ITmedia ガジェット 過去記事一覧
検索
連載

「モバイルゲームは最近どうよ?」くねくねハニィの「最近どうよ?」(その7)(1/2 ページ)

海外のゲーム動向で日本の市場が見えてくる。すでに花粉も舞う季節になったけどお元気? ハニィの「最近どうよ?」7回目は、ケータイゲームについて考察してみたのでよろしこ。

PC用表示 関連情報
advertisement

 10日ほど取材のためアメリカ西海岸に行ってたくねくねハニィが送る、海外ゲーム市場を語る「最近どうよ?」第7回目でござりまする! 相変わらず不定期でごめんなさいね。取材は精力的にしてきたんですが、帰国後は時差ボケのため頭がぼーっとしていた(元から?)ので、引きこもりがちになってましたん。暖冬のため、外には出やすくなってるんだけどね〜。脳みそも暖冬な感じですわ。わはは。笑い事ではないな。

 今回の取材は実が多かったよ、マジ。まずはリテーラー(小売店)に行ったんだけど、日本とほぼ同じような状態。


ハニィ 「Wiiはありますか?」

小売店 「ないです」 

ハニィ 「いつ入りますか?」

小売店 「分かりません。プレイステーション 3はあるよ」

 ゲーム専門店「GameStop」、家電大手小売店「BestBuy」、大手スーパーマーケット「Target」、いずれも同じだったの。ひとつだけ日本と異なる点は、ニンテンドーDSの在庫不足がかなり緩和されているところかなぁ。場所にもよるかもしれないけど、色を選ばなければ基本的には手に入りますわ。なぜかハニィが見た小売店はピンクばっかり残ってたけど。プレイステーション 3がないという店はハニィが見た限りは1店舗もありませんでした。ってことで、在庫不足はWiiだよね〜。肥満大国アメリカでは、Wiiを継続的にプレイすることによってダイエット効果もあるって報道されてて(確かににわかにやると筋肉痛になった……2日後に)人気が高い。一方、プレイステーション 3はキラーソフトがないので市場がサースティ(欲しいと思う状況)ではないという小売店の店員のコメントが聞かれました。

 また、Xbox 360の家庭への侵食状況は加速していて、セットトップボックスとしても活用されつつあるとのこと。具体的には、ドラマなどのTV番組をエピソードごとに安い価格でダウンロード(1話2ドルとか)させるなど、大手TVメディアと提携を進めており、ユーザーからすると、Xbox 360があれば、パッケージゲームも遊べるし、ダウンロードゲームも遊べて、さらにテレビ番組もダウンロードしておけるという便利な機械となっている模様。PCでの有料会員ゲームがさかんなこと、テレビはケーブルテレビなので視聴が常に有料であることなどの環境下なので、ゲームやTV番組をダウンロードするってことに抵抗がないんだよね〜。このインフラ的な違いも、コンテンツを有料で買うってことに関して許容度が高いことの理由なのかも。マイクロソフトさん、日本でもぜひお願いします。もちろん、他のハードメーカーさんも。日本だけダウンロード時代に乗り遅れます(涙)。

 と、有料コンテンツダウンロードの話をしたので、今回は、日本が誇る有料コンテンツである「モバイルゲーム」について語りたいなぁなどと思っていまする。ケータイ電話のスペックが上がってきて、ケータイでゲームをダウンロードして遊ぶってのが、すごく容易になった今日この頃。ついつい日本と海外は同じ、とか、日本のほうが進んでる〜、と思いがちなんだけど、実はそうとも言い切れないのですよ。そんな海外のケータイ電話のコンテンツ事情について赤裸々に語ろうかな〜なんて思っとります。細かい技術的な話は混沌とするので今回は省いちゃいます。

携帯電話事業者(キャリア)vs端末メーカー

 日本の端末のスペック(積んでいるミドルウェアも含む)は、キャリアによって決められていて、ドコモさん、KDDIさん、ソフトバンクモバイルさんも、それぞれの端末スペックとなってます。端末メーカーは若干の違いはあれど、そのスペックに従って開発製造しているのね。コンテンツ提供者(コンテンツプロバイダー=CPといいます)からすると、各キャリアのスペックにあわせてコンテンツを作れば、大多数のユーザーに対してコンテンツを提供することができるわけですわ。とはいえ、スペック上のバージョンアップとか大変ですっていう方々もいらっしゃるでしょうが、海外はそんなもんじゃあありません。ただし、この海外、韓国は含みませんの。韓国は日本と同じようにキャリアがスペックをコントロールしてるんだよ。

 海外の場合はキャリアがスペックを決めるのではなく、各端末メーカーがそれぞれの製品ラインアップのスケジュールでそれぞれのスペックで製造するので、キャリアごとのスペックなんてあったもんじゃあ〜りません。下手をすると数百ものバラバラのスペックの端末に対してアプリを作成しなきゃならないので、CPはデバッグも含めて本当に大変ですの。また、アジアなら繁体字版と簡体字版と英語版とか、ヨーロッパなら数カ国語対応にしなければならず、さらに大変。ユニットにすると、1つのタイトルで1000近い数のアプリを準備しなければならなかったりして、1ダウンロードで300円とかではとてもとても元が取れないわけですわ。なので、日本で200円とか300円とか値付けされているコンテンツがヨーロッパでは1000円くらい取ってたりして、ハニィもびっくらこいたわけです。

