「ひなた島」を発展させよう――シリーズ初となる“島”が舞台の「牧場物語」:「牧場物語 キミと育つ島」レビュー(2/2 ページ)
ニンテンドーDSやWiiのヒットによって、ゲームファンの層も拡大し、ほのぼのした癒し系ゲームへのニーズも高まっている。元祖癒し系とも言える「牧場物語」の最新作は、牧場だけでなく住んでいる島も充実していく、やりごたえのある内容。ニンテンドーDSにピッタリの1本だ。
「質」、「量」、「鮮」の3項目を極める
「キミと育つ島」はシリーズの正統続編だけに、基本的なゲーム部分は従来作通りだ。畑を耕して季節に合った種を植え、毎日水をやって育てる。実った作物を出荷して手に入れたお金で、今度は動物や新たな道具を買ったり、施設を設置したりして牧場の規模を広げていく。もちろん結婚・釣り・鉱石場の採掘・料理といったサブの要素も豊富だ(主人公は男女から選べて、結婚相手は各5人+α。好物をプレゼントすると好感度が上がっていく)。
新鮮なのは、作物と水やりの関係だ。今までは、作物は決められた日数が経つと自然と実ったが、今回は日光や水の量が一定量に達することで成長する(やたらに水をやりすぎると枯れてしまう!)。また、作物には「質」、「量」、「鮮」と3項目があり、総合ランクが高い作物を作るためには、実ったあとも収穫せずに水だけやって微調整を図る、といったテクニックも必要になる。天気と相談しながらの農作業は、より自然を感じられるはずだ。
自由度が高い、島の発展
「キミと育つ島」の目玉は、やはり島の発展だろう。大工や動物屋など、コアとなるお店ができたあとはプレーヤーの舵取りが島の方向性を決める。筆者はお祭り好きなので、まずは広場のあるエリアにつながる「街2と草原の間の橋」をかけることにした。費用は10000G、必要な木材500本。ひぇー、これは参った。でも、畑仕事ばかりではつまらない。たまにはお祭りでパーッと弾けなくては!
もちろん素直に、ニワトリを飼うための「とり小屋」を設置していいし、快適な住みかを目指して家を増築してもいい。島の全エリアに行くため、高価な橋を3本ともかける手もある。ひさびさに復活したビニールハウスの設置も捨てがたい。
とまあ、とにかくやるべきことは山積みだ。作物の出荷や施設の増築によって、島には移住者も続々とやってくる。筆者は当初、稼ぎがいい釣りばかりして魚を出荷していたら、釣り人が大勢移り住む島になってしまった。本土では“伝説の釣り場”とか、噂になっているんだろうなあと想像するとちょっと笑える。
島の人口は最大100人まで増えるという。一生懸命努力した末、無人島だったとは思えないほど豪華な街になったとき、「頑張ったなあ、俺」と思わず涙ぐみそうになった。そして自分へのごほうびに、島の喫茶店でアイスクリームを食べたのだった……。
意欲的な新要素に注目
新要素としては道具の改良システムが挙げられる。道具は「すてき」というアイテムをつけることでパワーアップする。「すてき」は赤・黄・橙・紫・藍・青・緑の7種類があり、それぞれ効果も異なる。たとえばクワに緑のすてきをつけると消費体力が減り、ハンマーに黄のすてきをつけると大石も壊せる……といった具合だ。しかも、「すてき」は複数つけられ、組み合わせによって性能を変えられるのだ。祭りの賞品や、鉱石場などで「すてき」を入手して、ぜひ愛用の道具をスーパーアイテムにしよう。
もうひとつの新要素がWi-Fi通信を使ったランキングシステムだ。「出荷額ランキング」や「歩数ランキング」といった項目を他プレーヤーと競える。上位に入ればいいものがもらえるかも……。また、友達コードを登録しておけば、最大4人でボイスチャットもできる。
今回もさらに歯ごたえ十分
「キミと育つ島」では、操作体系の一新について賛否両論あるようだが、慣れれば問題ないと思う。ただ、これだけニンテンドーDSユーザーの裾野が広がった今では、インタフェースにも気を使って、十字キー方式とタッチ式の切り替え制にしてもよかったかもしれない。
ゲーム性に関しては「牧場物語」シリーズを初めてプレイする人にとっては、水のやりすぎで作物がダメになるなど少々敷居が高い印象がある。「どうぶつの森」シリーズなどと同じイメージでプレイを始めると、手ごわさにギャップを感じて戸惑うこともあるかもしれない。ただし「牧場物語」シリーズは間口が広いタイトルなので、ライトユーザーとシリーズファン、どちらに焦点を合わせるかは難しいところだが……。
牧場の枠を越えて街作りという可能性も見せてくれた「キミと育つ島」。今年発売予定のWii版「牧場物語 やすらぎの樹」、全貌の発表が待たれる「牧場物語オンライン」にどうつながっていくのか? 今後の動きに期待したい。
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