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ドット絵職人の技にシビれながら、果てなき数字と思考の旅へ「ピクロスDS」レビュー(2/2 ページ)

任天堂から「ピクロスDS」が発売された。ニンテンドーDSで新たな局面を見せる「ピクロス」の世界。1人でやるもよし、大勢でやるもよし、全国の誰かと対戦を繰り広げるもよし、ボリューム無限大の楽しさがつまっているタイトルだ。

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寝ても覚めても誰とでも――対戦が熱いワイヤレスとWi-Fi

 「ピクロス」と言えば1人で正方形とにらめっこして問題を解いていくものだ思っていたが、本作では他のプレーヤーとの交流を図る要素がぎっしり詰まっていて正直驚かされた。ワイヤレスプレイでは最大5人まで接続して一緒にプレイすることができるのだ。

 「ピクロスマルチ」では1台を親機にして、親機が出す問題を子機のプレーヤーが解いたり、親機も参加して全2問をどちらが早く解けるかという対戦をすることも可能。モードによっては親機のプレーヤーが画面に絵を描くことで子機のプレイをジャマすることもできる。基本はあくまでも「ピクロス」だが、ルール設定や遊びの要素を入れることで、ここまでパーティーツールとして進化できるのか、と感心してしまった。身近にニンテンドーDSを持っている人が複数いるならぜひぜひ試してほしいプレイだ。

 ワイヤレス通信で問題の交換やお試し版の配信ができる点も高く評価したい。「マイピクロス」でいくら問題を作っても、1人だけでプレイしていると「自分が作った問題だから完成図知ってるよ……」という現実にぶちあたるだろう。周りに本作を持っている人がいるならば、お互いの問題を交換しあうことで、新たな問題は無限に増えていくわけだ。また、周りに本作を持っている人がいないのならば、お試し版を配って本作の魅力を伝えてまわる伝道師にもなれる。そうして本作を持つ人が周りに増えていけば、本作を介したコミュニケーションで末永く遊ぶことができるだろう。

 そして本作の通信はワイヤレスのみではない。Wi-Fiにつなげることで、全国のプレーヤーたちと気軽に遊ぶことができるのだ。「対戦ピクロス」と「コミュニティ」、それぞれに面白いが、やはり熱いのは対人戦。「対戦ピクロス」ではフレンドコードを登録しあったともだちとの対戦も可能だが、見知らぬ誰かとの対戦もできる。ランダムにマッチングした相手と全2問の早解きを繰り広げることになるのだが、これが予想をはるかに越えて激アツ! なのである。

 最初は「ジョノクチ」という称号から始まり、勝ち越すことで「コムスビ」、「オオゼキ」など力士の格付けのように称号が上がっていくというシステムを採用している。「ピクロス」の腕前には多少自信のあった筆者ではあったが、Wi-Fiで出会う猛者たちの実力はすさまじく、今のところ勝率3割くらいで推移している。中には600戦やって400勝以上の「ヨコヅナ」など、半端じゃなくやり込んでいる人もいて、最初から答えの絵が頭に浮かんでいるんじゃないかという速さで問題を解いていったりするから、こっちは「のわー!!」とのけぞってしまう。世界の広さを図らずも「ピクロス」で感じた瞬間だった。

 早解きで負けると妙に悔しかったりするので「次負けたら一旦やめよう」と思ってても、負けると「もう1回チャンスをくれ!」と見えない誰かに懇願して再度Wi-Fiにつなげて誰かとマッチングするのを待っている自分がいたりする。1人用のモードですら、一度やり出すとやめどきが見つからないほどにハマってしまっているのだから、いわんや対人戦をや、である。夜な夜なWi-Fiにつなげては、今日もヨコヅナに華麗に負けてしまう筆者であった。

画像 問題の難しさも絶妙でバリエーションも豊富なので、延々とやってしまいます
画像 コミュニティでは過去タイトルの問題がダウンロードできるほか、自分の問題をアップロードして友人と交換することもできてしまいます。便利な世の中になりました

