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I can fly!! 新時代の空はこんなにも快適「マイクロソフト フライト シミュレータ X」レビュー(2/2 ページ)

長年、航空機マニアを興奮させてきたマイクロソフトの「Flight Simulator」シリーズ。その10作目「Flight Simulator X 日本語版」が、1月26日に発売された。前作の「Flight Simulator 2004 翼の創世記」から2年ぶりの新作は、どう進化したのか。

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チュートリアルで、いざ初めての空の旅へ

 若葉マークの筆者は、迷わずチュートリアルミッションから始めた。最初のミッション「初めての離陸」は、離陸して正面にあるポイントゲートをくぐって着陸するという、至極簡単な内容だ。初プレイということで、かなり緊張しつつゲームを始めた筆者。離陸は管制官の指示に従って操作するだけで、あっけにとられるほど簡単に成功した。直後に続くポイントゲートをくぐるときは、機体の高度と傾きの調整が難しく、あやうく失敗しそうになる。が、なんとかこれもクリアー。「俺でもパイロットになれるんじゃね?」なんてちょっぴり有頂天になりはじめた筆者を待ちかまえていたのが、最後の難関である“着陸”であった。

 飛行機の操縦は着陸が一番難しい、という情報をどこかで読んだ記憶がある。スピードを落とさないと着陸できずに地面に衝突してしまうし、さらには滑走路をオーバーランしてしまう。着陸するときの機体の姿勢も重要だ。そのことを思い出し、再び緊張感を高めていく。

 しかし、頭ではわかっていても、そう簡単に実行できるワケがない。管制官に「速度を落とせ」と言われたが、うまくスピードを落とせず、かなり危険な角度で滑走路に突っ込んでしまったのだ。ジョイスティックのレバーをがっちり握り締めながら、無事に止まるように神頼みを始める筆者。なんとか、滑走路内で止まることができ、喜びと同時に全身の力が抜けてしまった。本物のパイロットは、いつもこんな緊張感を味わっているのだろうか。感心せずにはいられない。

 というわけで、初フライトを危なげながらも成功させた筆者。その後はしばらくチュートリアルをプレイし、時には同じミッションを複数回繰り返して操縦の練習を行う。その結果、チュートリアルのミッションならば、かなり上手に操縦できるようになった。「俺って意外と操縦の素質があるのかも?」なんて再び調子に乗る筆者。ちょっと順番をすっとばして、「小麦粉パワー」というミッションにチャレンジしてみた。小麦粉パワー、なんとも面白そうなミッション名ではないか!

小麦粉を上手く落とせない

 小麦粉パワーミッションの内容は、飛行機を操縦して上空から小麦粉の袋を落とし、海上に浮かぶ的に当てるという内容だ。小麦粉の袋(ゲーム的な言い方をすると「弾薬」)は一度に18個所持でき、このうち10個を的に当てることが目標だ。もちろん、最後は無事に着陸しなければならない。

 これまでのチュートリアルをかなり上手にクリアーしてきたため、この小麦粉パワーも問題なくこなせるだろうと、自信だけは1人前だった筆者。ところが、このミッションでその鼻っぱしらを完全にたたき折られてしまった。操る機体は、一番クセがなく扱いやすいと言われているものの、細かい進路調整がまだまだ上手に行えない。そのため、海上の小さな的に、小麦粉の袋をなかなか当てられないのだ。

 しばらくチャレンジしてみたが、制限時間内に目的を達成できなかったり、無理な旋回で墜落してしまったりと、ミッションの結果は散々だった。筆者にはこのミッションは早すぎたようだ。というわけで、序盤の簡単なミッションから、順番にチャレンジすることにした筆者。結局、小麦粉パワーをクリアできたのは、かなりプレイを重ねてからだった。

制限時間があり、大きな的に当てると10秒、動き回る小さな船に当てると60秒時間が延長される
小麦粉袋を使い切ったら、大きな母艦に着艦して補充することができる
ミッションをクリアすると、その証としてアワード(記章)をもらえる。獲得したアワードは、パイロットレコードモードで確認できる。全部のミッションで獲得を目指そう

「空を自由に飛びたいな〜」「ハイ、フリーフライト!」

 フリーフライトは、航空機製作メーカー16社、101種類の航空機のなかから好きな機体を選び、自由に空を飛べるモードだ。離着陸する空港は、日本や欧米はもちろんのこと、ブラジルやヨルダンなど、世界各国のさまざまな地域を選べる。フライトする季節や時間帯、気候までも選択することが可能だ。

 設定を変えていろいろなシチュエーションで飛んでみると、ひと口に“空”と言っても、さまざまな表情があるのだな、とあらためて感じた。飛ぶたびに景色が大きく変化するため、いくら飛んでもまったく飽きが来なく、つい時間を忘れて飛び回ってしまうのだ。

 このフリーモードのよいところは、墜落することがない、ということ。地面に激突しても、機体が地面にはじかれて、そのまま飛び続けることができる。墜落するたびにリスタートで長いロードを待つ、というストレスとはまったく無縁なのだ。ずいぶん航空機の操縦に慣れてきたとはいえ、まだまだ若葉マークをはずせない筆者にとっては、この仕様は大変ありがたかった。

 このため、ミッションでは失敗を恐れて挑戦しにくかったアクロバット飛行だって、気軽にチャレンジできる。ただし、ミッションのように管制官からの操縦アドバイスはないので、ミッションで操縦の基本を覚えてからフリーフライトで遊ぶようにするのがよいだろう。

 なおこのモードでは、機体が“故障”したように設定することも可能だ。エンジンや燃料タンクなど、さまざまな箇所が故障した状態でフライトできるため、非常事態におけるフライトの訓練を行うこともできる。なお故障は、トラブルの発生時間を指定できるほか、ランダムに発生させることも可能。快適なフライトに飽きても、スリリングな旅も味わえるのだ。

 筆者も試しに、機体のすべての部位が故障した状態にしてみた。フライト直後から次々と異常が発生し、とてもではないが、まともに飛べなかった。あの危機的状況を冷静に乗り切れれば、一流パイロットの道が開けると思うのだが、まだまだ修行が足りないようです。

冬の札幌で、吹雪いている悪天候のなかをヘリで飛ぶ。気分は遭難者救助隊?
きれいな海を低空飛行すれば、ちょっとしたリゾート気分を満喫できる
エンジンが火を噴くことも! 煙の出方もリアル。ここまでこだわるとは……

新しい世界へのファーストステップに最適

 「Flight Simulator」シリーズだけでなく、これまでに出たフライトシミュレーターの多くは、専門用語や基本操作などの解説が不十分で、航空機を知っていることを前提に作られていた。そのため、フライトシミュレーターは、愛好者向けのゲームという印象が強く、初心者はなかなか手を出しにくかった。

 しかし本作は、ミッションモードで遊べば、初心者でも操縦できるようになっている。飛行機が好きだったけれども、今まで手を出せなかったという人にはぜひプレイしてほしい。専門用語の解説や、計器の見方など、説明不足な点はまだまだあるが、フライトシミュレーターを遊ぶファーストステップにはうってつけであることは間違いない。筆者もフライトシミュレーター初挑戦だったが、うまく飛べたとき、無事着陸できたときはアドレナリン大放出で興奮しまくりでした。

 また、DirectX10に対応した、最新鋭のゲームであることも大きな魅力だ。Windows VistaおよびDirectX10を導入予定の人は、そのパワーと新時代のゲームをきっと体感できるだろう。

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