 ただし、この1000円、丸々CPに入ってくるわけではないので注意が必要。キャリア側で課金手数料とか、レベニューシェアとかいう言い方でがっぽり「ピンハネ」されます。日本のように良心的なものは少なくて、場合によっては50%以上持っていかれたりするので、時には割に合わない場合もあるんです。このレベニューシェア、キャリアによってフィックスされている場合もあるし、コンテンツの強さによって交渉可能だったりして、キャリアとのやり取りは不可避であるわけですね。

 日本で使ったコンテンツをそのまま持っていくってのがほぼ不可能な状況だってこと。言語的な意味だけではなく、インフラ的な部分(3Gであれば同じ場合もある)でも、端末の中身という意味でもスペックが違うため、相当なカスタマイズが必要なのとキャリアとの関係が求められることになるのね。

歴史的なコンテンツ嗜好とサイト運営

 日本のモバイルコンテンツの場合、ユーザーが購入するまでの流れとして、キャリア側の認証サーバから飛ばされて、CPが自ら運営するサイトにユーザーを招いてダウンロードしてもらうわけで、サーバ運営コストがかかるとかマイナス面はあるものの、サイトの演出によっては独特の色を出してユーザーにアピールしたり、ダウンロード数の推移を見たり、リアルタイムでの対応がCP側で可能なのね。

 歴史的に見ると、日本のキャリアはHTMLやWMLを駆使して端末上でのブラウザを実現してくれたわけですわ。日本のモバイルコンテンツは「壁紙」、「着メロ」から始まってて、必ずしも「ゲーム」から発生したものではなかったのね。それまでにがんばってきたCPは必ずしもゲーム系ではなく、むしろキャラクタービジネスの様相が濃かったわけでやんす。当初「モバイルゲーム」と言われていたものはHTMLやWMLなどのWeb技術を用いた簡単なものだったから、アプリケーションをダウンロードさせる形というのはケータイにJavaが積まれるようになってから。そういう意味でも壁紙、着メロ、ゲームなどの“ラインアップ”をキャラクターやブランドでくくってサイト運営をしてユーザーを招き入れるというのは、自然の流れであったわけですな。

 ところが、海外の場合は、壁紙とかの歴史をほとんどはしょって「ゲーム」から急激にモバイルコンテンツビジネスが伸びてきたわけですな。ハニィはこの流れが起こる直前――2000年ごろかなぁ、「アメリカで日本のようにモバイルビジネスは発展するのか?」というカンファレンスに招かれて、日本のコンテンツビジネス展開について語ったんだけど、「アメリカ人は電車で通勤しない」とか「アメリカ人の手は大きすぎてケータイ電話で細かい操作をしない」とか否定的な声が聞かれたのね。ただ、フタを開けてみれば、キャリアのプロモーションや、ケータイ電話自体の性能の急激な進展もあって、ゲバ評と反してゲームのダウンロードはさかんになっちゃった。ただ残念ながらカメラ付ケータイなども勢いよく出回ってしまったから、壁紙も日本ほど広まる前に下火になってしまったのよね〜。

 さらにケータイ上でのHTMLブラウザがなかった海外では、CPがサイトをブラウズさせることは不可能で、コンテンツをとりまとめてサイト運営というよりは、ほとんどがアプリケーションをキャリアに預ける形でのビジネス――つまり、ユーザーからすると、小さな画面上で、ジャンルやカテゴリによって羅列されているリストから選ぶことになるわけで、そんなリストの中に「どんなゲームか」までは書ききれなくなったわけです。さらに何百もあるアプリケーションをページをめくって見るユーザーなんて少なくて、リストの上位に来ない(ランキングが下の)アプリはユーザーに認知されることもほとんどないまま消えていくことになるの。ドコモさんのi-modeのライセンスを受けている海外キャリアの場合はこの限りではないけど、その数はまだまだといった状況。

 コンテンツ嗜好といえば、アジアは親日な感じがして、イケそうな気がするでしょ? 実際に過去はそうだったんですよ。壁紙とか、小さなアプリとか! 欧米でなかなか受け入れられない「かわいい」系のキャラクターとか、コミック系とか。でも、ケータイのスペックがすごい勢いで進化する中、ゲームのダウンロードが立ち上がると、それまでの潜在パワーを一気に爆発させて、現地のCPたちがコンテンツを作り始めたの。「地の利」には勝てないし、大体、手間がかかる割に単価が安いのです。さらに日本ほど新しいケータイ電話をほいほいと買う訳ではありませんから、全体の市場や対応機種数を考慮すると、日本のCPはとても辛い状況になりまする。最近、韓国ブームが親日を抑えているのとかあいまって、あんまりいい状況ではないですねぇ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る