火の回りで踊れば、西洋諸国もタジタジ!?――新文明である先住民族が追加されたRTSの決定版:「マイクロソフト エイジ オブ エンパイア III:ザ ウォーチーフ」レビュー(2/3 ページ)
リアルタイムストラテジーゲームの金字塔「エイジ オブ エンパイア III」に、待望の拡張パックが登場した。アメリカ大陸における、西洋列強国と先住民族との攻防を描いた本作、新要素に着目してみる。
文明を育てる楽しさがある「ホームシティ」
AoE3では、「ホームシティ」というシステムが新たに採用された。過去のRTSゲームでは、プレイを重ねるごとに蓄積されるのは、プレーヤーの上手さ、つまりプレーヤースキルという、目に見えないものだけであった。RPGのように、キャラクターのレベルが上がって新しいアビリティを取得した……なんて分かりやすいプレイの蓄積はなかったのである。
ホームシティは、RPGで言えばプレーヤーキャラクターに相当するものだ(人ではなく“街”という違いはあるが)。ゲーム中、敵を倒したり建物を建設して活躍すると、そのつどホームシティは経験値を得られる仕組みだ。ゲーム中、一定の経験値を得るごとに、本国からの援助である“搬入物資”を送ってもらえる。また経験値はどんどん蓄積されていき、一定以上の経験値が溜まると、ホームシティのレベルが上昇する。ホームシティを育てていく楽しさも味わえるのだ。
このカードは、初期状態で20枚所持しており、ホームシティのレベルが1上がると、任意のカードを1枚選択してもらえる仕組みだ。カードは、各文明ごとに約120種類ほど用意されているが、実際の戦闘に持っていけるのは、最大で20枚という制限がある。どのカードを持って戦いに挑むか、自分の戦略に合わせて変えていく、カードゲームに似た楽しさも味わえるのが、本作の大きな魅力であろう。
使用カードで戦略も大きく変わる
カードの効果は、「木材を400送ってもらえる」、「軍事ユニット11体を送ってもらえる」など、どれも強力なものばかりだ。このような直接的な効果をもたらすカードのほか、「木材の採取速度アップ」など、内政面でのアドバンテージを得られるものもある。
特に、直接軍事ユニットを得られるカードは、今までの戦略をくつがえすほど強力だ。たとえば、まだ相手文明が無防備な状態のうちに軍備を整えて、通常よりも早いタイミングで攻め込むことができる。逆に、相手がこちらに攻めてくることを察知したら、守備ユニットをすばやく出現させることもできる。
基本的に、ホームシティのレベルが上がるほど、強力なカードが解禁されるため、プレイするたびに新たな戦略を試せるのも面白い。また、「経験値2000を得る」といった特殊な効力を持つ進化もあるため、文明の発展は二の次で、とにかく経験値を稼いでカードを使いまくって勝利するという、超短期決戦型の戦略を行うことも可能だ。
もちろん、「木材の伐採速度を上昇させる」といった内政面でのアドバンテージがあるカードも多数あるため、これらを中心にデッキを構成して文明を発展させ、後半に超大軍で一気に攻め込むという戦い方もできる。
どのような戦い方をするにせよ、カードをうまく使えるかどうかが、本作のキーポイントであることは間違いない。自分だけの戦略を見つけ出し、上手く運営する楽しさは、過去シリーズでは味わえなかった楽しさであろう。
内政は速度が勝負
本作の中心を担うシステムである、内政面について触れていこう。本作では、街の中心で入植者(新規の3文明では町の人になる)という内政ユニットを作成し、彼らに資源を集めさせることが基本だ。資源は、木材、食料、金貨の3種類ある。木材は木を伐採すると入手でき、食料はマップにいる動物を狩ったり、畑を耕すと入手できる……といった具合だ。
得られる資源は、単純に入植者が多ければ多いほど、多くの資源を入手できる。一人で木を切るよりも、10人で切った方が、10倍多くの木材を集められる、という具合だ。資源が集まれば、より多くの軍事ユニットを作成したり、内政面の強化を行うことができるため、より自文明を発展させることができる。
また文明は、“時代を進化”させることも可能だ。標準ルールの場合、各文明は「発見の時代」からスタートする。食料800を使えば、次の時代である「植民の時代」へと進化することができるのだ。
時代を進化させると、新たな建物を建てられるようになったり、より強力なユニットを作成できるというメリットがある。また、内政面を強化できる“進化”も、より強力なものが解禁されるなど、良いことずくめだ。
入植者がどんどん増えていき、建物も少しずつ増え、文明がどんどん発展していく様を眺めるのは、単純に楽しい。都市を育成するシミュレーションゲームに似た楽しさを味わえるのは、本シリーズならではの魅力であろう。マルチプレイのみならず、相手国の力量を自由に調整できるシングルプレイでも楽しめるのは、本シリーズの長所だろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.