自然を感じながらプレイする「ボクタイ」シリーズの最新作:「ボクらの太陽 Django&Sabata」レビュー(2/2 ページ)
シリーズ4作目となる本作は、初のニンテンドーDS用タイトルとなり、ニンテンドーDSならではのゲーム性に磨きがかかった。上画面で刻々と変わる天候を味方につけて、ダンジョンを攻略せよ!
2人の主人公を使い分けろ!
「ボクタイDS」のジャンルはアクションRPG。ジャンゴとサバタをセレクトボタンで切り替えて戦うのが面白い。
ジャンゴの武器は太陽銃だ。誘導弾を撃てる「ウィッチ」、父の形見でため撃ち可能な「ナイト」、二丁拳銃のマシンガン「ニンジャ」などを操れる。これらの銃は太陽光をチャージして貯えるエナジーを消費して攻撃する。エナジーがなければ弾は撃てない。
一方のサバタは剣を得意とするタイプ。武器は連続斬り可能な「暗黒剣ヴァナルガンド」、回転斬りができる「暗黒鎌ヘル」、ブースター攻撃が強力な「暗黒槍ヨルムンガンド」の3種類。サバタはエナジーを消費しなくても攻撃ができるため、攻撃回数はあまり気にしなくていい。ただし、敵との近距離戦になるため体力の消耗が激しくなる。
基本的に、「ボクタイDS」のバトルはかなりシビアだ。闇雲にボタンを連打してもうまくはいかない。効率よく敵を倒すためには、属性の把握が大事だ。本作には光、闇、炎、氷、風、大地と6属性が存在する。敵の属性は色によってわかるので、反対属性の攻撃で大ダメージを狙いたい。たとえば赤い敵がいたら、氷属性の星霊獣リザを銃や剣にセットして属性攻撃をする、といったやり方だ。ちょっと工夫すれば、ダメージ量が全然違ってくる。あんなに苦労した敵も属性を変えたらあっさり倒せた……。そこが楽しさにつながる。
ギジタイで生まれた新たなゲーム性
また、気候シミュレータのギジタイも攻略のカギを握る。屋外にいれば、昼はジャンゴ、夜はサバタのエナジーが回復する。昼か夜かのチェックは基本中の基本だ。
さらに、ギジタイをハッキングして気候を変化させ、ダンジョンに影響を与えることができる。熱帯雨林気候にすれば木が育って新しいルートが開けたり、砂漠気候にして水たまりを乾かしたり……。また、気温、風速、湿度によってアイテムも変化する。防具「ワイルドウインド」は、風速が高いほど防御力が増す。回復アイテムの「おいしい肉」は湿度が低いときには「干し肉」に変化する。気候というキーワードを軸に、システムが細部まで練られている。
ダンジョンは市街地、駅、地下水路など、シチュエーションも多彩だ。これまで以上にRPG色も強まり、ザコ敵を倒してしっかりレベルアップしないと苦戦を強いられる。ただ、レベル上げが苦というよりはいろいろ工夫できるので、筆者は楽しいと感じた。難易度の高さはマイナス点というよりも手応えがあると評価すべきだろう。
アクションRPG以外の要素にも注目
ボス戦後、これまで好評の、太陽光にボスをさらしてとどめを刺す「パイルドライバー」はなくなってしまったが、ヴァンパイアを宇宙空間へ運ぶシューティングパートが新登場した。次々と飛んでくる敵機をタッチして弾丸で破壊し、自機をスライドさせて障害物や弾をよける。ちょっとしたミニゲームという以上に作り込まれていて、気合いを入れないとやられてしまうことも多い。
ダンジョンをクリアしたあとで発生するクエストも、熱中度が高い。「敵を全部退治してほしい」や「時間以内に薬草を取ってきてほしい」といった、さまざまな難題が待ち受ける。
さらにもうおなじみとなったロックマン(今回はニンテンドーDSソフト、流星のロックマン)とのコラボも健在だ。クリアカン旧市街の太陽バンクで「上上下下左右左右LRLR」と入力すると、突然自分あてに荷物が到着する。中身は「流星のロックマン」の世界で使われている通信端末「トランサー」。これでロックマンの主人公スバルと通信したジャンゴたちは、この星紀末世界に逃げ込んできたFM星人のオックス・ファイアを倒すことになる。こうしたサブシナリオのコラボのほかに、Wi-Fiやワイヤレス通信をつうじて、「流星のロックマン」側とのメールの交換もできてしまう。
サブ要素も目白押しで、「ボクタイDS」を遊び尽くすのは大変だ。
ボクタイが持っている可能性
今回の「ボクタイDS」は、これまでのシリーズファンにとっては、馴染みの主人公が変更され、そこが少し引っかかるかもしれない。しかし、太陽を気にせずプレイできるので、時間を気にしていた大人にもいいだろう。
「鉄コン筋クリート」でも話題のSTUDIO 4℃が制作するアニメムービーも挟まって、演出面でも見応えが増している。今後は子供から大人まで楽しめるシリーズになっていくのではないだろうか。個人的にはWiiのリモコンに光センサーのようなものを搭載できれば、可能性は一気に広まりそうだなと思った。次回作はどんな風にゲームで自然を感じさせてくれるのか、期待したい。
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