ITmedia ガジェット 過去記事一覧
検索
レビュー

とうとう出た! 待ちに待った! “次世代機初”のウイニングイレブン!!「ワールドサッカーウイニングイレブンX」レビュー(2/2 ページ)

スポーツゲームの雄KONAMIの代表作、「ウイニングイレブン」シリーズの最新作が、とうとうXbox 360で登場した。なんと、次世代機と呼ばれるハイスペックマシン上で、初めて動く「ウイイレ」なのだ。さて、その実力やいかに。

PC用表示 関連情報
advertisement
前のページへ |       

全体的には「WE10」の継承。しかし違いも見られる

 プレイした実感は、「WE10」からあまり変化がない、ということ。もともとワイドな画面でプレイしたい、という欲求がとても強かった筆者にとって、それほどガッカリする部分ではない。今後本家のWEシリーズと足並みをそろえて進化してくれればよいのだから。

 とはいえ、まったく同じかというと、そうでもない。例えば、プレイステーション 2版のサイドバックは、非常に体力が減りやすく、そのぶん疲労がたまりやすかった。特に4-3-3のフォーメーションを組むと、サイドバックが無駄に動きすぎるせいか、攻撃重視の試合運びをすれば、必ず前半で体力を大幅に消耗してしまう。それがかなり軽減されているのが特徴的だ。

 また、ゴールキーパーがボールをしっかりキャッチするようになったことも変化と言える。「WE10」では、ともすればゴールキーパーがボールを弾きすぎるという声もあったため、これは喜ばしい変化といえるのではないだろうか。

 もっと細かい部分を言うならば、ボールの転がり方がより物理的になった。ゲームらしいボールの転がり方ではなく、本物の球体がグラスフィールドの上を、草の摩擦に速度を殺されながら転がるようになった、と表現すればよいだろうか。「WE10」をプレイしつくした筆者は最初違和感を感じたが、プレイしたあとにサッカー情報番組を見ると、本作のボールの動きのほうがよりリアルであると感じた。また、選手が前後に切り返す動作をすると、コンピュータのディフェンダーにボールを奪われるようになった。

非常に疲弊しやすかったサイドバックが、多少まともに。動く範囲が狭まり、無駄なオーバーラップを極力減らすようにAIを調整したのだろうか

 「WE10」でコンピュータのディフェンダーを振り切るとき、ダッシュドリブルでサイドを駆け抜け、突如後ろに方向転換する、という方法をよくとっていた筆者にとって、これは攻撃パターンを否定されたショックを感じた。しかしよくよく考えれば、人間が前後に切り返す動きは非常に負担が大きいため、「WE10」のようにサッサと動けるはずがないのである。そういう意味では、これもよりリアルな表現になったといえるのではないだろうか。


これくらいの距離なら、シュート力のある選手でシュートすれば、入る確率は高い。特にストンと落ちるシュートが出る確率が高くなった

 あと3つほど特筆しておきたい部分がある。まずは公式ボールが変わったことで、2006年のワールドカップではミドルシュートが多く決まるようになった。「WE10」でもそのあたりは表現されていたのだが、大きな大会でその成果が実証される前に発売されたため、どちらかというとミドルシュートの決定率は控えめだったといえる。しかし「WEX」になってからは、ミドルシュートを蹴ったときのボールの動きがトリッキーになっている。空気抵抗の少ない今年の公式ボールは、強く蹴ると右に左に縦に大きく変化する。そのためゴールキーパーが判断に迷って捕り損ねる、というシーンを、上手に再現している。


ボールの斜め下にいる選手が、パスアンドゴーのパスの出し手。ボール保持者が画面上を向いても、そのままダッシュして走り続けてくれた

 もうひとつは、パスアンドゴーの変化だ。プレイステーション 2版「WE10」の場合、パスを出した瞬間にR2ボタンを押すと、パスを出した選手がそのまま相手ゴール方向にダッシュする。「WEX」でも同じようにパスと同時に右トリガーを引くと、選手が走る。問題はそのあとだ。「WE10」では、パスを受けた選手の視界から、出し手がちょっとでも外れると、出し手はダッシュをやめて止まってしまうことが多かった。しかし、「WEX」では多少走る速度を落としはするものの、あきらめずに飛び出すタイミングを狙うようになっている。これは「なんでそこで止まるんだよ!!」と地団駄を何度も踏んできた筆者だからこそ感じる改良点。同じ気持ちになっていた人、いませんか?

アシストが計上されやすくなったため、最後のパスの出し手が、より報われる結果に

 また、アシストの判定がゆるくなっているのも特筆すべきだろう。「WE10」では、最後のパスからツータッチ以内にシュートを決めないと、そのパスを出した人をアシストとしてカウントしなかった。つまり、せっかく美しいパスを出してフォワードに好機を作ってやったにも関わらず、フォワードがスリータッチ以上こねくりまわしたせいで、アシストから外されることが多かったのだ。それが、長い距離をドリブルしたり、相手が一度触ったりしなければ、基本的にゴール前に出したパスがアシストとカウントされるようになった。極端な気がしないでもないが、今まで「あれはアシストにカウントしてあげてほしいなぁ」と思うようなシーンが減ったため、ストレスも軽減されたといえる。

