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世界標準に後れを取る日本ゲーム市場なんて見たくないくねくねハニィの「最近どうよ?」(その4)(1/2 ページ)

海外のゲーム動向で日本の市場が見えることもある。本格的な冬到来を先取りして風邪を引いたハニィの「最近どうよ?」4回目は、いよいよそろい踏みとなる次世代・新世代家庭用ゲーム機をネットワークの観点から考察してみるのでよろしこ。

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 ずいぶん長い間原稿をあけちゃったわ……。海外ゲーム市場についてリポートしてる(つもりの)くねくねハニィの「最近どうよ?」第4回目でやんす。パチパチパチパチ。まったく……ものすごくひどい風邪をひいたわ。体力だけが自慢のハニィも全面降伏したんだけど、いよいよ冬到来だし、季節の変わり目は皆様お気をつけ遊ばせ。

 さてさて、いよいよ日本でもアメリカでもプレイステーション 3(以下、PS3)が発売されましたね〜。日本ではいずれの販売店も品切れを起こしてるって聞いてたんだけど、発売2日目の午後、ハニィの家の近くのYカメラで在庫発見。サイフに7千円しかなかったハニィは買わなかったけど、あるところにはあるもんですね〜。アメリカではニュースになるくらい大騒ぎのご様子。逮捕者も出たみたいですね。そんでもってWiiも12月2日に発売されました。Wiiは日本に先行してアメリカで11月19日(PS3発売日の2日後)に発売になったの。ゲーマー達の心をくすぐる年末だよね〜。

 アメリカのオンラインオークションサイトeBayでは、なんと1万4000台ものPS3が並んだらしく、全部で500台しか供給されていない台湾マーケットよりも多い! とネットで叩かれているくらい。発売直後は平均2千500ドル〜5千ドル(29万円から58万円くらい)で取引されたらしいけど、最高額は1万5千ドル(約175万円!)がついたらしいよ。一方、Wiiも1千台くらいサイトに乗ったらしいけど、平均1400ドル(16万円くらい)で取引されたらしいですわ。いつものことだけど、フィーバーぶりが激しいですな。

 アメリカの販売店では、昨年のXbox 360と同じこと(初回に70万台ほどしか投下されず、その後翌年3月まで再出荷されなかった)になるのでは? との警戒感は否めないみたい。ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下、SCE)も任天堂も即時追加供給を約束しているから(マイクロソフトも去年そうだったような……)、供給不足は解消されると思われるけど、「タマさえあればもっと売れたのに!」的機会損失は間違いないみたい。今後も見守っていかないとね。

 で、ハードはともかく、ソフトはどんな感じなのかしら? と調べてみたの。アメリカのゲーム小売フランチャイズ大手のGamestopによると、発売時のPS3のゲームソフト装着率(ゲーム機1台につき購入されるゲームソフトの本数)は約1.5本で、SCEアメリカの「Resistance: Fall of Man」と、EAの「Madden NFL 07」が売れ筋だった模様。 Wiiの場合は約3本。Wii購入者のうち75%はゼルダ(「Zelda: Twilight Princess」)を購入したって結果が報道されたんだよ。ゼルダの他にはUBIの「Red Steel」や、EAの「Madden NFL 07」などがよく売れたみたい。あれ? 日本発のソフトが「ゼルダ」しかないじゃない? ちょっとぉ〜、何とかしなきゃあ。

 ちなみにPS3とWiiの発売騒ぎの大波の中、マイクロソフトはXbox 360向けのソフト「Gears of War」を発売(2006年11月7日)。2週間で100万本売ったらしいから大したもんよね。日本では2007年1月18日に発売されるらしいよ。8人までのオンライン協力プレイができるシューティングゲームでぇす。欧米で爆発的に売れる商品がどんなものなのか、という勉強の意味でも一度プレイをしてみてはどうかしら?

 っつーことで、今回は次世代ハード発売記念「海外向けゲームソフト戦略」をお送りします。みんなもう知ってると思うけど、欧米向けには、グラフィックの美しさ(何せ今やハイデフ対応ですから)が問われるってのは前々から言われていたこと。また、RPG群も受け入れられてきてはいるものの、やっぱりファーストパーソン・シューティング(FPS)だし、アドベンチャーよりはアクションアドベンチャーだし、ってのもご存知のことかと思うの。ただ、その定説に加えて、欧米に本格化するネット環境の変化や次世代機等の投入に伴って、日本とは違った市場傾向やマーケティング戦略が出てきたので紹介しておくね。攻略するには市場を知らねばっ! 次世代市場もひっくるめて巻き返すぞ!!

ネットワーク機能は絶対なのだ!

