泣きゲーだけど萌えもある!? PS2に舞台を移した智代のその後:「智代アフター〜It's a Wonderful Life〜CS Edition」レビュー(2/2 ページ)
幾多もあるギャルゲーのうち、特に涙がちょちょぎれてしまうほど感動するゲームを“泣きゲー”と呼ぶのは、そのスジ(ギャルゲー好き)の人たちにとっては常識だ。2007年初の泣きゲー「智代アフター〜It's a Wonderful Life〜CS Edition」で、涙を流してみました。
本編終了後のお楽しみは、かなりのボリューム
実は本作で、筆者が密かに注目していた要素がある。オマケとして収録されるシミュレーションRPG「Dungeons&Takafumis」だ。これは、とある条件を満たすと、物語の中盤で遊べるようになる。朋也や智代といった登場人物をユニットとして扱い、剣士や魔法使いといった職業につき、囚われた鷹文を助けるべく、獰猛な獣人が蠢く地下迷宮を探索するのだ。
このミニゲーム、シミュレーションRPGと述べたが、厳密には違う。キャラクターを実際に操作するのではなく、ユニットが自動的に行動するオートバトル方式なのだ。プレイヤーは、フロア突入前に、キャラクターたちの大まかな行動を設定する。その後は、ユニットたちの行動を見守るだけ、というシステムなのだ。キャラクターが勝手に敵陣に突っ込んでいくと、かなりハラハラしてしまう。
見事フロアをクリアすると、先に進むかいったん地上に戻るかを選択できる。ユニットのレベルが上げれば新たなスキルを覚え、また転職も可能となる。戦えば戦うだけ、戦術の幅が広がっていくのだ。また、ユニットごとに武器や防具を持てる総重量が設定されているため、どのアイテムを持っていくかを考える戦略性もある。
シンプルなゲームかと思ったら、意外に奥が深く、長くプレイしていても飽きずに楽しめる。筆者としては非常に満足できた。
キャラの少なさが物足りなさを感じさせるけど……
シナリオや楽曲で魅せる泣きゲーといっても、やはり美少女ゲームなだけあって、女の子はどれもかわいく萌えてしまう。そんな彼女たちを、筆者の独断と偏見で、星5つからなる萌え度で評価してみた。また、本作は泣きゲーであるため、キャラクターに対して泣ける度合いを、泣き度で表してみた。
●智代
- 萌え度:★★★★★
- 泣き度:★★★★★
【萌え度コメント】
主人公の彼女として登場した智代。恋人同士なのだから、当然2人きりになると甘い甘いストロベリー空間を発生させる。特にプロローグ場面でのコスプレ連発は悶えた!! 筆者イチオシのコスプレはネコ耳智代。ネコ耳としっぽをつけただけ、たったそれだけなのにこの萌えよう。まさに匠の技である。アングル、ポーズ、表情、そして必殺の「に、にゃー」という羞恥を含んだ一言! もう、すべてがたまらない!!!
【泣き度コメント】
萌えとはうって変わり、本作の一途なヒロインでもある智代。何かに対して一生懸命になると、周りが見えなくなってしまうその性格が災いし、余計なものまで背負ってしまいがちになる。しかし、その一途さゆえに、愛を貫き通す姿はハンカチなしでは見ることができない
●とも
- 萌え度:★★★☆☆
- 泣き度:★★★★☆
【萌え度コメント】
ちびっ子キャラは、何をやってもかわいく見えてしまう。それは、ともに対しても当てはまる。筆者がチョイスした場面は、朋也と鷹文のあやしい関係に、智代がともにひと言言わせた場面。むしろともになら言われたい筆者なのだが、そう思ってしまうユーザーは筆者だけではないハズ。こういった何気ない場面で萌えさせてくれるのがともの魅力。しかし、幼稚園児なのに“1時間”や“不便”という言葉を理解して使う部分には、ちょっと疑問を感じてしまった。
【泣き度コメント】
本作に登場する悲劇のヒロイン。母親に捨てられて放心するともを、抱きしめる智代。朋也や智代と過ごす楽しい毎日だけが待っているからと、ともに訴えるこのシーンは、BGMを意識して聴きながらぜひプレイしてほしい。
●河南子
- 萌え度:★★★★☆
- 泣き度:★★☆☆☆
【萌え度コメント】
作中、思う存分に唯我独尊っぷりを発揮する河南子。初対面の朋也に暑いからアイスを買って来いと命令するほど、口が悪くてわがまま。だが、だがそれがいいのだ! そんな姿も筆者の中では萌えるポイントなのだ!! 惜しむらくは、サブキャラクターのため、活躍の場が少ないことであろうか。鷹文の元彼女という設定を“マルチエンディングのための伏線か?”なんて疑ってみたりもしたが、河南子と朋也がくっつく素振りも見せず、エンディングを迎えてしまった。河南子ルートが存在しないのは、個人的にはかなり残念に感じた。
【泣き度コメント】
こんなに自分勝手で、横柄な態度をとる河南子でも、悲しい過去を持っている。家族の不幸に母親の再婚と、つらい出来事が続いたため、家族の中で居場所をなくしているのだ。自らは語らないが、疎遠になっていた鷹文のもとへ来た理由が分かってしまう部分に、筆者はホロリときてしまった。
鍵っ子には若干物足りないかも……
プレイを振り返ってみると、号泣とまではいかないが、思わずホロリと来る場面は多々あった。しかしシナリオのボリュームは多いとは言えないので、“鍵っ子”(Keyファンの通称)には物足りなさを感じさせるかもしれない。
筆者はミニゲームを遊ぶため、2週目もプレイしたのだが、序盤の方で止めてしまった。なぜなら、この後どれだけ智代たちに波乱が待ち受けているかを、1週目のプレイで知ってしまったからだ。これ以上プレイを続けて、かわいそうな智代の姿を再び見るのは、耐えられそうにない。
前作「CLANNAD」の外伝なだけあって、本作からプレイする人には敷居が高いのでは? と思っていたが、それほど「CLANNAD」に依存したシナリオにはなっていなかった。そのため、「CLANNAD」未体験の人でも楽しめるので、そのあたりは安心していただきたい。ただし、「CLANNAD」を遊んでからプレイする方が楽しめるのは確実なので、ぜひ「CLANNAD」をプレイしてから本作を遊んでみてほしい。
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