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リアルな挙動、アンリアルなキャラ……そして深みにハマる世にも不思議なエレビッツの世界「Elebits」レビュー(1/2 ページ)

12月2日、KONAMIはWii専用ソフト「Elebits」を発売した。謎のいきものエレビッツを捕まえる新機軸なアクションゲームは、やればやるほど味わいの出るなかなかの良作に仕上がっている。

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カラフルでコミカルでふてぶてしい……不思議なエレビッツの魅力

カイは、パパとママを忙しくさせるエレビッツが大嫌いな男の子だ(※画面は16:9ではなく4:3で撮影)

 Wii本体と同時発売されたKONAMIの「Elebits」は、Wiiリモコンによる操作を活かした新感覚アクションゲームだ。

 Elebits(エレビッツ)とは、時には火となり、時には灯りとなり、テレビ、車などあらゆる機器のエネルギーの源になっている不思議な“いきもの”。本作は、ガソリンやガスなどが存在せず、すべてのエネルギーがエレビッツによってまかなわれている架空の世界(絵本の中の世界)が舞台になっている。

 メインであるストーリーモードの主人公は、小学4年生のカイという男の子。エレビッツを研究している学者を両親に持つカイが、父親エドの開発したキャプチャーガン(エレビッツを捕獲できる不思議な光線銃)を手にエレビッツを捕まえていく、というのが大まかな流れだ。要所要所に差し挟まれるムービーは、絵本の中という設定だということもあって、ふわっとした質感のとても愛らしいものになっている。子どもから大人まで幅広いそうに受け入れられそうな、あたたかな印象のデザインで統一されている。

 一方、実際のゲーム画面は、ポップでカラフルな世界観はそのままに、非常にリアルに部屋や家具、電子機器類が作り込まれている。そして何と言っても秀逸なのがエレビッツそのもののデザインだ。かわいらしいのは間違いないのだが、その表情や動きはどことなくふてぶてしく怪しい雰囲気もある。さまざまなエネルギーとなるその能力同様に、つかみどころのない多様的な魅力を持った存在であると言えるだろう。

何を考えているか分からない、この表情……。いったい何者なのだろうか

 このような世界観なりキャラクターを見てピンと来た人なら、プレイしてみて損はない。かわいくて不思議な世界にどっぷり浸かることができるだろう。そして「何だか子どもっぽいなぁ」とか「こういう雰囲気はいいや」と思った人には「ちょっと待った!」と一言申したい。エレビッツの魅力はその世界観だけではない。Wiiリモコンがあって初めて成立する、新しいアクションを体験できるタイトルだ。あなたがもし新しいモノ好きならば、ぜひぜひチェックしてほしい作品なのだ。

Wiiリモコンがキャプチャーガンに早変わり――撃ってつかんでひっぱって

 本作のプレイにはWiiリモコンのほかにヌンチャクが必要になる。Wiiリモコンにヌンチャクをカッチリ装着して、いざスタートだ。

チュートリアルで操作方法をマスターしよう。ストーリーが進むことで追加されるチュートリアルもある

 1人プレイなら迷わず最初にストーリーモードを遊んでいただきたい。最初にチュートリアルをプレイすることで段階的に本作の操作体系が理解できるようになっている。極端な話、取扱説明書に目を通さずに始めても大丈夫なほどにチュートリアルはしっかりしていて親切ていねいだ。

 本作は、完全に作りこまれた箱庭を自由に移動できるタイプで、完全にプレーヤーの視点で画面が表示されている。また、プレーヤーはキャプチャーガンを駆使してあらゆるモノやエレビッツにビームをあてていくので、FPS(一人称視点シューティング)に限りなく近い操作感覚だと思ってもらっていい。