ボタンとペンは〜どちらがやりやすい〜

 続いて、本作の操作性について言及したい。「ピクロス」の“マス目を塗りつぶす”という作業が、元々ペンシルパズル(クロスワードパズルに代表される鉛筆と消しゴムで遊べる類のパズル)として生まれたということもあり、「やっぱDSでやるんならタッチペン一択でしょ!」と筆者は思っていた。事実、最初はタッチペンでプレイし続け、ボタン操作という選択肢が頭になかったのだ。

 しかし、やり続けるに従って「タッチペンもいいけど、ボタン操作も捨てがたい。むしろボタンがよかったりもする」という結論に行き着いた。実際にタッチペンモードとボタンモードの切り替えはいつでも簡単にできるようになっている。

 タッチペンで操作する場合は、ペンを使って塗りつぶすのか、それとも×をつける(確実に塗りつぶされないと判断したマス目に×をつけることができる)のかを選択しなくてはならない。「×をつけなくてもいい。ただ塗りつぶしたい」と言う人ならば迷うことはないかもしれない。しかし、×をつける作業は、塗りつぶせる場所を絞るという点で非常に有効なので“塗りつぶし”と“×つけ”をこまめにする人も多くいることと思う。そしてこの2つの作業を切り替えながらペンで塗りつぶしていく場合に、間違えて×をつけたいところを塗りつぶしてしまうケースが多かったのだ。

 ミスに対してペナルティがあるノーマルルールやWi-Fiなどの対人戦においては、このタッチによる凡ミスがけっこう痛い。それに対して、ボタン操作の場合はAボタンを押しながら十字ボタンでカーソルを移動させれば塗りつぶし、Bボタンを押しながら移動させれば×をつける。こちらの操作の方がミスしにくいという利点がある。最近は専らボタン操作でプレイしている。

 ただ、タッチペン操作も要はミスをしなければいいわけで、加えてスピードを要求されるプレイでは、ミスさえしなければボタン操作よりも速く完成させられるはずだ。確実性をとるか、直感的操作とスピードをとるか。どちらを選ぶかはその時の状況次第で決めてもいいかもしれない。

画像画像 タッチペンの場合、15×15以上だと画面ズームの操作も加わってくる。ボタン操作だとマスの表示は小さいが、全体を見ながら塗りつぶしていける

やめられないし止まらない――ハマりすぎにご注意ください

 ぶっちゃけてしまうと、本作は個人的にかなりお気に入りの一作になりそうだ。元々「ピクロス」が好きだったというのもあるが、とにかく問題数が多く、他人とのやりとりやWi-Fiによるダウンロードで問題数の上限がなくなってしまったという点が素晴らしい。加えて「今日のピクロス」のように毎日スイッチを入れたくなるような配慮もなされているし、Wi-Fiの対戦はすこぶる熱いので、至れり尽くせりな感がある。

 プレイの中断も即座に気軽にできるので、移動中や待ち時間の暇つぶしには持って来いだ。何よりも元々の「ピクロス」のゲーム性が、不思議な魅力を持っており、我ながら未だに解明できていないのだが、問題を解いたはじから「次の問題くれー」と脳が懇願するのである。油断すると歩きながらプレイしそうになって「いくら手軽にプレイできるからと言っても歩きながらはまずいだろ」と自戒したほどだ。

 また、前述もしたが、改めてドット絵職人の心意気を感じるというか、ドット絵の味わいも堪能することができて、それもまた楽しい。できあがる寸前まで何だか分からなかったものが、できあがった瞬間に確かにイルカに見えたりする。ドット絵でうまく描けた問題ができあがると他人に見せたくなる。たかだか15×15ほどの白い四角と黒い四角の集合体が、こんなにも生き生きといろんな絵を見せてくれる。そのことに素直に感動している自分がいる。結論としては「ドット絵職人ってすげえなあ」の一言だったりするのだ。

画像 なにげに振動カートリッジに対応している点も面白い
画像 電車で移動中にプレイする際は乗り過ごしにご注意を!
(C)2007 Nintendo / Jupiter


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