作りの荒さを感じないわけでもない

 基本的に喜ばしい進化の多い「WEX」ではあるが、少々気になる部分がないわけでもない。例えば演出面。前作まではプレイが切れると画面が暗くフェードアウトする。そのあいだ選手は動き続けているため、プレーヤーは頭の中で「ああ、きっとこのあとも選手は動き続けているんだろうな」と想像することができる。しかし本作では、いきなり選手の動きが止まる→いきなりリスタート画面、となる。プレーヤーにとって、呼吸を置くタイミングが取れず、一瞬息が詰まるため、「さぁ、リスタートだぞ」という気分になりにくい。ここはもう少しタメを作ってほしいところだ。

 細かい部分の仕様が変わっていることにも、少々使いづらさを感じてしまう。例えば「WE10」では、フォーメーション設定のメンバーチェンジで、下のほうに並んでいる控えの選手にカーソルを移動させたいときは、方向スティックを左右に倒せば、10数人分スキップさせることができた。しかし本作では、なぜかこの機能が削除されている。おかげで、マスターリーグで大量に選手を抱え込んでいるチームを利用すると、下のほうにいる選手にカーソルをあわせるため、わざわざ全員分スクロールさせなければならない。これは正直不便だ。

“個人試合記録”を見るのが楽しみな人も多いはず。評価点のシステムは賛否両論あったが、削除されてしまったのは一抹の寂しさを感じてしまう

 また、試合中にゴール、アシストを決めた選手の名前は、スタートボタンを押してポーズにすれば、画面右に表示することができた。この機能も削除されている。しかも試合が終わっても“個人試合記録”を見ることができないのだ。つまり、評価点もないし、試合中の行動範囲をグラフで見ることもできない。自分で覚えていない限り、その試合で誰がアシストし、誰がゴールを決めたのか、まったくわからない。これはマスターリーグをプレイするのが好きなプレーヤーにとっては残念なことだ。

 ゴールシーンやマスターリーグでの優勝シーンの演出が、「WE9」のままになっており、「WE10」の新しい演出が入っていないのも、少々物足りなさを感じる。

想像するに、これは“海外版”の作品である

 プレイしていて大きく感じたことは、これは海外向けに作られた「WE」である、ということだ。日本人が好むデータ部分は削られているにも関わらず、ラインズマン等の演出面は強化されている。誰がアシストを決めたのか、誰がシュートを決めたのか、といったことは、プレーヤーの記憶に残っていればよく、わざわざ試合ごとのデータを残すまでもない、という考え方は、チマチマしたことが好きな日本人のものではない。日本人向けには必ず用意されているチュートリアル的なトレーニングの項目が、本作に見当たらないことからも、これはほぼ確定といっていいだろう。

 そして、対人戦が大好きな海外ユーザーのために、Xbox Liveにおけるラグの少なさは徹底して調整されていることからも、本作の力の入れ具合がわかる。

 評価が分かれることは確実だが、ネット対戦を楽しみたい人、ワイドな画面で広くフィールドを眺めながら「WE」をプレイしたい人にとっては、たまらなくすばらしい作品と言える。超豪華になった「ユビキタスエヴォリューション」(PSP版)と言うこともできるだろう。

 しかし意外だったのは、「WE」のプレイにXbox 360のコントローラが思いのほかしっくりきたこと。さすがは人間工学に基づいて設計されただけある。非常に操作しやすかった。望むべくは、異機種同士のネット対戦が可能になることだが、次世代戦争元年、「WE」はどのように進化していくのだろうか。2007年以降も楽しみである。

「ワールドサッカーウイニングイレブンX」
対応機種Xbox 360
メーカーKONAMI
ジャンルサッカー
発売日2006年12月14日
価格7329円(税込)
adidas, the 3-Bars logo and the 3-Stripes mark are registered trade marks of the adidas Group, used with permission. Teamgeist is a trade mark of the adidas Group, used with permission. the use of real player names and likenesses is authorised by FIFPro and its member associations. Officially licensed by Asociacion del Futbol Argentino Officially licensed by FFA (C) Football Australia Limited 2006 Officially licensed by Czech National Football Association (C) The Football Association Ltd 2006. The FA Crest and FA England Crest are official trade marks of The Football Association Limited and are the subject of extensive trade mark registrations worldwide. copyright FFF Officially licensed by FIGC and AIC

(C) 2001 Korea Football Association Special thanks to SEJIN, MUKTA, Eunho, Denis for Korea National Team data All copyrights and trademarks are KNVB respectively Team Holland property and are used under license. Producto oficial licenciado RFEF (C) 2002 Ligue de Football Professionnel (R) Officially licensed by Eredivisie CV Gioco ufficialmente concesso in licenza della LEGA NAZIONALE PROFESSIONISTI Campeonato Nacional de Liga 06/07 Primera y/o Segunda Division Producto bajo Licencia Oficial de la LFP Official Licensed Product of A.C. Milan The Arsenal crest, Arsenal logotype and cannon are trademarks of Arsenal Football Club Plc and the Arsenal group of companies and are used under license. TM & (C) 2006 The Arsenal Football Club plc. Licensed by Granada Ventures. Produced under licence from Manchester United Merchandising Ltd. Crest (C) 1997 MU Ltd. Imagery (C) MU Ltd. Under licence from [JJB Sports plc/The Rangers Football Club plc]. Rangers is a registered trade mark of The Rangers Football Club plc All other copyrights or trademarks are the property of their respective owners and are used under license. (C) 2006 Konami Digital Entertainment Co., Ltd

前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る