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「ペーパーボーイ」で新聞少年が1面トップに載った理由ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/3 ページ)

連載第37回は、「ペーパーボーイ」を取り上げます。1985年にアーケードで登場したゲームですが、6年以上経ってから、ファミコンやメガドライブなどに移植されました。今回わたしがこのゲームを取り上げるのには、ある切実な理由があるのです。

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“151”といってもポケモンの数ではない

 去年、わたしの書いた文章が、CESA(社団法人コンピュータエンターテインメント協会)の発行する、「テレビゲームのちょっといいおはなし・3」という小冊子に載った(東京ゲームショウなどで配布されたので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれない)。

 わたしもCESAから、この小冊子をいただいたのだが、渡す相手がいないもんで、いまだに大量に余っている。

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数えてみたら151冊あった

 ここで151冊も死蔵しているよりは、1人でも多くの方に読んでほしいと思う。とはいっても、どうやったら大勢の人に、配ることができるだろうか……?

 それを考えたとき、ふと頭に浮かんだのが、「ペーパーボーイ」の画面だった。新聞配達をテーマにしたゲームなので、これをプレイすれば、小冊子を配布するためのヒントが見つかるかもしれない。

新聞は投げつけて配達するもの

 「ペーパーボーイ」は、アタリが1985年にリリースしたアーケードゲーム。自転車に乗った新聞配達の少年を操作して、新聞を10件の家に、正確に送り届けるゲームである。

 コントローラーは、自転車のハンドルそのものの形をしている。これを回したり倒したりすることで、自転車の向きを変えたり、スピードを調整したりする。

 ハンドルについたボタンを押すと、少年が新聞を投げ飛ばす。契約している家の玄関かポストに命中させたら、その家に配達したことになる。

 障害物を避けながら新聞を配達し、1週間無事に配達を済ませればゲームクリア。

画像 「ペーパーボーイ」の筐体の写真。プレイステーション 2版「ゲーセンUSA」で見ることができる
画像 ポストにうまく投げ込めたら高得点

 その特殊な操作性と、当時の家庭用ゲーム機では再現が難しかったと思われるシステムのせいか、長らく家庭用ゲーム機には移植されなかった。

 しかし、1990年のリンクス版(アタリジャパン・ムーミン)を皮切りに、1991年にファミコン版(アルトロン)、1992年にメガドライブ版(テンゲン)と、相次いで発売された。

 さらに2006年には、ミッドウェイが権利を持っている往年のアーケードゲーム32本を収録した「ゲーセンUSA ミッドウェイアーケードトレジャーズ」というプレイステーション 2用ソフトが、サクセスから発売されたが、その32本の中に、「ペーパーボーイ」が含まれている。

画像 ファミコン版が発売されたのは、スーパーファミコンが世に出た3カ月後
画像 プレイステーション 2版では、独特の音色を持ったBGMも再現されている

 アーケード版を最も良く再現しているのは、当然ながらプレイステーション 2版なのだが、今回はメガドライブ版を中心に取り上げたいと思う。メガドライブ版がいちばん難易度が低く、わたしでもクリアできたからだ(イージーモードのイージーストリートだけど)。

町の皆さん、交通ルールを守りましょうよ

 わたしはゲームセンターでも「ペーパーボーイ」を何度かプレイしたが、独特のコントローラーと、クオータービューの画面構成に慣れず、また新聞が飛ぶ方向を調整する方法も分からなかったので、おもしろさを感じる前に、プレイするのをやめてしまっていた。

 しかしメガドライブ版のマニュアルによると、自転車のスピードをゆるめることで、新聞が真横に飛ぶようになり、狙いを定めやすくなるらしい。

 実際にメガドライブ版で試してみた。止まりそうなくらいゆっくり走ると、新聞をかなり正確に投げられるようになった。これで新聞配達のやり方は完璧だ。

 だが「ペーパーボーイ」では、少年の行く手を阻む、数々の障害物が待ち受ける。

 まずは車。車道の真ん中を走っていると、突然車が現れる。路肩ぎりぎりを走行すればよけられるが、より確実によけようと思ったら、歩道を走るのがいい。

 しかし歩道にも危険はいっぱいだ。路上でラジコンが走ってたり、ブレイクダンサーが回ってたり、黒猫が目の前を横切ったり、タイヤがひとりでに転がったりする。

画像 このゲームが登場する前の年に、映画「ブレイクダンス」が公開された
画像 交差点では車は猛スピードで通過するが、たまに一時停止する車もいるので混乱する

 一方、少年にも、それらに対抗するための武器がある。ほかならぬ新聞そのものだ。新聞を当てれば、たいていのものは倒すことができる。

画像 黒い家には、窓が多くて壊しがいのある家が多い

 おまけにこの新聞で、民家の窓を壊すこともできる。購読してくれない黒い家の窓は、割れば割るほど得点が加算される。

 ……冷静に考えると、これって、見つかったらそれこそ新聞ざたになりそうな嫌がらせなのだが、このゲームの世界ではOKらしい。

 そのかわり、誤って購読者の家の窓を割ってしまうと即刻、購読契約を打ち切られてしまう。

 また、新聞は10部しか持てないので、調子に乗ってバシバシ投げていると、すぐになくなってしまう。

 でもだいじょうぶ。路上の至る所に、新聞の束が落ちていて、取ると手持ちの新聞が、また10部まで補充されるのだ。

 住宅街を通り過ぎると、トレーニングコースに突入する。的に新聞を当てながら、水路や障害物をジャンプ台で飛び越えて、ゴールを目指すのだ。

画像 なぜその日の新聞が、配達員が来る前から道端に落ちてるのかなんて、深いことを考えてはいけない
画像 なお、トレーニングコース内でリタイヤしても、残機は減らない
画像 ゴールには観客席があり、ここで初めて少年は、人々の祝福を受けられる
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