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一“機”当千の爽快感――「ガンダム無双」ができるまで「ガンダム無双」ゲーム紹介&インタビュー(2/2 ページ)

タイトルを聞いて誰もが思い描く“あの”イメージを裏切らない、かつてない爽快なガンダムがこの春世に送り出される。無双シリーズとガンダムの融合は、互いの作品へのリスペクトにあふれている。開発者のインタビューとともに本作を紹介しよう。

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もっと「無双」らしく? それとももっと「ガンダム」らしく?

左がバンダイナムコゲームス コンテンツ制作本部 Bプロダクション 第一チーム プロデュサー 後藤能孝氏。右がコーエー 開発プロデューサー 鯉沼久史氏

 「無双」シリーズのゲーム性と「ガンダム」の持つキャラクター性が奇跡的な融合を果たした。本作をして、「ガンダムゲームでまだやっていないことがあると気がつかされた」と語るバンダイナムコゲームスの後藤能孝氏と、「ここまで無双らしくさせてもらえたことに逆に恐縮した」と語るコーエーの鯉沼久史氏に、本作開発の経緯と本作の魅力について語ってもらった。


―― まず開発の経緯を教えてください。

後藤氏 コーエーさん側から「ガンダムで無双をやりたい」という打診があったのが最初です。

鯉沼氏 私自信、今まで版権ものを扱ったことがなく、ユーザーの方々があっと驚くような新しい事をしたいという欲求がありまして。そこでバンダイナムコさんに声を掛けさせていただきました。

―― 「ガンダム無双」というタイトルは思い切りがありますよね?

後藤氏 実はいろいろ案はあったのですが、最終的にはベタなものにしようと「ガンダム無双」にさせてもらいました。

鯉沼氏 このタイトル名にしてもロゴデザインにしても、多分皆さんコーエー側が推したと思いますよね? でもバンダイナムコゲームスさん側の強い要望からなんです。僕らはどちらかというとローマ字などにして、ガンダムよりのイメージを大事にしたかったのですが、「それでは嫌」って後藤さんが(笑)。なぜかタイトルに関しては決まるまで協議が長かったですね。仮称としては確かにずっと「ガンダム無双」だったのですが、誰しもが考えつく安易なタイトルだし、そのうち別のものになると思っていました。ですから、正式タイトルになった時には社内から「正気か?」とたしなめられたほどでした。でもバンダイナムコゲームスさんが、「なんのために一緒にやっているのか」と言われまして、自分もそうあるべきだと考えを改めました。

後藤氏 そのへん逆なんですよ。我々はもっと無双っぽく、コーエーさん側はもっとガンダムっぽくというスタンスは終始変わりませんでしたね。ロゴデザインにしても最終的には我々が作りました。もっと無双っぽくあるべきだと思いまして。これ以外短縮のしようがないほどわかりやすいものにしようと。変にサブタイトルつけても邪魔なだけだし。

―― タイトルだけでどんなゲームか分かるのはいいですよね。

後藤氏 ガンダムゲームでいつも同じことをやっていても仕方がないので、とにかくせっかくなら無双っぽさは大事にしたかった。やはりガンダムゲームはライフルで撃つということが基本になります。もちろんそれも悪くはないのですけど、あえて今回は無双の“斬る”アクション性を最大の特長として、そこにライフルでも撃てるよくらいにしたかった。だからそれがチャージ攻撃などの攻撃のバリエーションにつながったのかなと思うんです。


―― 実際、ガンダムを扱ってみてどうでしたか?

鯉沼氏 クリエイターなので新しいことをやりたかったのです。チーム内にガンダムが好きなスタッフも多いし、やりがいもある。とにかく自分も含めて作っていて楽しかったですね。実際、宇宙世紀もののビデオを仕事なのか趣味なのか分からないくらい見ました。元々世代的にもガンダム世代だったのですが、忘れていたことや改めて気がついたことなどあり大変やりがいがありました。

―― ガンダムが無双アクションをしているのを見てどうですか?

後藤氏 ガンダムゲームを作ろうとすると必ず陥るのが、ガンダムらしさを再現しようとするあまり、同じことをやってしまうことなんです。それが「無双」のまま出てきたのが、今のインパクトにつながっているんじゃないかな。「やはり無双だね」と言ってもらえるのが大事であって、だからこのタイトルでもあるんだし。ガンダムだけど無双と分かる分かりやすさは大事にしてよかったと思いました。

―― 昨年暮れにいきなり発表されましたが、そもそもいつ頃から開発しているのですか?