 日本では、ゲームと言えば「ゲーム機」をTVにつないで遊ぶものだけど、これがアメリカやヨーロッパではPCゲームが歴史的に基本にあるから、この日本の定義はむしろ「一部」。それでも日本発のハードやゲームソフトが優れていたので、ある程度の市場規模になったわけ。当初は“ゲーム機”のゲームは子供用、大人はPCゲームで遊ぶなんて極端なことも言われていたわけ。韓国なんかでは家庭用ゲーム機なんて“邪道”。PCゲーム、それもオンラインゲームが熱狂的に取り沙汰されているから、いまさらスタンドアロンなんて「はぁ?」って感じかも。もちろん、RPGなどアジア文化に根付いたものはともかくとして、一度ネットワークゲームのおもしろさを勝ち得た人々は、もう1人でTVに向かってってのは“後退”になっちゃうみたいよ。

 欧米のゲームソフトでいう「マルチプラットフォーム」(多機種対応)とはPCも含んでいることが多いのね。PCゲームにオンライン機能をつけるのはある意味当たり前で、その延長上で「ゲーム機」向けにもオンライン機能がついているの。スタンドアロンが主流のゲーム機向けに開発しているのが日本のゲーム業界。そういう意味では日本だけ孤立した環境の市場であり、ソフト開発事情であるわけ。北米ではすでにオンライン機能は、フルプライスで売るためのマストな条件となりつつあるけど、次世代が本格的に始動した今、日本発のゲームソフトもその対応を迫られてるよね〜。

 SCEさんが2002年にオンラインPCゲームバリバリの韓国において、PS2をローンチしたときには、オンライン機能のついた韓国発PS2ゲームが期待されていたけど、軒並み失敗したのね。それは、オープンなPC環境で自由に開発していた韓国のデベロッパーにとって、制限の多い「ゲーム機」での開発が難しかったからでしょう。ライブラリの使い方ひとつとっても経験がモノを言うから、手馴れてる日本のデベロッパーと比べるとそりゃーハードルは高かったはず。

 欧米のデベロッパーはそういう意味では両方の経験があるわけで、こと「オンライン」を語ると技術的にもゲームプレイ的にも一歩先んじてるってのは日本人としては認めざるを得ないわけさ。本家の日本で広まらなかったPS2のオンラインゲームをすんなりと(そうでもないか)展開した北米のデベロッパーとパブリッシャーには拍手を送りたいくらい。

 ゲーム機メーカーによってネットの仕様が違ったり、地域によってインフラが異なるから、なかなか難しいことではあるけど、北米では一部のオタク向けソフトやビッグタイトルを除いて、2005年くらいからオンライン機能がないとフルプライスで発売してもアピールしないって現象が起きているの。北米のトップセールスタイトルには、ネット対応がついていることが多くて、オンラインがない、ということだけで「格オチ」扱いをすることもあるくらい。その中で、ほとんどオンライン機能がついていなかった日本のタイトルは苦戦が続いているの。日本のゲームソフトに対する海外のユーザー離れを引き起こしている一因かもね(もちろん、ネット対応部分だけではないけどね〜)。

 じゃあ、オンライン機能がついてさえいればいいのか? って話だけど、そんなことはなくて、北米の場合は、PCの世界から派生して家庭用ゲーム機市場にも「オンライン専用ソフト」というものを投入する動きが始まっているの。オンラインじゃなければゲームとして成立しないってことね。日本のオンライン機能つきのゲームと言えば、ランキングから始まってアイテムダウンロードとかフィールドとかのダウンロードが多いよねぇ。海外の場合は「対戦」とか「協力プレイ」とかがこれに加わるわけ。うーん、加わるってのは正確じゃないな。そもそもオンラインで遊ぶことを目的で作られてるから「1人でスタンドアロンでも遊べますよ」なんだよね〜。

 日本の場合はスタンドアローンが根本にあって、それに何らかの付加機能としてオンラインをくっつけた(アドオン)形が主流だったんだけど、欧米からするとこれは子供だましのオンライン。最初から「ネットで誰かと遊ぶ」ことが前提であることを意識して作ることが求められるの。

 今後のネットワークゲームを考えれば、サーバ上のフィールドで遊ぶなんてナンセ〜ンス。サーバ負荷やタイムラグを考えたら、いかにパッケージソフト上またはダウンロードされたソフトウェアのフィールド上で、ピアtoピアで遊んでもらうかってことを考えなきゃいけないよね。ということで、ハードメーカー側のインフラ整備は急務かつ不可欠なことだと思われますです。

 ところがぁ、PS3本体は発売されたものの、ネットワークに関しては10月末にダウンロードゲームとかの発表があっただけで、ハニィが知りたかったマッチメイキングとかロビーサーバの話とか皆無。まぁ、最初はネットワークを激しく使うゲームはないからいいか、とも思うけど、残念感は否めないよね〜。課金関係にしてもXbox 360みたいにプリペイドカードとかの説明もないし。チャットとかゲーム以外のところはおいといて、実際にゲームにかかわる部分でのインフラの整備はどないなっとんねん? 

 まぁ、欧米のパブリッシャーはそんなインフラの中でも自らの技術でサーバ運営を行っていたんだけど、彼らにはPCノウハウがあるからねぇ。ハード側に頼らないでもできる経験値は十分に持ってるってのも強みだよね〜。そういうパブリッシャーと組んで、ハードに頼らないネットゲームを作っていくってのもありあり。もちろん、欧米市場に迎合することなく、日本には日本のゲームの良さがあるんだ! と主張するのもいいけど、その場合はゆめゆめ中途半端にネット機能をつけるべからず、と進言しておくね。やるならとことんだわよぉ〜。

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