJがたどりついた。報道陣もちらほら来ている。気温はかなり低い。眠気がぐわっと来てかなりやばくなってきた。そういえばいるはずの記者Kがいない……?
5時52分。現場チームのライターJが有楽町に到着したとの知らせを受け、本部を出て活動開始。ビックカメラ有楽町本館へと急ぐ。どこまで行列が伸びているのかを確認するために東京国際フォーラムへ回ると、なんと建物を半周するほどの勢いだ。このまま、6時過ぎに完売した。その頃、茨城では記者Eが空を仰いでいた。人もまだ少ない。都内ではあと1時間もすれば発売だというのに、これでいいのだろうか? 悩み出す時間だ。
6:00−7:00
6時28分。セレモニーに参加するため、ライターJとともに最前列へ陣取る。ライターHはここでリタイア。7時からの販売開始に間に合わせるため、マルチメディアAkibaへ向かう。
6時36分。茨城の空が明るくなるとともに人が増え始めた。30人くらいにはなったのだろうか。「ドッキリだったりして」とか、記者Eの脳裏にはくだらない考えばかりが思い浮かぶ。
6時48分。なぜか某メーカー広報さんの陣中見舞いを受ける。温かい飲み物とご飯を差し入れてもらい、ちょっと泣きそうになる。この広報さん、当初有楽町にいたはずだが、意味なく移動してしまったらしい。よく分からないが、さまざまな情報をいただく。都内の早売り店は大体7時からなのだが、さくらやは8時から。まだまだ先は長いが、それでも終わりが見えてきたと安堵する。しかし、気になるのはいまだに店舗スタッフが見えないところ。警備員もいないが、粛々と列をなしていくのは日本人のいいところだと思う。列はいつの間にか、規定の180台を軽く越え、200人以上に伸びていた。
7:00−8:00
7時20分。セレモニーを無事取材完了。有楽町に派遣された現場チームは本部に戻り、まずは一報を打つことにする。ライターHからは300人ほどが残っており、クラシックコントローラなどは売り切れ寸前との連絡を受ける。いくら本体は買えると言っても、とっとと向かわねばと心が騒ぐ……。ライターJはその間、しゃかしゃかとキーボードを打つ。
7時30分。やっと渋谷は店舗スタッフが登場。にわかに活気づく。割り込み防止整理券の配布がはじまった。記者Kのもらった番号は178……!? 180台しかないのにギリギリセーフだったのか、と思いきや101番からのスタートでした。この時、記者Kの後ろに某ゲーム雑誌の編集長がいることに気づく。お互い何やってるんでしょうね、なんて和む。
7時45分。人が少ないためか、記者Eの元には整理券が配られる様子はなかった。
8:00−9:00
8時05分。ようやく販売開始。レジが2つしかないため、時間がかかる。とはいえ、少しずつ前に進むのは気持ちがいい。同時刻、“8時以降に並ぶこと”というルールでも決められていたかのように、記者Eの後ろに人が一気に集まり始める。同時に整理券も配られた。茨城の朝は遅かった。
8時11分。先に現場をリタイアしたライターHから、マルチメディアAkibaで購入したとの連絡を受ける。もうたまらない。記事を掲載したのをいいことに、ライターJをうち捨ててマルチメディアAkibaへ向かう。
8時39分。ライターJに眠気がガガガと来る。ほかの記事を(この記事ですよ)書くために、さらにキーボードを打ち続ける。だが眠気が……。
8時49分。記者K。やっと順番が来てWiiをゲットする。一時は敵の誘惑にのり裏切ろうともしたが、こうして手に入れると感慨ひとしおである。友人とWiiを抱えて電車に乗り込むのだった。
9:00−10:00
9時10分。整理券が配られたものの、まだ台数には余裕があるらしい。記者Eの内心はかなり複雑であったが、ようやく店がオープン。“買えたんだから、それで良しとしよう”。大人な考えで店を後にした。
9時37分。記者IがマルチメディアAkibaへ到着した。購入者の列もなく、到着と同時にレジに案内され、すんなりと購入する。迷った末に「おどるメイド イン ワリオ」をも購入。すでに予約している「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」、「Wii Sports」、「はじめてのWii」とあわせて4本だ……。
9時42分。記者Kも本部(もういいから……)へと帰還。全員がWiiを無事確保したことに安堵するも、がっつりとした疲労は否めない。少なくとも電車で寝込んでしまっており、そっとWiiを持っていかれてもおかしくないほど疲れていた。しかし本部に着いてみると、記者Iが入り口にたたずんでいる。どうやらJの裏切り(睡眠)を受けて、締め出しを食らっていたようだ……。さすが、本部のセキュリティは万全だ。記者KはIとともに本部に戻る。