鯉沼氏 2年くらい前ですね。当時からプレイステーション 3をターゲットに開発は進められました。昨年、急に発表されたのでこれから開発が始まるように思われたかもしれません。実は入念に打ち合わせを重ね、試作していました。ただガンダムと無双をくっつけたのではなく、ガンダムと無双の良いところをプラスして、1+1が3になるべく開発を続けてきまして、すでに普通に遊べるところまでできています。「ガンダム無双」というものが本当にできるのか、できなければやめてもいいくらいの感覚で製作し、検証し、それから長い時間かけてようやく見せられる形にしてから発表したかったのです。

後藤氏 弊社は同時期にプレイステーション 3で「ターゲットインサイト」を作っていましたが、ガンダムという題材は一緒でもまったく違うゲーム性を求めていました。だから「ターゲットインサイト」と比べるというわけではないのですが、まったく別物になったと自負しています。当初はガンダムと無双の融合した“お祭りソフト”のつもりだったんですけどね。

―― 開発するにあたり注意点やこだわった点、苦労した点などは?

鯉沼氏 「無双」シリーズの特徴である、誰でも遊べて、一騎当千の爽快感を目指すべく、「ガンダム無双」も、「かつてない爽快なガンダムを!」をコンセプトに開発を進めました。これに関しては、「従来のガンダムゲームからかけ離れてしまいますが、良いですか?」など、何度も確認を重ねて、現在の形におさまりました。「真・三國無双」でも「戦国無双」でもない全く新しい「無双」と考えていただけたらと思います。

沸いて出てくる敵機

後藤 ボクはどれだけ機体数が出せるかだと思っていました。アニメの世界ではせいぜい数機しか同じ画面に出て来ないのですが、それを忠実に再現しても無双じゃない。そこは調整してでも何十機、何百機と出てこないと意味ないかなと。

―― プレイステーション 3での開発は、従来の「無双」シリーズにどのような影響を与えましたか?

鯉沼氏 さまざまな影響を受けてはいますが、前述したように開発途上でのやりとりは面白かったですね。「これだとガンダムじゃなくなるんじゃないですか?」と、我々的に思っていても、バンダイナムコゲームス側は「それだと無双じゃなくなるじゃないですか?」と言ってくる。どっちがコーエーでどっちがバンダイナムコゲームスなのみたいなことが多かったですね。

後藤氏 プレイステーション 2が成熟している中、プレイステーション 3というこなれていない新しいハードでどこまでできるか心配してましたが、さすがですね。グラフィックのキレイさは折り紙付きでしたが、ゲーム性も遜色ないものとなっています。

―― プレイステーション 3ならではの表現は?

モビルスーツの表現も美しい

鯉沼氏 今回はHDMI対応テレビで遊んで欲しいのですが、モビルスーツの表現等、細部までこったつくりになっています。その細かいところに手をかけられるのが次世代表現だと思うんです。“リアルさ”を見てほしい。もちろん無双なので、圧倒的なキャラクター数が出ています。今まで30人くらいしか同時に出せなかったのですが、プレイステーション 3では100体以上出せますし、遠方もすべてフォグ処理せず表示しています。ですから、かなり先まで見渡せる。水の表現なども違和感がないし、1体1体のポリゴン数も上がっている。誤魔化しがいらなくなったのがある意味“プレイステーション 3ならではの表現”と言えますね。

後藤氏 プレイステーション 2が現在成熟を迎え、技術的にもこなれたものが出ていることを考えると、これが5年後だとどれだけすごいことになっているかと思いますね。

―― 読者が気になるのは、プレイできる機体とキャラクターだと思うのですが。

後藤氏 機体とキャラクターの選別には1年〜1年半ほどかけて熟考に次ぐ熟考をしました。とは言っても「OFFICIAL MODE」に関しては、宇宙世紀もの3作でいこうと、わりとあっさり決まったのですけどね。まだ言えないことが多いのですが、きっと皆さんの期待に添えるものになると思います。


 今回のインタビュー前に実機でのテスト版をプレイさせてもらったのだが、微妙な調整は必要と言いながら、なんの問題もなく爽快感を味わえる「ガンダム無双」がそこにはあった。迫り来るザクやドムをガンダムで斬って捨て、斬って捨てていく。タイトルやロゴデザインもさることながら、どちらも好物の筆者としては“お祭りソフト”という一面もありながらも、黎明期のプレイステーション 3を牽引する1作品になりえるものと感じた。春の近いうちには本作が遊べるとのこと。次回以降、気になる登場モビルスーツを中心に新情報をお届けしよう。

「ガンダム無双」
対応機種プレイステーション 3
メーカー発売元:バンダイナムコゲームス、開発:コーエー(ω-force)
ジャンルタクティカルアクション
発売予定日2007年春
価格未定
(C)創通エージェンシー・サンライズ


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