 ヌンチャクのスティックで移動(Cボタンで背伸び、Zボタンでしゃがみができるあたりがちょっと独特で面白い)、Wiiリモコンによるポインティングで視点の変更をし、AボタンもしくはBボタンでビームを撃つ(ビームによってエレビッツを捕獲したり、モノに照射しつつWiiリモコンを動かすことでつかんだりひっぱったりできる)、というのが主な操作方法だ。

 と、文字で説明すれば単純だが、実際にプレイしてみると、非常に情報の多い複雑なゲームであることに気付くはずだ。そのとき動かせるものはひっぱったりつかんだりすればちゃんと反応するし、つかんだアイテムが別のアイテムにあたった場合に起きる反応もすべてリアル。物理演算がしっかりしているために、あたかもその場所にいるような臨場感を感じることができるだろう。引き出しをつかんだ状態でWiiリモコンを手前にひけば引き出しが開き、蛇口をつかんでWiiリモコンをくいっとひねれば水が出るなど、微に入り細に入った演出の細かさがプレイの気持ちよさにつながっている。

 ただし、キャプチャーガンで動かせるものにはその時その時に限界がある。この限界を引き上げて、より重いものを動かせるようにするためには多くのエレビッツを捕獲する必要があるわけだ。そもそものゲームの目的は、各ミッションにおいて制限時間内にある一定のw(ワット)を集めることにある。ワットとはエレビッツを捕まえることで得られるエネルギー=電力そのものだと思っていい。ステージの中には、500w入手したらスイッチが入れられるおもちゃだとか、1000w入手したらスイッチが入るPCなど、電力を使うアイテムが点在している。ワットをため、それらのアイテムに通電することでさらなるエレビッツが登場するので、さらにワットがたまっていく。この流れを効率よく運ぶことでよりスムーズにクリアすることが可能になるのだ。

最初はこんなに真っ暗い部屋だけど……
テレビのスイッチをオン!
大量のエレビッツを発見。キャプチャーしまくれ!

そうこうしているうちに部屋が明るくなっていく
スイッチが入れられるモノが増えていって…キャプチャーは続く
ワットが一定量たまればクリアだ

 ワットの入手によって、電気機器の通電、キャプチャーガンのレベルアップ(より重いものを動かせるようになる)、エリア内の照明の点灯、今まで開かなかったドアが開くなどのメリットがもたらされる。プレーヤーの操作によって行けるところが増える、できることが増える、世界が広がる、という楽しみは従来のアクションゲームでも存在したが、その要素とWiiリモコンの操作とリアルな箱庭が非常にバランスよく練り込まれているという印象を受けた。

 例えば同系統と言えば語弊もあるかもしれないが、従来のタイトルで言えば、アイテム取得や能力追加で探検できる場所が増える「悪魔城ドラキュラ」シリーズや「メトロイド」シリーズ、小さいアイテムを塊にくっつけていくことによって徐々に大きな世界へと進むことができる「塊魂」シリーズなどと近い面白さがあるように思った。これらのタイトルが好きな人であれば、おそらくかなりハマれるのではないだろうか。

こちらはキッチンステージ。機器の中には「何かを入れる」ことで初めてエレビッツが出てくるモノも。トースターにはパン、電子レンジには……という風に思考する楽しさもあるわけだ

電磁エネルギーでエレビッツを気絶させる電磁パルスボールなど、各ミッション内で登場するアイテムの存在もユニークだ

 本作のミッションの面白いところは、エレビッツを捕まえてワットをためる以外にも条件が設定されている点にある。例えば、壺や花瓶などの破壊できるモノが存在するミッションで、それらを何個破壊したらミッション失敗という条件があったり、画面右に音のゲージがあって大きな音を何度か立てるとミッション失敗というケースもある。そういう特殊なミッションの場合、ただやみくもにエレビッツを探せばいいというわけではなく、手に嫌な汗をかきそうな緊張感が生まれて、それもまたドキドキさ加減が楽しかったりするのだ。1つのステージにはノーマルミッションの他にタイムアタックなどが追加されていくので、繰り返し楽しめる点も評価したい。

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