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あれれ? ちょっといつもと違う「聖剣伝説」――お約束もしっかりしてます「聖剣伝説4」レビュー(2/2 ページ)

プレイステーションでは「聖剣伝説 LEGEND of MANA」以来となる聖剣シリーズの「聖剣伝説4」。前作から比べると、キャラクターや世界が3Dで表現されるなど、意欲的な変更が数多く加えられている。さて、どのように仕上がったのだろうか?

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聖剣伝説らしい、美しいグラフィックは本作でも健在

 2Dだったキャラをポリゴンで立体化すると、ほとんどのゲームでは昔の面影が無くなってしまい、不評を買うことが多い。2Dのキャラを3Dへと起こす作業は思いの外大変で、一筋縄ではいかないのはわかる。しかしユーザーとしては、思い入れのあるキャラがポリゴンで表現され、見るに堪えないレベルに変わってしまうのは、やはり悲しい。ところが本作の場合、聖剣LOMなどで見慣れた2Dキャラたちが、そのまま3Dへと起こされているため、違和感を全く感じなかった。特に、可愛らしいラビが、ポリゴンでもきちんと表現されていたことに関しては、素直に驚いてしまったほど。また、エルディやリチアの表情も非常に良くできており、3Dだからイメージを崩すという方程式は、もはや当てはまらないと言ってもいいかもしれない。

主人公のエルディは、聖剣LOMの男主人公の面影が濃く残っていると感じた。リチアは、真珠姫に見えるのは気のせい?
最初に見たときは、あまりのかわいさに攻撃できなかったほど。こんなキャラが敵なんて……
ムービーとゲーム中でキャラのディテールが変わらないために、映像を見終わった後に落胆を感じることがない。もちろん、ムービーのクオリティも高く、レベルの高さを改めて感じる

 所々で表示される2Dグラフィックも、今までの聖剣シリーズのテイストを受け継いだ温かみのある色遣いと、柔らかなタッチで描かれていて、とても好感が持てた。前作をプレイした1人としては、この独特のイラストを見て、「ああ、間違いなく聖剣だなあ」と、安心したほど。キャラは3Dだが、2Dの息吹を確かに感じ取ることができるだろう。

 各章ともに、プレーヤーが探索できるフィールドは比較的広く作られている。そのため、そのままでは途中で迷子になってしまうおそれもあるので、画面右上にナビゲーションとして描かれたレーダーを見ながら進んでいく。物語を進めたいときは黄色い点の所へ向かえばいいのだが、寄り道をして敵を倒し、メダルを集めてパラメータをアップさせるのも重要。

 なお、1章以降では「フィー」と呼ばれる精霊と一緒に冒険をしていく。彼女の助けで魔法を使うことができるようになるので、戦闘が幾分かは楽になるのだ。地味ながらも役立つパワーアップ魔法や、防御力を上げる魔法など様々なマジックを駆使すれば、難所も切り抜けることができるようになる。MPは画面右下に表示され、これが一定以上ないと各種魔法が使用できないが、MONOをぶつけて敵を倒せばマジックポイント回復アイテムを出すため、MPで困ることはあまりないだろう。全体的なバランスとしては、NORMALでも比較的簡単な部類に入ると思った。

オープニングで見ることができる2Dグラフィックでは、聖剣LOMの面影が感じられる。こんな感じの温かい絵は、なかなか描けるものではないだろう
レーダーには、敵やMONOの場所が細かく記されているので、迷うことはないはず。仮に迷っても、しばらく待つとフィールドに矢印が表示される親切設計
攻撃することばかり考えていると、魔法のことを忘れがちになる。あるものは有効に活用したい

プレイを重ねれば、攻略法も見えるように

 各章の最後には、これまでの敵とは比べものにならないほど巨大なボスキャラが出現し、エルディの行く手を阻む。最初は、どうやってダメージを与えたらいいのかも分からずに戦うことの方が多いが、何度か攻撃すると弱点があったり、上手にパニックにする方法が判別するのだ。

 例えば、最初に出現する巨大なカニのボスは、普通に斬りつけても倒せない。コツは、相手が主人公に向かって突進してくるときに、壁を背にして待つこと。こうすると、壁にぶつかってひっくり返ったあげくにパニックになってくれる。ここで背後に回ると、弱点が丸見えになっているので、そこを集中して攻撃。これを数回繰り返せば、それほどダメージを受けることなく倒せる。とはいえ、弱点を見つけるには、アクションゲームのセンスが少しは欲しいかもしれない。それでも、時間をかければ誰もが何とかクリアできるレベルの難易度だと思うので、絶妙なバランスと感じた。

 さらに、ボスを倒した後には最終的なクリアタイムや受けたダメージ、取ったメダルの数などから総合評価を下されるので、腕に自信のある人は高ランククリアを目指す楽しみ方もある。このような、万人に向けた難易度設定というのは簡単なようで難しく、それをスンナリとこなしてしまう開発力には、頭が下がる思いだ。

 こうして章を重ねていき、ある一定条件を満たすと、エンブレムがゲットできる。これを装備すると、初期状態からHPが少し増えるなどの特典が付くため、よりクリアしやすくなる。すると、さらにクリア時の成績が良くなり、また新たなエンブレムがもらえる……というように、好循環が起きる仕組み。難易度を変えて、何周も遊んでもらうときの配慮もしっかりされているので、長期間プレイできる1本になることは間違いない。

ボスは、時間さえかければ倒せる相手なので、焦らずに戦いたい。ただし、ただ攻撃しているだけでは、いつまでもダメージを与えられない
早く、ダメージを受けずにクリアすれば、高評価を得られる。が、実際に試してみると、思った以上にハードルは高い。総合評価Sを狙え!
エンブレムがあると、章の最初に何を装備するのかを選択できる。腕と状況に合わせて選ぼう

アクションゲームとしては最高だが、根強いファンには?マークも

 本作は手軽に遊べるアクションゲームとしてだけでなく、タイムアタックなどのやり込み要素も含め、アクション初心者から上級者まで誰もがプレイできる難易度に仕上がっていると感じた。ただ、聖剣伝説という息の長いシリーズの性格上、ファンの中には「これは聖剣伝説ではない!」という人もいるかもしれない。事実、昔から本シリーズをプレイしている人に聞いたところ、本作を毛嫌いしていた人もいた。だが、聖剣シリーズを知らなくてもアクションゲームが好きな人には、文句なくオススメできる。絶妙に取られたバランスや、何度プレイしても飽きない点など、その完成度は群を抜いていると感じられた。

サウンドが聴けるモードも備えられている。曲が鑑賞できるサービスは、やはり嬉しいもの。こうして、BGMがもっと注目されるようになるといいのだが……

 個人的に残念だったのは、聖剣LOMのスタッフが、あまり参加していないこと。特にBGMに関しては、伊藤賢治氏の手がける曲も素晴らしいのだけれども、やはり聖剣LOMを手がけた下村陽子さんにも関わってもらいたかった。前作のオープニングやゲーム中のBGMなど、すべてが体の隅々にまで心地よく響いてくる、あの名曲をもう一度味わいたいというのは贅沢だろうか。とはいえ、現状ではそれ以外に何も望まないほど、楽しくプレイできたアクションゲームだったと、最後に断言しておきたい。

「聖剣伝説4」
対応機種プレイステーション 2
メーカースクウェア・エニックス
ジャンルアクションアドベンチャー
発売日12月21日
価格7140円(税込)
(C)2006 SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved.


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