そして渋谷、アキバ組が到着すると同時に、ライターJがソフマップへと向かう。やはりここでも裏切り者のそしりを受ける。だが、あえて言おう。「なぜ予約しないのか」と。
10:00-11:00
10時20分。ソフマップ到着するライターJ。混雑にあうこともなく、すんなりレジにたどりつき、軽やかにWiiをゲットする。気分はさながら「テロリストが仕込んだ爆弾を除去し、何十万人もの人民の命を救ったおれ」だ。任務を無事に遂行したその達成感をかみしめるライターJだった。
しかし油断は禁物。あの番組においても安堵しきった23時間目あたりに一波乱あったりするものだ。私はよからぬ輩にWiiを奪われないように、細心の注意を配りながら本体とソフトを運んだ。ライターJの最後の大仕事は、Wii輸送の安全確保。そしてその輸送先は……友人たちが待つ都内某所の施設だった。
10時40分。無事に自宅にたどり着いた記者Kは、さっそく箱を開けて、Wiiを起動する。まずはWiiチャンネルというものを見てみようとするも、はたと気がついた。Wiiが無線LAN標準であったことをド忘れしていたのだ。我が家は残念ながら有線だ。いきなりつまづいたと思ったが、「ニンテンドーWi-Fi USBコネクタ」があるではないか。事なきをえて、Wiiを堪能する記者K。しかし、問題がひとつ。記者Kの部屋はそれほど広くはないことだ。しかも最近めっきりゴミ屋敷化している。テレビCMで見るようなさわやかなWiiのある生活とはイメージが違いすぎていた……。次は掃除任務か。と、心をはやらせるのだった。しかし、襲いくる睡魔には勝てず。まずはWiiで遊ぶ夢でも見ようと、ここで記者Kは撃沈したのだった。
11:00-12:00
11時12分。「Wii24」もいよいよ最後の1時間。「Wiiを入手せよ!」という企画なのに「予約したから当日は並んだりしません」という、ある意味ルール違反なライターJは、結局なんだかんだ(多分に私用を含む)で前日の昼から寝ていない。はっきり言って眠い。今すぐにでも眠りたい。ふとんが目の前にあったら確実に寝る! そんな状況ではあったが、寝ている場合でもない! すでに某施設の一部屋を借りた友人が、わたしとWiiの到着を今や遅しと待っていたのだ。
11時20分。そのころの記者I。自宅に到着すると子どもたちからの歓声を受ける。しかし眠い……。セットアップしたあと撃沈する。片っ端から子どもたちがソフトを試している声が聞こえる。ああ、おれも遊び……。意識がとぎれたようだ。
11時25分。 Jの友人宅ではWii発売記念集会「ウィー部」が始まった。集まったのはゲーム好きな友人5、6人。無事に会場に到着した私はおもむろにWiiをショップの袋から取り出す。「おおおおおおお」というどよめきが起こり、開封され鎮座ましますWiiさまを、皆がバシバシと撮影しだした。気が済むまで写真を撮った友人たちは、さっそくプレイを開始。最初は「はじめてのWiiパック」で基本をつかみ、その後「スイングゴルフ パンヤ」、「スーパーモンキーボール ウキウキパーティー大集合」で、Wiiリモコンの不思議な魅力を堪能した。「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」を1人がプレイし、周りがあーでもないこーでもないと助言する場面もあった。
そんなこんなで、眠い眠いと思いつつ、ライターJも友人たちとまじってWiiを遊び倒した。12時を越えてもWiiのプレイはおさまるわけがなく、みんなの笑顔に包まれながら、Jの24時間の若干まったりとした戦いは幕を閉じた。いつになったら眠れるのか……。たまに意識が途切れそうになりながらも、新しい遊びの時間は終わりそうにもない。
ちなみに、遊んでみた友人たちの感想は軒並み好感触。「すげーすげー」と子どものようにはしゃぐ大人もいたり、珍プレー好プレーの続出にみんなで大声で笑ったり。これが正しい「おもちゃ」であり「遊び」だよなあ、と思うのであった。今は素直にWiiの発売を祝いたい気持ちでいっぱいだ。ビバ! Wii!
※お分かりだとは思いますが、編集部みんな“あのTV番組”のファンです。ただしまったく関係ありませんのでご了承ください。
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